第一章
―私は・・・何処にいる?私は・・・どう生きれば良い?
誰もいない、何も無い。孤独な闇に置き去りにされて・・・
嗚呼、私は何のために生きれば良いのだろうか・・・・・・・。
誰が私を必要とするだろうか。
誰が私を分かってくれるだろうか。
自ら孤独になったんじゃない。
本当は温かいところで、誰かの温もりを感じながら、ただ普通に、静かに暮らしていたかったんだ―・・・。
―ピチャンッ
暗がりの中で、水が落ちる音がやけに大きく木霊する。
大きな赤い水溜り。
そのすぐ傍に、白い花が咲いている。気高く清い孤高の白花。穢れを知らないその花は、ところどころ、赤に浸食されていた。
「…私相手に雑兵ごときをよこすとは 私も随分となめられたものだ」
白い花がゆっくりと動く。
肩に触れる白い髪。風を受けてゆらゆらと揺れる白い耳に白い尾。その姿はまさに狐。
―ポタタッ
赤い鮮血が彼の頬から滴り落ちる。彼の強さはもう誰の手にも負えない程になっ
ていた。
「もう誰も、私を止めることなど出来はしない…」
そう言って恐ろしい表情で笑う彼の瞳の奥には、何故か涙が見え隠れしていたよ
うにも見えた。
ここは太陽と月の間の星、アルタと呼ばれていた。西暦や、今まで辿ってきた歴史は一切不明。誰もが調べようとすらしない。彼等にはそんなことは関係ないのだ。彼等にとって歴史とは、生きていくうえで必要としない、ささいなことだった。この星に住まう生命は、フレアと呼ばれる二足歩行で羽の生えた生き物のみだった。かつては沢山の生命が闊歩し、生命に満ち溢れた美しい星だったと伝説に残されているが、いつの日か、異常なまでに急速に進化した生命のみが生きることが出来る、空虚な星へと変わっていった。
深淵の闇に気高く清く咲き誇る白い花―彼の名は千羅と言った。
人々は彼のその白く美しい、まるで狐のような姿から、彼を“白狐”の千羅と呼んだ。
―白狐の千羅 アルタを駆ける銀色の風―
千羅は群を抜いた強さを有していて、アルタに住まう数千万のフレアの中で、最強と呼ばれ、唯一独立した存在だった。アルタのフレア達はみな、千羅のその異常なまでの強さを疎んだ。彼のその強さは、彼自身が望んだことではなかったのに・・・・
皆様こんにちは、朱音です!
この度新しく、初投稿だった小説「覇者」の原作である長編小説の、本物の「覇者」を連載していく事を決意いたしました!もの凄く長編になります。中々更新できないかもしれませんが、お付き合いいただけると幸いです^^




