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第一章
足元を抉る、伸びてくる蜘蛛の脚を避けながら、低い声で呟く。
「『殺さないで』くれと言いながら、闘争心剥き出しに攻撃するって、全然、心に響かない…」
「お前、可愛くないよ」
相手は泣きながら、蜘蛛の脚を巧みに操り、足元や頭上を攻撃してくる。
安易に近づけないようにするために…
警戒されているのか?と思うが相手の気配から察するに、奴はアタシを嘲笑っている。
要するに弄んでいるのだ。
今目の前にいる女の子供の姿をしているのが、何を隠そう”敵”である。
いや、正確にはアタシたち人類の敵だ。