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隣の席に座る女の子にラブレターを間違えて送った  作者: 橘 瑠伊
第二章〜出会う二人〜
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三人での、お出かけ

 話しているとコーヒーと注文した食べ物が運ばれて来た。


「お待たせ致しました」


 スタッフは、そう言うと、俺達の前にコーヒーと頼んだ食べ物が置いていく。


 京子を見ると、冷静な目つきで運ばれる食べ物を見ている。対する由衣は、目を輝かせて、食べ物とコーヒーを見ていた。


 二人の反応が正反対で、見ていると面白いな。


「では、ごゆっくりと」


 スタッフは、そう言うと伝票を筒に入れて、去って行った。


「美味しく、いただきましょ」


「うん!」


 三人で、いただきますを言うと、それぞれ頼んだ食べ物を食べ始める。


「京子ちゃん! あーん!」


 由衣は、スプーンに乗せたアイスクリームを京子に食べさせようとした。


「ありがたく、いただくわ」


 京子は、由衣にアイスクリームを食べさせてもらう。


「おいしい。由衣にも、私のワッフルをあげるわ」


 京子は、ナイフでワッフルを一口サイズに切ると、フォークに刺して、由衣の前に持って行く。


「ありがとう!」


 由衣は、京子にワッフルを食べさせてもらった。京子は、由衣が美味しそうに食べる姿を見て、嬉しそうな表情をする。


「うん! 美味しい!」


 お母さんと子供みたいだな。


 年齢は同じだけど、無邪気な由衣と大人びている京子を見ると、親子のように見えた。


「ねぇ、空太くんのも一口ちょうだい!」


「あ、あぁ。いいぞ」


 俺は、由衣の前にチーズケーキを差し出す。


「美味しそう! いただきます!」


 由衣は、チーズケーキを一口食べた。


「美味しい!」


 由衣は、満面の笑みで言った。


「京子も食べるか?」


「空太が食べても大丈夫なら、いただこうかしら」


「いいぞ、食べて」


 京子は、俺の返事を聞くと、チーズケーキを一口食べた。


「美味しいわね」


 京子は、そう言うと軽く微笑んだ。


「お礼に、私からもワッフルを一口あげるわ」


 京子が、そう言うとチーズケーキが乗っている皿の上に一口分のワッフルが置かれる。


「私も、アイスクリームあげる。ええと、どこに置こう。そのまま皿の上に乗せちゃうと、垂れて、チーズケーキにアイスがついちゃう」


 由衣は、アイスクリームを取ったのはいいけど、置き場所に困っているみたいだ。


「ワッフルの上に置いていいぞ」


「あ、それ頭良い! でも、いいの?」


「いいぞ。実際にあるメニューでも、ワッフルの上にアイスが乗っているのとかあるからな」


「なるほど」


 由衣は、京子が俺の皿にあげたワッフルの上にアイスクリームを乗せた。


「いただきます」


 俺はワッフルと、その上にアイスクリームを乗せた物を食べる。


 ワッフルは、ふわふわ、アイスクリームは、ほど良い甘さだ。お互いの良い所を邪魔せず、良い感じに調和がとれている。


「上手いな」


「でしょ!」


 自分のチーズケーキも食べてみる。


 なんて、濃厚な味だ。ほどよい、酸味が効いている。レモン汁を入れているのか?


「久々に、こんな美味いチーズケーキを食べた」


「へへへ。この場所選んで良かった」


 由衣は、照れくさそうに笑った。


 俺達は食べ物を食べ、コーヒーをたしなみつつ、学校の出来事や私生活であったことなどを話した。


「はぁー、ごちそうさま。美味しかったー!」


 由衣は、満足げな表情を浮かべて言う。


「普段こういうとこには来ないけど、とても美味しかったわ」


 京子も満足そうだ。


「また行きたいな」


 チーズケーキ、また食べたいな。


「よし、じゃあ次は、いろんな店を見て回ろう!」


 俺達は、会計を済まして、由衣が行きたいと言った店について行くことにした。




「ねぇ、ねぇ。これ可愛くない!?」


 由衣は、白くまをモチーフにした、ぬいぐるみを、抱っこして持っている。


「ここ、いろんなぬいぐるみと人形があるわね」


 京子は、物珍しそうに店を眺めている。


 店内を見渡してみると、どこ見ても人形やぬいぐるみしか置いてなかった。


「ここは、人形とぬいぐるみの専門店か」


 子供が好きそうな人形から、女性が好きそうなぬいぐるみまで、品数が豊富だ。


「よしよし、よしよし」


 京子が、なにかを呟いているので、振り向いてみと、ぬいぐるみを撫でているとこだった。


「なにを撫でているんだ?」


 京子からの返事がない。夢中になっているようだ。


「ここからだと、ぬいぐるみって言うことしかわからないな。もう少し、見る角度を変えてみるか」


 見る角度を変えてみる。


 灰色をベースにした色に、目の周りが黒い。そして、尻尾にしま模様がある。耳が三角形だな。アライグマか?


「京子は、アライグマが、好きなんだな」


「え? ええ、そうよ」


 よほど、夢中だったのか、俺が隣に来て話しかけられたことに、一瞬驚いていた。


「どの辺が可愛いんだ?」


 俺は、こういうぬいぐるみや、人形に興味が持てない。


 あっても、部屋のスペースが埋まるからなって考えてしまう。


「目元かしら?」


 京子は、アライグマの目元を指さす。


「殴られた跡みたいな目をしているな」


 喧嘩して、キャラの目の周りが黒くなるとこ、漫画やアニメで見ることがある。


「こういうことに関しては、あなたに感想を求めないようにするわ」


 京子は、冷めきった言葉で言った。


「そういえば、由衣は何しているんだ?」


 気付けば、由衣の声が聞こえなくなっていた。


 辺りを見渡すと、鏡の前で何かをしている由衣を見つけた。


「由衣、なにしているんだ?」


 よく見てみると、頭に何かの被り物をしている。


「じゃじゃーん! うさぎさん!」


 由衣が振り向くと、頭にうさぎの被り物をしていた。


 何か違和感がある。


「うさぎの耳って垂れているんだっけ?」


 俺の指摘を由衣が聞くと、笑みを浮かべた。

「へへへ。聞いて驚くがなかれ、実はこのうさぎさんの耳」


 由衣は被り物から、紐みたいのを取り出して引っ張る。


 垂れていた耳が立った。


「耳が立つんだよ!」


「その仕掛け、いるのか?」


「大事だよ! 可愛いでしょ?」


 由衣は、そう言うと、被り物から出ている紐を掴んで、うさぎの耳を垂れさせて立たせるを繰り返す。


 言われてみれば、可愛いのかもしれない。


「空太には、可愛さがわからないかもね」


 京子はそう言うと、俺の隣に立つ。


「はい、京子ちゃんにはこれ!」


 由衣は、そう言うと京子の頭にうさぎ耳のカチューシャを付けた。


「由衣、こういうのは私に似合わないわ」


 言葉に出せないが、京子似合っているぞ。


「すごく似合っているよ! 一緒に写真撮ろ!」


 由衣は、京子と腕を組んで、携帯のカメラで写真を撮り始める。


 その後、京子は由衣に引っ張られる感じで、店内のぬいぐるみを見て回り始めた。


 元々ぬいぐるみや人形に興味がなかった俺は、それを眺めてついて行くだけだった。


最後まで読んでくれてありがとう〇

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