ソニアとリアム①
最初のお茶会以来、サイラス・ウィル・ウォルター・ソニアの4人は、
リリアのところによく遊びに来るようになった。
はじめはリリアも警戒していたのだが、毎回おしゃべりが楽しく、
お土産のお菓子もおいしいので、今では4人に会えるのを
楽しみにしている。
呼び方も「さん」付けだったのが、みんな呼び捨てで呼べるようになった。
「やっほー!リアム。今日のおやつはフロランタンよ。
サクサクの生地にねっとりした甘ーいキャラメル、香ばしいアーモンド!
最高の組み合わせよね。」
「みんないつもありがとう。お茶しか用意できないのが申し訳ないよ…」
リリアは、すまなそうに答える。
「俺らがリアムと食べたくて買ってるんだから、気にしなくていいんだよ。」
「そうよ。ウィルの言う通り!それにリアムのいれてくれるお茶には、
お菓子以上の価値があるわよ、絶対。最近私の肌ツヤツヤしてきたもの。」
ソニアは頬を撫でながら言った。
「お菓子の食べ過ぎで、肌からバターが沁み出てきてるんじゃないか?」
笑いながらサイラスが言う。
「もーサイラス!!…え、ホントにそういうこと?」
「いや、バターのせいじゃない。確かに最近のソニアは一層輝いて見える。」
「ウォルター…。真面目な顔でからかうのはやめてよ!
あ、リアム、お茶の準備手伝うね。」
少し赤くなった顔を隠すように、ソニアはリリアについて行く。
「今日のお茶は何かな~?
…リアムの肌がきれいなのはやっぱりお茶のおかげなのかしら。」
「えっ?僕の肌きれい?」
リリアはふふっと笑いながら、ハーブを摘みつつ返事をする。
「きれいよ、とっても。ねぇ、間違ってたらごめんね。リアム、
あなた女の子じゃない?」
「えっ?!ソニア何言ってるの?」
ギクッとした気持ちを悟られないように、ニコニコしながらソニアを見ると、
ソニアは真面目な顔で続けた。
「腰つきがやっぱり違うのよね。ほら、前のお茶会、強い風が
吹いたときがあったでしょ?みんなで飛ばされたナフキンを
追いかけて行ったとき。
あのとき、ローブがまくれて見えちゃったの。」
「いや、僕はサイラス達と違って鍛えてないから…」
リリアの弁解を遮って、ソニアは続ける。
「手はね、結構いい線いってるのよね。手のひらにマメができてて、
剣を握る手よね。でも、やっぱり女の子の手なのよ。
土いじりもするからご令嬢の手には見えないと思ってるだろうけど、
男の子の手とも違うわよ。これからは手袋で隠したほうがいいわ。」
確信を持った言い方に、リリアは何も返せなくなった。
微笑みながら、さらにソニアは続ける。
「厚手の革のベストもシャツの下に着ましょう。
胸や腰のくびれを隠せるように。今度持ってくるわね。」
「……みんなにもバレてる?」
ソニアの顔をたっぷり10秒は見つめたあと、観念してリリアは答えた。
「男達は気づいてないみたいよ。今度リアムと剣の稽古をしようって
話してたもの。いつも体はしっかり隠しているし、ローブが捲れたのを
見たのも私だけだったし。」
「…そう。よかった。」
女の子とバレないようにしていたつもりだったけれど、
人と接していなかったぶん、甘くなっていたようだ。
ソニアの言う通り、もっと気を付けなくてはならない。
「もしよければ、今度いろいろ話を聞かせてね。
お茶会前にごめんね。あの子達には普段通りでバレないから大丈夫よ。
困っていることがあったら助けになれるって、早く知らせたかったの。」
「うん。ありがとうソニア。今日から手袋をつけるようにするよ。
…ベスト、お願いできる?」
「任せといて!」
ソニアは自分の胸に手を当てるジェスチャーをしながら、
しっかりと頷いた。




