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【イタ飯】のようです



--"言葉の墓場" 事務所前



(^ω^)「誰からも忘れられた言葉は、この"言葉の墓場"に来る……」



(^ω^)「つっても、【激おこぷんぷん丸】以降、全く現れないんだけど」



(^ω^)「あ~あ。空はこんなに青いのに」



(゜、゜*)「そんなに仕事がしたいなんて、珍しい人ね」



(^ω^)「いや、俺って記憶ないじゃん?つーことは、今の俺の存在意義って仕事だけじゃん?」



(゜、゜*)「んなもん無いわよ」



(^ω^)「ひっでぇ」



(゜、゜*)「そんな事考える暇があったら、今日の夕飯でも考えてなさい。よっぽど有意義よ」



(^ω^)「うーん……カレーとか?」



(゜、゜*)「いいじゃない。じゃあ材料買ってきて作ってね」



(^ω^)「なんで俺が?」



(゜、゜*)「我は上司ぞ? うぬは部下ぞ?」



(^ω^)「ムカつく」



【イタ飯】



(゜、゜*)「ん?……あ、来たわよ。死語」



(^ω^)「ほんとだ。なになに……【イタ飯】?」



(゜、゜*)「チャーハン?」



(^ω^)「確かに"炒飯"だけど、チャーハンは死語にならないでしょ」



(゜、゜*)「……そうね。古今東西、炒飯は中華料理屋の大看板の一つ。米と卵を炒めるだけというシンプルな料理にも思えるけど、炒飯道は海よりも、空の青さよりも深いわ!」



(゜、゜*)「見よ!YOUTUBEの炒飯動画のコメント欄を!あれが炒飯を愛し、炒飯に愛された者共の業!」



(^ω^)「見れたもんじゃねぇだろ」



(゜、゜*)「そんな"炒飯"が死語になるなど、確かにありえないわね。だけど、炒飯は炒飯でも、"パートに行く前の母親が作った"炒飯を表す言葉だとしたら?」



(^ω^)「……ッ!なるほど、あれは確かに炒飯であって炒飯ではない……ッ!」



(゜、゜*)「ぶち込まれている具材は、冷蔵庫で干乾びていたチクワと野菜」



(^ω^)「"もったいないから"と全く足りない量の油、そして卵。対して明らかに多い米」



(゜、゜*)「黄金色なんかじゃない。炒り卵の黄色と白米のコントラスト」



(^ω^)「"パラパラ"……? いや、違う。あの食感は"モソモソ"だ!」



(゜、゜*)「だが、それでいい!」



(^ω^)「否、それがいい!」



(゜、゜*)「母の愛情が詰まったその料理を、人は敬意を評してこう呼んだ! そう!【イタ飯】と!」



(^ω^)「うおおおおおおおッ!」




【イタ飯】




(゜、゜*)「あれ?全然消えないわねコイツ。なんで?」



(^ω^)「お前の仮説が間違ってんじゃねぇの?」



(゜、゜*)「どこが?私の超絶全開理路整然理論が間違ってると言うとでも?」



(^ω^)「じゃあ、"イタ飯"の"イタ"ってなんでカタカナなの?」



(゜、゜*)「そんなの分かんないに決まってんじゃん」



(^ω^)「説明できない時点で破綻してんだよ、お前の理論とやらはよぉ」



(^ω^)「いいか?俺は、コイツが何を表すか、それは、このカタカナの"イタ"にあると踏んでいる」



(゜、゜*)「ほう、面白い」



(^ω^)「飯……は、そのままご飯の意味だろう。訓読みすると同じ音になる"炒飯"が既に存在していることから、この言葉は"炒飯"と"何か"をかけた、駄洒落のような言葉である可能性が高い。その"何か"こそ、"イタ"の指し示す事柄なのだ」



(゜、゜*)「待って、"炒飯"という言葉が"イタ飯"から生まれたということは無いの?」



(^ω^)「それはない。なぜなら、"炒飯"は中国四千年の歴史を持っているからだ。その誕生は、カタカナよりもずっと早い!」



(゜、゜*)「おぉ……そう言われると、根拠は無いのに説得力は有る」



(^ω^)「そして、"イタ"が漢字ではなく、カタカナである理由……それはもう既に検討がついている!」



(゜、゜*)「なッ!なんだってぇッ!? して、それは如何に!?」



(^ω^)「……"ピラフ"だ!」



(゜、゜*)「ッ!? ピラフ!? あの、炒飯のようでいて炒飯ではない、洋風炒飯みたいな、でも全然味が違うけど美味しい、あの"ピラフ"!?」



(^ω^)「そのピラフだ。つまり……イタ飯とはピラフの俗称なのだよ!!」



(゜、゜*)「でも、なんで?"イタ"と"ピラフ"って一文字も合ってないじゃん。むしろ一文字多いじゃん」



(^ω^)「"ピラフ"は、"イタ"リア料理だからだ!」



(゜、゜*)「ッ!!なるほど、"炒飯"に似ている"イタリア料理"の"ピラフ"を、炒飯の訓読みとかけて"イタ飯"と呼んだのね!」



(^ω^)「然り!!」



(゜、゜*)「~~~ッ!! コイツ、やはり天才か!」




【イタ......




(^ω^)「見よ。イタ飯が、己の存在意義を取り戻し、消えてゆく……」



(^ω^)「私は間違っていなかったようだ」



(゜、゜*)「さすが、私の見込んだ男。ということは、アナタを見出した私もつまり有能ということね」



(^ω^)「何言ってんだコイツ」



(゜、゜*)「さて、それじゃあ、お墓作っちゃいますか」



(^ω^)「だから、それ卒塔婆だって」




【イタ飯】


意味:ピラフ




(゜、゜*)「……ねぇ、書いていて思ったんだけど、」



(^ω^)「なに?」



(゜、゜*)「ピラフって、ほんとうにイタリア料理なの?」



(^ω^)「さぁ? "イタ飯"が成仏したんだし、そうなんじゃないの?」



(゜、゜*)「えっ?」



(^ω^)「えっ?」


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