11/14
第五章『北岐烈風』編 あらすじ
虞領の北端には、北岐山という山がある。そのさらに北には北狄と呼ばれる騎馬民族がおり、この地を守るために、北岐三連城と呼ばれる三つの城があった。
しかし虞の有史以来、この地が攻められたことは一度もなく、北岐三連城は次第に、流刑地のような扱いをされるようになっていた。
それは虞が顓族に壟断された今も同じであり、今の城主、顓項は、顓族の長、顓戯済の子でありながら、北辺の地に追放同然の身であった。
折しも、恒崋山の山賊が北岐三連城と虞の物資集積地、滎倉との交易路に出没したため、兵を出すことになった。軍師顓遜は策を以て山賊を撃退しようとしたが、逆に策に嵌められて退けられてしまう。
顓遜はどうにか兵を損なわずに帰ることが出来たが、そこにさらなる報せが届く。
北狄が攻め寄せてきたとのことであった。そして、三連城の支城の一つ、沃周城が囲まれたとのことである。
顓項は沃周城を救うため援軍を出すことを決めた。しかしその道中に伏兵がいたのである。
伏兵を指揮する将は、戟を持ち、赤い馬に跨り――自らを、虞の第四王子の臣と名乗ったのである。




