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第一章
《空間型オーギュメントリアルティーを起動しました。この空間が、現実世界に存在できるのは5分間のみです。5分以内に外敵危険生物を倒してください》
まるで水晶版が弾くような冷徹な電子音の女性の声がこだました。
(5分間のみか…)
そんな短い時間で倒せるだろうか…
アタシは頭を掻いて一回しかめ面をした。
相手の力を感じれば、かなり手強い。
だけど、アタシは一人じゃない!
一面が真っ白な空間の中にアタシたちはいる。その空間はオーギュメントリアルティーによって具現化された空間だった。
少しの間、真っ白だった空間の至る箇所にテレビのような砂嵐が起き、風景を出現させた。
一面青々とした草原に、青い空…
一つのバーチャル空間のように変化をした。
横から吹いた風を受けると、胸まである長い黒い髪がなびいた。
広く感じる空間の中、二~三メートル離れたところ、向かい合う敵がいた。
健気でか弱く怯えたような顔をして、手を胸のところで祈るように組んで震えて怯えていた。
「殺さないで…」
その背中には、大きな蜘蛛の脚を生やしながら…