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六話 世界の秘密

 ルイーズは胸元に手をやり、服の下にあるペンダントを握った。

 スタニスラスから別れ際に渡されたもので、心を落ち着けたい時や酷く緊張した時に、無意識にその珠を握る癖があった。

 その珠はシトリンの輝きを放っており、手のひらに収まるその感触が、乱れた精神を穏やかにするような気がしていた。


「貴殿は、何故この地が八つの国に分けられているか知っておるか?」

「はい、元は一つの大陸に複数の国々が存在しておりましたが、争いの絶えぬ下界を憂いた始祖神様が、のちの八将神様に力をお与えになり、天下を統一されました。のちに、大陸を均等に八つの国境で分けられ、八将神様をそれぞれの地の長として据えられました。それにより、昨今まで安寧した治世が続いております」


 陛下はルイーズの返答に頷いた。


「その通りだ。しかし、八将神様が現世におられる時、ただ一国だけ交易が途絶えた国があった」

「ラマニス国でございますね」

「左様。ラマニス国は八将神の一人アデライド様を崇め、宗教国家として有名だ。しかし、その他の実態は一切掴めていない」

「ラマニス国は、わたくしがこの世に生を受ける数年前に、ルーノ国と争いになりかけたと聞き及んでおります。また、昨今では各国でラマニス国の警戒態勢が強まっているとか」

「そこまで知っておったか」


 陛下は感嘆の声を漏らし、ルイーズに鋭く視線を向けた。


「そのラマニス国に不穏な動きがあり、始祖神様が関わっているのではないかと我らは考えている」

「始祖神様……ですか?」


 ルイーズの驚いた声に、陛下は真剣な面持ちで頷いた。


「ラマニス国以外の国王と数名の王子が既に知っていることだ。わが国では、ここにいる者に加え、数人の臣下、わが息子スタニスラスと選抜された人物たちがこの情報を共有している。カプレ家では、グエナエルとマティアスにもすでに伝えている」

「陛下、お言葉ですが、俺は未だ父上と同じく妹を巻き込むのは反対です。妹に危険が迫るような事があれば、俺はこの力を使うことを辞めます」


 マティアスが鋭い目を陛下に向けて言った。彼の目は、明らかな不満を隠さなかった。


「マティアス!」

「良い」


 訓誡を試みたマルセルを、陛下は制した。


「マティアスよ、貴殿がルイーズ嬢を大事に思っていることは理解している。私もできることならば、スタニスラスの婚約者であったルイーズ嬢を危険な目に遭わせたくはない。しかし、現実問題として、彼女の力を借りねばならぬほど我々は人手が足りないのだ」


 陛下の言葉には、無念さと重責が滲んでいた。


「それ程までに敵は強大なのですか?」

「もし、本当に始祖神様が関わっているのならば、今のままでは勝ち目はない」


 その言葉に、マティアスはギリッと歯を食いしばった。彼の眉間には深い皺が刻まれ、その表情は憤りと決意に満ちていた。

 箱舟の他の面々の表情にも、わずかな陰りが見えた。誰もが、今後の展開に対する不安を抱えていた。


 ルイーズは前世の知識を頼りに、これから起こる出来事についての一部を知っていた。

 しかし、その知識は彼女が十五歳になった秋の頃までのものに過ぎず、それ以降のことに関しては何も分からなかった。そのため、今、陛下たちがこれから話そうとしている内容は、彼女には全く見当がつかなかった。


「ルイーズ嬢、まだ七歳の君に頼むには荷が重過ぎるだろうが、この世界を、ある者達と共に救って欲しい」


 ルイーズは目を丸くした。

 「世界を救う」と言われても、その規模があまりにも途方もない。


「お話を……伺ってもよろしいでしょうか?」


 とぎれとぎれに真意を問う。

 陛下は少しだけ沈黙した後、ゆっくりと頷き、事のあらましを語り始めた。


「数十年前のことだ。ラマニス国はどうだったか知り得ないが、我が国を含む七カ国の王に一通の封書が届いた。その封書がどうして各国の王の手に渡ったのかは、未だに不明だ。だが、差出人はすべて自称“始祖神様”からのものだった。」


 肘掛けに両肘をついて、手を組みながら、陛下は暗い面持ちで話を続けた。


「封書の中身は空だった。そして、その封書を触れた当時の王たちがその封書を開いた瞬間、そこに言霊が現れた」


 ()が名は始祖─────

 之より、数十年後、この大地は再び戦場と化そう。

 (おの)れ等に時間をくれてやる。集結させよ。抗ってみせよ。

 最強の戦士達を以て、()にその力を見せてみよ。

 戦火の火種は撒かれた。()が御子達は既に動き出した。

 後世に伝えよ。来たるべく決戦の日まで。


「これが世界の秘密だ。封書の内容は言霊として現れ、当時の国王だけがその声を聴くことができたようだ。しかし、七カ国すべての王が、同じ内容を聞いたのだ。このような芸当ができるのは、始祖神様本人、または、始祖神様と同等の力を持つ者に違いない。」

「そんな……」


 ルイーズは驚きと共に言葉を失った。


「我が国はストレンジ育成に特化し、能力に優れた者が多い。それでも、五域に到達した者は、ここにいる者たちでほぼ全員だ。だが、他の国では十人もいないだろう。始祖神様は、六域の八将神たちを軽く凌ぐ力を持っていると、代々伝えられている。」


 その言葉に、ルイーズは息を呑んだ。

 ストレンジとは本来、始祖神が人に与えた力であり、すなわち、始祖神は六域に達した者さえも優に凌ぐ力を有しているということだ。


「陛下、恐れながら質問をひとつ、宜しいでしょうか。」

「許可しよう」

「ありがとうございます。スタニスラス様もこの戦いに関してご存知ということですが、その戦いには、スタニスラス様も参戦されるのでしょうか?」

「我が息子スタニスラスは……」


 その言葉を言い淀む陛下の様子に、ルイーズの胸は強く締めつけられるようだった。

 彼女は既に前世の知識からスタニスラスが今どこにいるのか、そして彼がどうなっているのかを知っていた。それでも、あえて尋ねたのは、僅かな希望を抱きたかったからだった。


「我が息子スタニスラスは死んだ」


 陛下が口を開いた瞬間、その言葉は重く、冷たいものとなり、ルイーズの胸を締め付けた。


「陛下、実はわたくし、予知夢のストレンジを持つピッピコを有しております」

「なんと──」


 ルイーズは深呼吸をして、一匹のピッピコを呼び出した。白い体、尖った耳、背中に虹色の天使のような羽を持つその小さな生き物は、見る者に不思議な安心感を与える存在だった。


「この子はユメと申します。予知夢と言っても、その力は完璧ではありません。見る未来を指定することはできませんし、ユメが見せるのは、まったく予測できない日時、場所、人物なのです」


 ルイーズは一度息を整え、続けた。


「わたくしも、その力を使って先の未来を知ろうとしたことがありました。ですが、好きな未来を選ぶことはできません。ユメが見せるのは、無作為な未来ばかりでした」


 そのことを話すルイーズの目に一瞬、迷いが見えた。だが、前世の知識からスタニスラスに関する未来の出来事を知っていたことが、彼女の胸に強い引っかかりを感じさせていた。ユメの力を使うことで、前世の記憶から来る知識を隠そうとしたのだ。


「ですが、一度だけわたくしの知りたかった未来を見ることが出来ました。八年後、スタニスラス様はストレンジ学園に通っておりました」


 ルイーズはゆっくりと、そして慎重に続けた。


「もし、禁秘に触れてしまったのであれば、深くお詫び申し上げます。ですが、どうしてもスタニスラス様の安否を気遣わずにはいられなかったのです」


 泣くつもりはなかった。決して泣かないと決めていたのに、胸の奥からこみ上げてきたものを抑えることができなかった。

 ルイーズは服の端を握り締め、もう一度強く心を落ち着けようとした。だが、目からは自然に涙がこぼれ落ちていった。


「……貴殿は、もしかして知っておるのか?スタニスラスの現在の様子を──」


 その言葉が発せられた瞬間、ルイーズは静かに頷いた。

 彼女の胸には言葉を吐くことに対する恐怖があった。これがどう転ぶのか、自分でも分からなかった。もし、答えが間違っていれば、記憶を消され、監禁されることになるかもしれない。それでも、ルイーズは真実を告げたかった。そして、言わずにはいられなかった。


「──存じております」

「そうか」


 予想に反して、陛下はルイーズの言葉をあっさりと受け入れた。

 その反応に、ルイーズの胸に一瞬、安堵が広がるも、すぐにその安堵は重いものに変わった。


「貴殿は知っていたのだな。だから、ルベンの婚約者ではなく、婚約者候補としての話を持ち掛けたのか?」

「申し訳ございません……」


 ルイーズはスタニスラスとの婚約者候補を解消され、第三王子の婚約者としての話を持ち掛けられたが、婚約者「候補」としてならばとその話を受け入れた。


「謝らずとも良い。謝罪すべきは我等の方でな」

「そのような事……」


 ルイーズが言葉を止めようとしたとき、陛下が手を挙げてそれを制した。


「貴殿とスタニスラスが想い合っていることを知っていて尚、我は貴殿等の仲を裂こうとしているのだ」


 その言葉は鋭く、ルイーズの胸に深く突き刺さった。彼女は何も言えなかった。胸の奥に重くのしかかるものがあった。


「我は聞いたな。スタニスラスの現在を知っているのかと」


 ルイーズは言葉を詰まらせた後、静かに頷いた。


「スタニスラスは辺境の地に移動中、山道で野盗に襲われた。その際、スタニスラスが乗った馬車は崖の下へと転落したらしい。我が付けていた護衛が重傷を負いながらも、スタニスラスを保護し、一命を取り留めた。しかし──」


 陛下は一度、言葉を切った。息を呑んだように目を閉じ、微かに肩を震わせた。その姿に、ルイーズの心にも痛みが走った。


「スタニスラスの目が覚めたという報告が今朝方、入った。しかし、あやつの記憶は──」


 陛下は言葉を続けようとしたが、そこで言葉が止まった。ルイーズはその言葉を待ちながら、胸の奥に冷たい何かが走るのを感じていた。


「記憶は喪われていた。」


 その瞬間、ルイーズの胸は締め付けられた。息を呑みながら、彼女は目を閉じ、唇を噛み締めた。

 知っていた。スタニスラスが記憶を失うことを、前世の知識で知っていた。しかし、それでも心の中で希望を抱いていた。異なる未来を、別の未来を──


 ヒュッと、喉が詰まる思いがした。


「……」


 何も言えなかった。涙が滲んだ。その涙は静かに、頬を伝って落ちていった。


 ──せめて、思い出すのがあと一ヶ月早ければ。


 その思いが頭をよぎると、胸の中がかき乱され、痛みが増していった。

 前世の記憶を取り戻すのがあと一ヶ月早ければ、王妃が死ぬことも、スタニスラスとの別れが訪れることも無かったはずだ。


「スタニスラス様の記憶喪失とは如何程なのですか?」


 ルイーズの声は震えていた。

 心の中では、答えがわかっていたが、どうしても確認せずにはいられなかった。せめて……せめて、この事実だけは違っていてくれと、微かな希望に縋る。


「全てだ。スタニスラスとしての記憶全てを喪った」


 紡がれる陛下の言葉もまた、どこか震えているように感じられた。無情にも、ルイーズの希望は打ち砕かれた。


 ──あぁっ……やはり、アナタは忘れてしまわれたのですね。


 その一言が心に突き刺さった。

 彼との出逢いも、共に過ごした時間も、今まで重ねてきた想いさえも、否定されたような気がした。八年後に再会することを夢見ていたが、再会した時のスタニスラスは、もう彼ではない── ダルシアク国の第一王子であった事を忘れ、両親を忘れ、ルイーズの事を忘れた別人となる。


 胸が張り裂けそうだ。思わず噛み締めた下唇から血が滲む。


「最後にもう一度質問を宜しいでしょうか」


 ルイーズは、震える声で再度尋ねた。答えはわかっていたが、どうしても確認せずにはいられなかった。


「……聞こう」


 陛下は静かに応じる。ルイーズの声が続く。


「戦いには、スタニスラス様も参戦なさるのでしょうか」


 この問いは、先程と同じ内容だった。だが、今は状況が変わった。彼が死んだという事実が覆されたのだ。生きている今、答えはどう変わるのだろうか。


「ああ。我が信を置く者がスタニスラスの面倒を見ておるが、回復次第、何れ来たる戦に向けて教練されるだろう。スタニスラスのストレンジは既に四域に近い力を持っておる。何れ我と同じ五域にも到達するであろう」


 その言葉に、ルイーズの胸に新たな決意が湧き上がる。スタニスラスが戦う未来に向けて、自分も何かを成さなければならないと感じた。


「承知致しました。では、わたくしもその戦いに参加致します」


 涙を拭い、目に宿ったのは決意だった。彼のため、そして自分自身のために、戦わなければならないという覚悟が心に宿った。


「すまぬな」


 その言葉に、ルイーズはすぐに答えた。


「謝らないで下さいませ陛下。わたくしはスタニスラス様が生きている限り、この命、国のため、世界のために捧げる覚悟はとうに出来ております。スタニスラス様が生きるこの世界をわたくしも共に救いたく存じます」


 その言葉を受けて、陛下は複雑な表情を浮かべた。彼女の決意に圧倒され、何も言えないようだった。


「ルイーズ嬢……」


 そして、しばしの沈黙の後、陛下は口を開いた。


「貴殿はそこまでスタニスラスのことを想っておるのだな……。スタニスラスの現状を知った貴殿にこのまま、ルベンの婚約者候補として据えるのは酷というものであろう……」


 その言葉を聞き、ルイーズは驚きとともに思わず息を呑んだ。


「陛下、ルイーズ嬢には悪いがこのまま彼女を第三王子の婚約者候補のままにしておいてはくれんかのう」


 その発言に、会話の流れが一変した。ルイーズは驚きの表情を浮かべながらも、冷静を保とうと努めた。


「総帥。それは何故だ」

「ルイーズ嬢に未だ話しておらぬ事があるじゃろう。第一王子が襲われたのは野盗では無く、暗殺者だったはずじゃ。暗殺者は皆自決してしまったため、首謀者を見つけ出すことは出来なんだが、きな臭いとは思わぬか」


 その言葉に、ルイーズの胸は一層冷たくなった。何か大きな陰謀が絡んでいるような気がしてならなかった。


「というと?」


 ストレンジ騎士団団長、アイロスが口を挟んだ。彼の表情も真剣そのものであった。


「三年前、オルディア国で起きた事件を忘れてはおらぬだろう。」

「第一王子の殺害……ですか」


 宰相ジョゼフは、渋面でその言葉を発した。


「左様、オルディア国の第一王子が命を落とした時、犯人たちは自決し、黒幕を聞き出すことはできなかった。その時の第一王子、若干十歳でありながら四域に到達しておった。さらには、他にも多くの被害が出ているはずじゃ。それ故、ワシは三域と四域の者たち、さらには学生で唯一五域に達するマティアスにも武術を叩き込んだのじゃからな」

「総帥、貴方は何かご存知なのですか?」

「憶測に過ぎんがな。スタニスラス殿下とオルディア国の第一王子を襲った組織はおそらく同一で、自称『始祖神』の名を騙る者たちが放った刺客だと思っておる」


 総帥の表情は一層険しく、真剣そのものだった。


「第二王子と第三王子も、六歳にして三域に到達しておる。あと数年もすれば、四域にも簡単に到達するじゃろう。その時、その命を守る者が必要じゃ」

「ジジイ……まさか、そんな理由でルイーズを利用する気じゃないだろうな!」


 マティアスは目を見開いて叫んだ。


「信頼できる者が必要なのじゃ。スタニスラス殿下のこともある。それに、護衛よりもむしろルイーズ嬢に守ってもらった方が安心なのじゃ」

「ジジイッ!」

「マティアス!口を慎まんかッ!我が国を守護する総帥に対して、そのような口の利き方はどういうつもりだ!」

「しかし、父上っ!」

「マティアス兄様、御心遣いはありがたいですが、わたくしは総帥の話をお受けしますわ」


 ルイーズはマティアスの言葉を遮り、はっきりと告げた。


「我が国ダルシアク国は、ストレンジ育成に関しては世界一を誇ります。八将神様の血を引く王家の御子が狙われるのは、もはや避けられぬ運命と言えるでしょう。陛下の首筋にある傷は、幼少時に負ったものと聞いておりますが、それが総帥が仰る組織と関わりがあるのではありませんか?」

「気づいたか……」

「総帥のお話から、もしかしてと思いました」

「その通りだ。この傷は、過去に暗殺者に狙われて出来たものだ。我の場合は物心つく前に仕掛けられた」

「陛下もスタニスラス殿下同様、生まれついた時から既に二域に近い力を有しておりましたからな」


 陛下はその言葉に頷き、再び沈黙が流れた。


「第二王子と第三王子も、いずれ自称『始祖神』との戦いに出るのでしょうか?」

「まだ、彼らには伝えていないが、何れ話すことになろう」

「敵はどこに潜んでいるか分かりません。そのために私の力が必要であれば、いかなる役目でも果たしますわ」


 ルイーズの言葉に総帥は黙ってうなずく。


「しかし、ルイーズ嬢。貴殿はスタニスラスを慕っておるのだろう?」


 ルイーズは陛下の問いに一瞬、口を閉ざした。スタニスラスを慕っているが、それが全てではない。彼女には、第三王子の婚約者候補として座る理由があったが、その理由を今、語ることはできない。


「スタニスラス様をお慕い申し上げておりますが、弟君たちを守ることもまた、スタニスラス様の手助けになると私は判断しました。ルベン様には必要以上に近づかないことをお約束します」

「ルイーズ嬢がそう言うのであれば、願ってもない提案だが……」

「第二王子と第三王子のお茶会には御二人の母君であらせられるレリア様の招待が必要です。敵は何時何処から狙って来るとも限りません。御二人が衆目の前に御姿をお見せになられるのはそのお茶会だけだと聞き及んでおります」


 ルイーズは第一王子と第四王子とは面識があるが、第二王子と第三王子にはまだ一度も会ったことがなかった。

 正妃エヴリーヌが亡くなった葬儀の際でさえも、二人の生みの親と顔を合わせることはなかった。

 彼女は、母君であるレリアが主催するお茶会こそが、敵が最も狙うべきタイミングだと直感していた。


「分かった。では、ルイーズ嬢はそのままルベンの婚約者候補としての立場を許可しよう」

「ありがとうございます。ルベン殿下の婚約者が正式に決まるまで、わたくしが殿下たちをお守りします」

「頼んだぞ」

「お任せください」


 ルイーズは心に決めた。彼女は自らの意志で、この世界の渦中へと足を踏み入れたのだった。

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