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四夏希  蛹

「蜘蛛ちゃん久しぶり。急ぎのお仕事?」

いかにもオタク風なメガネの男がやってきた。

「おう、久しぶりだなアカシ。1週間後の仕事だからよ。」

ヨゾラは情報屋を使いこなしていた。

「相変わらずの鬼畜ぶり!変わんないねぇ。」

アカシはどうやら昔馴染みなのかもしれない。

「とっとと情報拾ってこい!」

やっぱり辛辣だ。

アカシは部屋に戻り、情報を集めはじめた。

「女郎蜘蛛ちゃん今用意するね。」

ウォッカ、オレンジジュースをグラスに注いでステアした。

「お待たせしました、スクリュードライバーです。」

リュースーはヨゾラの興味を引きそうなオレンジ色のカクテルをチョイスした。

「ほぉ…これがスクリュードライバーか。キレーだな。」

ヨゾラはその黄昏時のようなオレンジ色のカクテルにうっとりしていた。

「レディーキラーの異名を持つカクテルですが…女郎蜘蛛ちゃんなら大丈夫でしょ?」

リュースーはそんなヨゾラにうっとりしていた。

「舐めてもらっちゃ困るなぁ。」

ヨゾラはグビグビとカクテルを飲み干した。

「ゴチ。なかなか美味いなこれ。」

ヨゾラは満足げな顔をした。

「お口に合ってよかった。」

リュースーはニコッと笑った。

「スゲーな蜘蛛ちゃん。ほい情報。」

アカシはプリントアウトした情報をヨゾラに手渡した。

「アカシサンキューな。」

ヨゾラは標的の情報を受け取り、記憶しだした。

「女郎蜘蛛、俺に出来ることは?」

リュースーはヨゾラに声をかけた。

「女の相手は得意だろ?それに潜入もな。」

ヨゾラの悪い顔にイサムはゾッとした。

「ヨゾラさん…リュースーさんに…」

イサムとリュースーはゴクリと息を飲んだ。

「リュースー、ホストやれ。」

イサムは驚いた。

「やっぱり?」

リュースーは予想が的中したようだ。

「お前得意そうだからな。嫌ならイサムかアカシに任せるが…」

ヨゾラは完全にリュースーを手玉に取っていた。

「…わかったよ。俺じゃなきゃね!」

どうやらホストに潜入させて標的を誘導させるみたいです。

「ココに通ってるらしいぞ。」

リュースーに情報を見せるヨゾラ。

「うん。女郎蜘蛛ちゃん。任せてよ…って言いたいとこなんだけどさぁ。」

リュースーは何か言いたげな様子だ。

「んだよ。不満か?」

リュースーはその言葉を聞いて首を横に振った。

「お金なんていらないから、ご両親に会ってくれないか?パパもママももう怒ってないって。もし会うなら俺…」

ヨゾラはリュースーの胸ぐらを掴んだ。

「うるせぇ!アタシはまだ怒ってんだ!俺にお前は…!」

リュースーは自身の胸ぐらを掴んだヨゾラの手をギュッと握った。

「わかってる。全部わかってるから。」

僕はやっぱりヨゾラさんの事、よくわかってないんだなと感じた。


僕らは代金を支払ってbarを後にした。

「ヨゾラさん寝ないでくださいね?」

イサムはヨゾラを後ろに乗せて単車を転がしていた。

「ん~…わかってる…」

わかってると言っているが不安だ。

そういえば後ろにヨゾラさんを乗せたこと無かったなぁ。

そうこうしてるうちに事務所に到着した。

「ヨゾラさん着きましたよ。」

ヨゾラはイサムにガレージの鍵を渡した。

「ん…あんがと。」

イサムはヨゾラの愛車(ゼファー)をガレージに入れて鍵を閉めた。

「オサムただいまぁ。」

ヨゾラが部屋に戻るとオサムが待っていた。

「なぁ~ん。」

ヨゾラはオサムを抱いた。

依頼があっても落ち着いている、猫と戯れている時が一番幸せそうだ。

「ヨゾラさん、寝ましょう。」

イサムはヨゾラを寝せようとした。

「はぁ?まだいいだろ?」

ヨゾラはオサムを抱いたまま不機嫌そうに言った。

「お酒飲んだら早く寝る約束ですよ!」

イサムは約束を口にした。

「お前は私の母親かよ!」

ヨゾラは自身の母親の事を初めて口にした。

「お母さんってどんな人なんですか?」

イサムは首を傾げた。

「いつか…話す。」

ヨゾラはそのままソファーに横たわった。

「あぁ!そこで寝ないで!」

応接間のソファーの上で横になる無防備なヨゾラの(せな)に昔の自分の姿を重ねて、

「たまには、いいか。」

イサムはそのままヨゾラをソファーで寝せようと決めた。


早朝、どうやらヨゾラが物音を立てずに何かをしていた。

「ヨゾラさん?!」

イサムは驚いた。

「おう!起きたかイサム!」

なんと爽やかなヨゾラが居た。

「何してるんですか!」

普段なら信じられない光景だったからだ。

「何ってお前、一発で仕留める為に急所の位置を確認してんだ。一瞬で楽にしてやんなきゃ可哀想だろ?」

首や心臓、腹部に股関節に傷のあるマネキンが立っていた。

「僕もやってみたいです!」

勇気を出してイサムは意思を伝えた。

「ばーか。お前は優しいからしとめられねーよ。特訓するだけ無駄だ。」

ヨゾラは小馬鹿にするように嘲笑った。

「でも僕!」

イサムは本心だと伝えようとした。

「あーはいはい。飯にしようぜ。」

僕は優しすぎるからヨゾラさん曰く殺し屋に向いてないらしい。何故僕を(すく)ってくれたのだろうか。

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