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お題シリーズ5

見守る事しかできない状況が辛いの

作者: リィズ・ブランディシュカ



 小さなわが子を残して、先に死んでしまった。


 なんて恐ろしいことをしてしまったのだろう。


 わが子は洞窟の中を心細い顔をしながら、さまよっている。


 数日前、観光のために洞窟に入ったけれど、その時に起こった地震の影響で、あちこち崩落があった。


 落ちてくる岩は大きくて、子供が潰されては大変だ。


 そう思った私は、子供をとっさにかばった。

 だから幸いにも、我が子に落石が当たることはなかった。

 けれど、その代わり死神は私に目をつけたようだ。


 私の頭に大きな岩が当たってしまったのだ。

 それで動けなくなった私は、数日後におそらく血の流しすぎが原因で、命を落とした。


 ギリギリまで迷った。

 子どもに、私を見捨てて外に出るように言うべきかどうか。


 洞窟の中はまだ、あちこち小石が落ちてくるし、こういう時は動かずに体力を温存したほうがいいと思ったからだ。


 しかし、救助が来る気配はない。


 私は、最後の力をふりしぼって、我が子に外に出るよう促した。


 子供はもう何もしゃべらなくなった私のそばから、数時間程はなれようとしなかったが、決意して歩き出したようだ。


 どうか、無事に外に出られますように。


 私には、そう祈ることしかできない。


 死んでしまったこの身ではもう、何があってもかばう事はできないから。



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