表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

死後の死語が行き着く場所のようです


(゜、゜*)「ごきげんよう。私はクロエ。職業は墓場の管理人」



(^ω^)「アンタ誰?」



(゜、゜*)「今言ったじゃない。私はクロエ、ここは墓場。OK?」



(^ω^)「墓場? ってことは俺死んだの?」



(゜、゜*)「さぁ? 朝、出勤してきたらアナタが居たのよ」



(^ω^)「あれ? ……自分の名前も何もかも思い出せないんだけど。何これ、記憶喪失?」



(゜、゜*)「アナタの名前は……シロよ」



(^ω^)「マジ? そんな猫みたいな名前なの俺?」



(゜、゜*)「今テキトーに付けてあげたわ。無いと不便でしょ?」



(^ω^)「えぇ……じゃあ、もっとかっこいい名前を付けて欲しいわ」



(゜、゜*)「例えば?」



(^ω^)「暗黒神官エターナル・フォースとか」



(゜、゜*)「ちょっと長くない?」



(^ω^)「違和感を覚える所そこなんだ」



(゜、゜*)「めんどくさいからシロでいいや」



(^ω^)「あんた、すっごいテキトーだな」



(゜、゜*)「いいのよテキトーで。シロはこれからどうするの?」



(^ω^)「どうするって……帰る場所が分からないんですが」



(゜、゜*)「行く場所がないなら、この墓場で働いてみない?住み込みで」



(^ω^)「ここで?」



(゜、゜*)「そう。私一人で管理してるから、色々と大変なのよ」



(^ω^)「えらく唐突だな。つーか俺なにもできないよ?」



(゜、゜*)「大した能力は要らないわ。アナタには私の仕事を手伝ってほしいの」


  

(゜、゜*)「ここの墓場は、ちょっと特殊だから」



(^ω^)「特殊?」



【激おこぷんぷん丸】



(゜、゜*)「あ、丁度いいところに現れた」



(^ω^)「なにこれ」



(゜、゜*)「ここは"言葉の墓場”」



(^ω^)「"言葉の墓場”?」



(゜、゜*)「使われなくなった言い回し、誰も覚えていない言葉……【死語】と呼ばれる彼らは意味を失い、ただの記号に成り果てた時、この墓場に現れるのよ」



(^ω^)「どこから?」



(゜、゜*)「さぁね。それで、アナタには死語の"供養"を手伝って欲しいの」



(^ω^)「"供養"って、これをどうやって?」



(゜、゜*)「そうね……丁度いいし、早速【激おこぷんぷん丸】を供養してあげましょう」



(^ω^)「そもそも【激おこぷんぷん丸】ってなんだよ」



(゜、゜*)「死語なんだから誰も覚えてないわよ。

      ……でも、そうね。なんか人名っぽいわね」



(^ω^)「そんな名前付けられたら、俺はグレるね」



(゜、゜*)「暗黒神官エターナル・フォースが何を言ってんのよ」



(^ω^)「いや今の俺はもうシロなんで」



(゜、゜*)「逃げたな」



(^ω^)「……分かった。つまり【激おこぷんぷん丸】は、"激おこ"が"ぷんぷん"してる状態なんだよ」



(゜、゜*)「何も分かって無いじゃない」



(^ω^)「だから、"激おこ"の意味が分かれば、【激おこぷんぷん丸】の意味も自ずと見えてくる!」



(゜、゜*)「……なるほど。なかなか冴えてるわね。で、"激おこ"って何?」



(^ω^)「そりゃ、ぷんぷんするようなモノだから……ん? "おこ"、怒る……ぷんぷんする……あ」



(^ω^)「もしかして、【激おこぷんぷん】って、怒っていることを示しているんじゃないか?」



(゜、゜*)「! なんかしっくり来るわねソレ! で、"丸"って何!?」



(^ω^)「知らんよそんなもん」



(゜、゜*)「Fuck」



(^ω^)「……ていうか、なんで俺たちは【激おこぷんぷん丸】の意味について議論してるんだ?」



(゜、゜*)「これが供養だからよ」



(^ω^)「え?」



(゜、゜*)「無味の記号へと成れ果てた言葉、その記号に意味を思い出させてあげること。コレこそが供養なの」



(^ω^)「……よく分からんけど」



【激おこぷん......



(゜、゜*)「ほら、私達の議論を聞いた【激おこぷんぷん丸】が成仏していくわ」



(^ω^)「え? あ、ホントだ。なんで?」



(゜、゜*)「アナタの仮説が概ね正解に近かったんでしょうね。だから彼も自分の意味を思い出せたのよ。完璧な答えは必要なくて、大体でいいわ」



(^ω^)「思い出したら、それで終わり?」



(゜、゜*)「いいえ。私がお墓に言葉とその意味を刻むの。そうすれば【激おこぷんぷん丸】のことは私たちが覚えていられるでしょう?」



(^ω^)「せやね」



(゜、゜*)「それで、アナタにはさっきみたいに"供養"を手伝って欲しいの。私、結構テキトーな性格してるから、一人だと全然、言葉の意味を当てられなくて、けっこう大変なのよ」



(^ω^)「だろうな。まぁでも、よくわかんないけど、いいか」



(゜、゜*)「ほんとに?ありがとう。」



(^ω^)「なんか昔もこんな感じで、お人好しなことを結構していたと思うし」



(゜、゜*)「記憶が戻ったの?」



(^ω^)「いや……なんか、わかんないけど」



(゜、゜*)「……ま、気長に待つことね。焦っても良いこと無いわ」



(^ω^)「それもそうだな」



(゜、゜*)「それじゃあ、サクッとお墓でも建てちゃいましょう」



(^ω^)「そんなクッキーみたいに」



(゜、゜*)「木の板に書き記すだけだから簡単よ」



(^ω^)「それ、お墓じゃなくて卒塔婆って言わない?」





【激おこぷんぷん丸】


意味:すごく怒っている丸





(゜、゜*)「よし!」



(^ω^)「"よし!"じゃねぇよ。丸ってなんだよ」



(゜、゜*)「いいのよテキトーで。言葉なんてそんなもんよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ