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機械仕掛けの悪魔 -Ghost_Writer-  作者: 赤魂緋鯉
プロトコル・サンタクローシズ
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第3話

 ややあって。


「じゃ、早速情報集めと行こうじゃねえの」


 カガミの上着が乾いたので、アイーダはいつも通り、どこぞの探偵の格好をして事務所側から外に出た。


「お、丁度じゃねぇか。手間賃とレンタル代1日で1万な」


 すると、出て左側にある空き店舗の前に軽トラックが止まっていて、涙滴型フォルムの真っ赤な大型バイクをスタッフが下ろしている所だった。


「おうクロちゃん。こんな夜半前に悪いな」

「なに。運送屋に夜も朝もねぇよ。はい、1万いただきましたっと」


 電子煙草をくわえている、長身でライダースジャケットを羽織っている女に料金を払いつつ、アイーダはやや大きい彼女の肩に手を置いて親しげに軽く言葉を交わす。


 軽トラックが徐行して本通りへと去って行くと、アイーダはバイクにまたがって帽子の代わりにヘルメットを被った。


「ナビ。後ろ乗れ」

「あっ、はい……」

「い、嫌なら代わるが」

「お前は自前の持ってるだろ。ナビを運ぶのに借りたんだよ」

「そうか……」


 珍しくナビが及び腰な態度なので、すかさずカガミが代わろうとするが、アイーダに拒否されて分かりやすくションボリと眉を下げた。


「……アイーダさん、バイク数年来乗ってないですけど大丈夫なんです?」

「こういうのはいっぺん乗ったらなかなか忘れねえもんだよ。交通法もちゃーんと頭に入ってるし」

「そこは良いんですよ。そこは……」


 かなり含みがある物言いをするナビへ、


「君にしては珍しいな?」

「アイーダさん、適法内の許容値最大みたいな運転されるんですよ……」

「な、なるほど……」


 カガミが電脳通信でその理由を訊ね、彼女の答えに1発で納得してやや引きつった苦笑いをする。


「ナビ。カメラに映ってる位置を時系列順に頼む」

「はいはい。ちょこっとお待ちください」


 いつもの様に防犯カメラ網に潜り込んで情報を取得したナビは、目撃情報のあった位置と合わせて地図上に表示した。


 マーキングされたエリアは、街の各所にあるスラム街や中流層の住宅地がほとんどで、高級住宅地には一切訪れていなかった。


「よし、そんじゃ裏取りと行くぞ」

「はいー……」


 それをカガミにも共有して、アイーダはスラム街の方へ、カガミは中流層の方へ手分けして裏取り作業を行う事になった。


「スラム街はアイーダさんの身の危険がある。私が行った方がいいのでは?」


 出発する前に、ちょっと待ってくれ、と言ったカガミは役割交代を申し出る。


「アタシが中流の方行ったら警戒して誰も答えてくんねえよ」

「スラムの方にカガミさんが行った場合もしかりです」

「そういうものか……。ならば、3人一緒に行動した方が良いのでは?」

「んなことしたら効率悪いだろ」

「アイーダさんを危険にさらすよりはマシだと思うのだが……」

「そんなに心配されなくても、むしろアイーダさんはスラム街の方が安全までありますよ」


 カガミの知らない事を知っている、という優越感モリモリなドヤ顔のナビは、食い下がるカガミへそう言った。


「アイーダさん、誰彼構わず探し物やらの依頼を親切かつ格安で受けるもんで、ギャングとかマフィアとかヤクザには上から下まで恩を感じる人が多いんですよ」

「手を出した場合、どこの導火線に火が着くか分からないから、むしろ守られているというわけか」

「カガミさんにしては的確な回答ですね。正解者には10ナビちゃんポイントが送られます」


 やりますね、とカガミを指さしたナビは謎ポイントを上から目線で付与した。


「道理で最近絡んでくるチンピラがいねえわけだ」

「昔は絡まれていたのか……。よくご無事で……」

「囲まれる前にとっとと逃げてたからな」

「ダイトウ・ファイナンスの社長さんからの圧もあって、最初からかなり少なくはあったんですけどね」

「ダイトウのおばちゃん、アタシの事気に入ってんだよな」

「へぇ――それって悪質なヤミ金融だと記憶しているが……」

「割とおっかねえとは聞くけどそんなにか」

「聞かなかった事にしてくださいね」

「それはまあ……」


 感心していたカガミだったが、その社名にピンと来て、周囲を素早く確認しつつ困った様子で顔をしかめつつ、電脳通信でナビへ言った。


「そんじゃ、みっけたら頼むぜ」

「あ、ああ……」


 良心と私情の間で板挟みになって頭を抱えるカガミへ、アイーダは軽く手を挙げてそう言うとバイクを発進させた。


「捕まってろよナビ」

「うわああああッ」


 だが、法定速度までの急加速が過ぎてちょっとウィリーし、裏通りにナビの悲鳴を残した。


「なるほど……、許容値最大……」


 やけにキレ味のある右折を見送ったカガミは、瞬きを数秒繰り返した後、裏口へ自分の大型バイクを取りに行った。

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