7.5話「夢の最果て」
目を開けると、どこかの傾いた草原に座っていた。香取は辺りを見回した。そして思い出した。ここはよく彩香と来た高校の近くの川の河川敷だ。
すると、後ろから足音がして香取の隣で止まった。後ろを振り向くと、
そこには彩香が微笑んで立っていた。
「彩香…?!!」
「久しぶり」
「嘘だ…彩香はもう…!」
「そう。私は死んだ。香取君の身元がバレて、目の前で見せしめに殺された…」彩香は香取の隣に座った。
「じゃあ、ここは死後の世界かなにかなのか?!!俺は死んだのか?!!」
「うぅん。香取君が貰ったお守りのおかげ」
「っ…こんなのが、俺達を…?!!」
ポケットから、小美川から貰ったお守りを取り出した。
「不思議だよね…何の変哲も無い人が作っただけの縫い物初心者のお守りが、私達をまた巡り会わせたんだもん」
「…彩香、俺は君に謝りたいことがある…」
「分かってる。でも、謝らなくてもいいよ」
「__!!?」
「だって、仕方ないもんね。バレちゃったんだから。助けられなかったって思っちゃダメだよ?」
「何で…何で許すんだ…?!俺は…っ!!」
彩香は香取にそっと抱きついた。
「私は、正義に燃えている香取君が好き、悪い人を捕まえてくれる香取君が好き、被害者や巻き込まれた人に優しく、犯人には厳しく接している香取君が好き…全部の罪を背負っていると思って苦しむ香取君が嫌い、ずっと私を助けられなかったことを後悔している香取君が嫌い…
だから、もう後悔しないで、苦しまないで…何をしたって、私は生き返らないんだから…新しい彼女を作って、私との時以上に楽しい日々を過ごしてね…」
彩香は泣き始めた。香取を優しく撫で始めた。
「ごめん…ごめん…!」
「も~、だから謝らないでよ~」
すると、空が輝きだし、雲の隙間から光が差して地面を照らした。
「…私、もう行かなくちゃ…」
そう言って彩香は立ち上がって、照らされている地面の中に足を踏み入れた。
「彩香…!!
愛してる…!!」
彩香は立ち止まり、香取の方に振り向いた。
「私も、香取君大好き__!!」
「彩香…ッ!!」
目の前が真っ白になり、香取は西新宿署のベッドから起き上がった。もう朝になっていた。
「っ…!っ…!」
落ち着いてからオフィスに行った。既に小美川や好雄、正孝が出勤していた。
「おはよ」
「おはよう…」
香取は小美川に歩み寄り、ポケットからお守りを出した。
「…効果、あったみだいだぞ」
「ほんと?!良かったぁ…!」
小美川は満面の笑みを見せ、香取も少し微笑んだ。