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「….なぜ、このタイミングなんです?」
セレスティアが去った後、部屋に残ったレイと部屋の主であるジュラルディは、備え付けられたソファーへと腰掛ける。
「1年前にロシュレ国境付近へ遠征へと出かけた牙隊が、もう直ぐ帰ってくるからだろう」
「あぁ、西の…元々シェルランツェの国土だったところを取り戻したっていう、遠征ですね」
同意の意味で肯首したジュラルディは、険しい目をさらに鋭くしてレイに問う。
「……お前はどうするんだ?レイ・ヴァルヒルン」
それに比べてレイの態度は、セレスティアがいた先程までよりもむしろ肩の荷が降りたかのように軽い。
「そりゃ我らが大将軍閣下の意向に従いますよ。つーか、俺がどうこうできる問題でもないでしょう?」
何を今更、というかのような、上官に対しては些か失礼な言い草だったが、ジュラルディはそこについての追及はしなかった。
「…セレスティアの監視を続けるために、お前も副官として牙隊についていけ、と言われてもか?」
「もちろん。俺の任務はそれが全てですから」
レイの真意を探るろうとしたジュラルディだったが、その返答が国軍に所属する者としてのものなのか、レイ自らが望んでいることなのかは果たしてわからなかった。