帰り道
リリアの家でのお茶会の帰り、4人はしゃべりながら森の中の道を歩いていた。
「リアムってとってもいい子ね。私気に入っちゃった!
また行くときは絶対誘ってね。
…それにしても、ウォルターは全然話さなかったわね?」
「ほとんどソニアが話してたからな。聞いてるだけで十分だ。」
「ソニアの話おもしろかったよ!特に学校での手袋連続消失事件。
ねずみが犯人ってタネ明かししたときの語り口が最高だった!
リアムも笑ってたし、楽しんでたね。」
にこにこと笑いながら、ウィルが言う。
「それならよかった!最初は緊張してたみたいだったから。
…リアムは学校には行ってないのかしら?」
「行ってなさそうだな。野菜や薬草を売って生計を立てているようだし。」
最初に会った日の会話を思い出し、サイラスが答える。
「それにしては、立ち振る舞いが洗練されていたわね。
上流階級の教育を受けていると思ったんだけど、アトウッド家なんて
聞いたことないし…。不思議な子。」
「家の広さから見るとおばあさんと二人暮らしのようだが、
前回も今回も姿を見かけていないな。家から人の気配もしなかった。」
「出かけているのか、ご病気なのかもしれないわね…。」
「病気にしては、今日あんまり心配してる素振りはなかったようだが。」
「ウォルターって何気に鋭いわよね。じゃあ、出かけている時間が
長いのかしら。」
「また話しに行こうよ。おいしいものを沢山持ってさ。迷惑にならない程度に。」
「そうね。おすすめのお菓子を持って行かなくちゃ。いっぱいあるんだから!」
ウィルとソニアがどのお店にするか話している間、サイラスは別れ際のリアムとの会話を思い出していた。
「サイラスさん、あの時のこと話していないんですね。」
「サイラスでいい。あんな格好の悪い事言えないだろう。」
「…実は僕、時々同じようなことがあって。これからも誰にも言わないで
欲しいんです。話を聞いて感化される人がいるかもしれないので。」
「…よく人に迫られるということか?」
「――はい。」
あの時の俺は変だった。
リアムと目が合った途端、全身に電気が走り心臓をギュッと握られた気がした。
この身をすべて差し出したいという気持ちと、すべて俺にくれという気持ちが
同時に起こった。全身が熱を帯びていた。
気づいた時にはリアムの手を握り、逃げようとする体を腕の中に捕らえていた。
あの時、いっそのこと抱きしめてしまえばよかった。
俺を見つめる美しい瞳、白い肌、赤い唇、やわらかい頬――。
自分の恋愛対象・性愛対象は女性だと思っていたのだが、男も範疇なのだろうか。
同じようになる人がいると聞いてホッとしたと同時に、納得もしたし、
腹も立った。
普段理性的な俺でさえ、リアムに触れたいという欲望を抑えられなかったのだ。
日頃本能のままに生きているやつの行動は、想像に難くない。
「…守ってやらないとだな。」




