ウォルターとリアム①
ウォルターがリリアの家を訪ねてきたのは、手合わせをした5日後だった。
「予定があると聞いていたが、すまない。ちょっとだけいいか?」
そろそろ月の巡りの時期なのでみんなの来訪を断っていたのだが、
ちょっとならいいかと、話を聞くことにした。
「お茶会のあとに聞けばよかったんだが、二人になるチャンスがなくてな…」
そのまま少し言いよどんだウォルターの顔を、リリアはじっと見つめる。
冷静で思慮深い性格に見合った深い色の瞳、キュッと引き締まった口。
それにしても背が高いなぁと改めて思う。
ソニアは私より背が低いから、ウォルターとしゃべる時は
首が疲れちゃうんじゃないかな…
そんなことを考えていたら、意を決したようにウォルターが話し出した。
「あー…リアムはソニアの事をどう思ってる?」
「え、首が疲れちゃう…ん?どうって…??」
咄嗟に変な回答をしてしまいそうになり、慌てて質問の意図を確認する。
「…この間、二人で遊んでただろう?
手合わせの際も、ソニアはリアムのことを応援していたし、気になって…」
言いながらウォルターの耳が徐々に赤くなっていく。
「あ、あぁ!大丈夫!僕はソニアを好きだけど、そういう好きじゃないよ!
人としてだよ!人としてすごく尊敬してる!」
ウォルターのソニアへの気持ちに気付き、リリアは弁解する。
「これからもずっと好きだろうけど、恋愛感情ではないと断言するよ!」
誤解のないように、ウォルターに伝わるように、必死に続けた。
「そうか。…よかった。」
ウォルターはホッと息を吐き、安心したように呟いた。
「来月、ソニアと湖畔の花畑を見に行くことになったんだ。
…そこで、思いを伝えようと思っている。
その前にリアムの気持ちを確認しておこうと思って。」
「…っそうなんだ!応援するよ!」
突然のウォルターからの報告にリリアがドキドキしてしまい、
気の利いた言葉は出て来なかった。
「ソニアの気持ちはリアムにあるかもしれないが、それはしょうがない。
リアムに会う前に、ソニアの気持ちをこちらに向けられなかった俺が悪い。
まずは、ソニアにハッキリと俺の気持ちを知ってもらおうと思っているんだ…」
真剣な顔で話しているウォルターの目をじっと見ていたその時、
月の巡りが始まった気配を感じた。
(あっ…!まずい!)
そう思った時には、もう遅かった。
ウォルターの瞳はたちまち熱を帯び、鋭い目線でリリアを見つめ返してきた――




