第三章『維氏紊乱』編 あらすじ
成王二十一年、春。
維氏の領地、霊戍は雪解けを迎えていた。
維少卿、維弓の三男、維叔典は北地の守りに向かうべく、維氏領の北端、常山城へ向かっていた。
かつて維氏の宿老、楼環と虞の王子、姜子蘭によって撃退された北方騎馬民族、勲尭が再び動き出したとの知らせを受け、維叔典は従者の翟錯と共に僅かな兵を連れて斥候に向かったのである。
しかしその先で、諸毗山という奇妙な山に辿り着いた。雷鳴の絶えぬ山であるといい、踏み込んだそこは、生き物が棲まぬ魔界の如き地であった。
諸毗山には勲尭の長、神皇の墓があるという。勲尭族はその地で何かを探していた。
維叔典は激闘の末、勲尭族の目的を阻止することに成功した。
しかし翟錯は、諸毗山での出来事が頭から離れず、その伝承を調べるため、一度、主人の下を離れた。故郷の地に向かう旅の途中でたまたま、霊戍の中に勲尭族と通じている者がいることを知る。
翟錯は予定を変え、霊戍に向かった。そして烏乾という友に助力を頼み、内通者を探すことにしたのである。
調べていくうちに、維弓の次子、維仲堰が内通者であることが判った。
また、維弓の長男、維孟の下には智氏からの使者が訪れており、維孟が少卿を継ぐための助力をするという密約が交わされていることも明らかになったのである。
しかもその智氏の使者、驪胡季は、影法なる奇怪な術を使う男である。
翟錯と烏乾は驪胡季を暗殺しようと決めた。しかし後一歩およばず、驪胡季は維孟の邸宅に逃げ込んでしまったのである。
二人は維叔典の下に霊戍の内訌を知らせるべく常山城へ奔ったが、その道中で、常山城に一万を越える勲尭の兵が迫っていることを知るのだった。




