冒険三日目 サハギン退治
冒険者になって三日目。私は早速ギルドへと赴いた。
「おはようございます、フィーさん。依頼をご覧になりますか?」
昨日と同じく受付さんが笑顔で出迎えてくれた。
こちらも挨拶を返しながら、依頼書を見せてもらった。
「本日の依頼はこのようになっております」
内容は、サハギンの退治だった。
人型をしている魚のモンスターだ。海や川に生息している。
川かー。火の魔法は使えないな。……無理だよね?
「干上がってしまうと困りますから、出来れば他の魔法でお願いしますね」
そりゃそうだ。でも使える魔法は色々あるから、多分大丈夫だろう。
「川に落ちないよう、気を付けて行ってきて下さいね」
分かりました。行ってきます。
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というわけで川にやってきた。
川岸から少し離れた場所にいるんだけど、そこからでもサハギンがいるのが分かる。
何でかって? 飛び跳ねているからだよ。
「ギョギョギョギョッ!」
「フィシャー! フィシャー!」
サハギンたちは、飛び跳ねるたびに大きく鳴き声を上げる。
大きな目玉の付いた魚顔に、やたらスマートな足、ウロコは太陽に照らされてきらめいている。
うん、何だろう。光景としてはすごく不気味。
サハギンたちのテンションが高いから、余計にそう思える。
サハギンたち、遊んでいるようにしか見えないな。
とはいえこのままじゃ川に誰も近付けなくなっちゃうし。
楽しそうなところ悪いが、退治されてもらおう。
私はサハギンの一匹が飛び跳ねた瞬間を目掛け、アイスボルトの魔法を放った。
サハギンは空中で氷漬けになり、そのままどぶんと川に落下した。
見えないけれど、多分川底で動けなくなっているだろう。
「ギョギョギョギョッ!」
「フィシャー! フィシャー!」
先ほどと全く聞き分けの付かない鳴き声を上げて、サハギンたちが川から上がってきた。
そりゃ、仲間をいきなり冷凍されたら怒るに決まってる。
でも悪いね、こっちも仕事だし。
集団でこちらへ向かって来ようとするサハギンへ、私はウィンドカッターの魔法を唱える。
風の刃が、サハギンたちの体をバラバラに切り刻んだ。
うわお。ちょっとショッキング。お刺身みたいになってしまった。
川から上がったんだし、火でも良かったかな。
ちなみに雷の魔法は使わないのかって?
あれ、上位の魔法でね。風と水をうまく操れないと使えないんだよ。今の私には無理。
形勢の不利を悟ったのか、川中にいるサハギンの一匹が、ひときわ高く鳴き声を上げる。
「ギョーーーーーーッ!」
すると、それを合図にサハギンたちは一斉に川に戻った。
そして川下の方へと逃げて行ってしまった。
意外と判断が早いな。あのまま海まで行くのかな?
倒しきれなかったのは残念だけど、川からはいなくなったのでよしとしよう。
おっと、そうだ。忘れるところだった。
しっかり魔石を拾っておこう。
川から上がってくれたから、取りこぼすことはないぞ。
一匹だけ冷凍した奴は……まあ放っておいていいか。
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冒険者ギルドに戻ってきた私は、すぐさま受付さんの元へ向かった。
「無事にこなせたみたいですね。それでは魔石を提出してください」
私は言われた通り魔石を手渡した。
今回はあまり多くない。前回のスライム退治が多すぎただけとも言う。
「はい、確かに。では報酬です」
銅貨五百枚。嬉しいけど、ちょっとかさばるなあ。
とりあえず袋に詰めて持ち帰ることにした。
「どうですか? そろそろ冒険は慣れてきましたか?」
何とかなりそうです。
「それはよかった。依頼はまだまだたくさんありますから、どんどんこなして立派な冒険者になってくださいね」
はい、頑張ります。
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宿に戻った私は、夕食と合わせて、色んな飲み物を追加で頼んだ。
多くなってしまった銅貨を少しでも消費しようと思ったのだ。
未成年だからあくまでジュースだけど。もちろんデザートも付けた。
一日が終わる。
部屋に戻った私は、明日も頑張ろうと思いながら、ベッドで眠りについた。




