お茶会
ソニアに打ち明けた後の最初のお茶会の日。
革のベストにも慣れたリリアは、以前より堂々と振舞えるようになった。
(なんたって、ソニアのお墨付きだもの)
リリアと目が合ったソニアは、にこっと笑い、手でそっと丸を作る。
「リアム、なんか今日いいことあった?」
自信のある振る舞いがそう見えたのか、ウィルがリリアに尋ねた。
「うん!ちょっとね」
「そっか。友達がうれしそうだと、こっちもうれしくなるね」
ウィルはにっこりと微笑む。
「さ、今日の主役はリンゴのパイよ!食べましょ食べましょ!」
ソニアが、お皿に移したパイをそれぞれの前に置いていく。
「今日のお茶はカモミールとジンジャーだよ」
ソニアに次いで、リリアはお茶を注いでいった。
それからは、パイとお茶をお供に他愛ないおしゃべりに花を咲かせ、
楽しい時間を過ごした。
「…そういや、リアム、なんか体格よくなったか?」
ふとサイラスがつぶやいた。
「そうかな?鍛錬の成果がやっと出てきたかな」
リリアはドキッとしたが、考えていたセリフをサラッと答えた。
「そうか!よし、ちょっと休憩したら、手合わせ願おうかな」
腕まくりをしたサイラスに、ソニアが慌てて声を掛ける。
「えっ?剣?やめてやめて!ケガしちゃう!」
「ケガするほどのことはしないつもりだが、心配なら木の棒でやろう」
「…それなら…まぁ。リアム、大丈夫?」
ソニアはリリアのほうを心配そうに見る。
鍛錬を欠かしていないとは伝えていたが、やっぱり心配なのだろう。
「うん。大丈夫だよ!やろう、サイラス」
リリアはソニアににっこり笑ってから、サイラスに答えた。
「じゃあ、いくよー。相手に「まいった」と言わせたほうの勝ちね。…始め!」
ウィルが声を掛けた瞬間、リリアとサイラスは棒を打ち付け合う。
「お!瞬発力はいいじゃないか」
「ありがとう。サイラスもね」
「でも力は足りないな」
言いながら、サイラスはリリアを押しのける。
同時にリリアは後ろに大きく飛んで、サイラスの払った棒を避けた。
「リアム、すごい!」
ソニアが歓声をあげる。
その後もリリアは身の軽さを活かし、サイラスの隙を突こうとする。
だが、サイラスはリリアの攻撃を正面から受け止め、
力で押し返していく。
何分間かお互いに攻防を繰り返しながら、最終的にはサイラスがリリアの棒を
弾き飛ばし、「まいった」を言わせた。
「リアム、惜しかったわねー!」
ソニアがリリアに駆け寄り、声を掛けた。
「…全然、歯が立たなかったよ」
男性との力の差を実感し、リリアは悔しかった。
毎日鍛錬していても、この差は埋まらないのだろうか。
明日から筋力を鍛える動きをもっと取り入れてみよう。
まずは足と腕と…
そう悶々と考えているリリアに、サイラスが声を掛ける。
「リアムは力がまだ足りないな。でも、すばしっこさと狙いどころはよかったぞ」
「うん!それがリアムの美点だと思うよ!
力を受け流す技術を身に付けるといいんじゃないかな。
そしたら隙を突くチャンスも、もっと増えると思うよ」
ウィルがありがたいアドバイスをくれた。
「俺、リアムに合った鍛錬方法を考えてくるよ」
「ウィルはそういうの得意だからな。参考になると思うぞ」
サイラスが自信たっぷりに言った。
「ありがとう、ウィル。よろしくお願いします」




