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駆ける刑事前線  作者: 内村
警部補 熊谷好雄
15/15

第三話「柱の帰還と秘密の手紙」

最終話です。

1



 好雄はとある小さな家電修理屋に居た。三万円の入った封筒を、銀髪で縁の太い眼鏡の上に耐熱ゴーグルを掛けながらパソコンの基盤を修理している”日笠竜生”という髭を蓄えた短毛の四十代前後の男性に渡した。彼は半田ごてを使っており室内が非常に臭い。

「先日はすまなかったな、急ぎの用だったから」

「別に良いって。こうしてちゃんと払ってくれてんだから」

 彼は好雄が巡査長の頃、店が荒らされ修理が終わった家電を盗まれ、好雄が犯人を逮捕し商品を取り返したという恩がある。いつも捜査で使用していた発信機等の機械は彼から仕入れた物だ。犯人に怒り自分で追おうとしていた所好雄に見つかり、こうして作った発信機を渡している。

「にしても、一個三万は高いよ…いつもちゃんとお金払ってあげてるのにさー」

「これでもかなり値引きしてるんだぞぉ?内は小規模な修理屋で大量生産出来ないし俺一人だし」

「そういえばそうだったな…

多分また来るから、作りおきしていてくれ」

「あいよ」

 好雄は店を出てティーダに乗り込み署に向かった。



2



 署に着き、オフィスに行くと、

半月ぶりに見る後姿があった。

「強行犯係に戻って来たのか、“香取”」

「あぁ。久しぶりだな」

「この前会っただろ…」

「アン時の俺は暴力犯係としてだったからな」

「ふっ…またよろしく」

「おう」

 香取は潜入捜査を終え強行犯係に戻って来た。容姿も元に戻っていた。

「さて、さっそくパトロールにでも行くか?」

「先約が居る」

「あそ」

 好雄は引き出しから朱音の指輪を取り出した。

「何だそれ?」

「お前が居ない間に起きて解決した事件の被害者の遺品。これから娘さんに返しに行くんだ」

「ほぉ。いってらー」

「うん」

 好雄は一人でオフィスを出てV37スカイラインに乗って病院に向かった。



 病院に向かっている、と、琴音が私服で外を歩いていた。近くでV37を停め彼女に歩み寄った。

「琴音さん?」

「熊谷さん…おはようございます…」

「おはよう…どうして外に?」

「退院したんです」

「そうか…良かった…これからどこに?」

「家に行きます。これから一人暮らしを始めるので…」

「そうなんだ…

…そうそう、これ」

 好雄はポケットから朱音の指輪を取り出した。

「っ…お母さんの…!」

「犯人を逮捕できたんだ。君の証言のおかげだよ。ありがとう」

「い、いえ…お礼を言うのは私の方です…!ありがとうございました…!」

 琴音は指輪を受け取り、自分の左手の薬指にはめた。

「これからは盗られないように、お守りとして持っておきます…」

「その方が良いよ。もっと長く、それも実の娘さんに大事にされるならご両親も喜ぶかもしれないし」

「はい…」

「家まで送るよ」

「え、でも…熊谷さん仕事は…?」

「仕事のことは大丈夫。乗って」

「…はい、ありがとうございます…」

 琴音は助手席に乗り、好雄はV37に再び乗り込んで暁家に向けて走り出した。



 一方。署では香取と小美川が暴行の現行犯の男を連行してきていた。

「おぉ、復帰早々に…」

「絶好調ですよー!さぁ歩け歩け!」と香取は現行犯の脚をガンガンけりながら取調室に向かって行った。

「そういえば、好雄君どこ行ったんだろ?」

「指輪を返しに行ったぞ」

「あ~あれね…」

「俺その事件しらないんだけ~どッ!」現行犯を無理矢理椅子に座らせて二人は一度取調室を出た。

 小美川は暁家の殺人事件のことを香取に説明した。

「なるほどね…」

「それで、その娘の琴音さんが、何か悩んでいるそうなの」

「悩んでる?」

「えぇ。事件発生当日に現場に行った時、彼女の机に手紙がいっぱい置いてあったそうよ」

「手紙?G○ールやL○NEの時代に?」

「それも、差出人が分からなかったらしいの」

「…中は見てないのか?」

「赤の他人のプライベートなことかもしれないから首を突っ込みたくないそうよ」

「ったく相変わらずだな…

普通に考えたら分かるだろ首突っ込んだ方が良いことって…彼氏や友人だったらよっぽど貧困じゃない限りメルアド受け取ってるって…」

「きっと、彼なら分かってるハズ…親が亡くなったばかりだからすぐには話せないって思ってるのかも」

「どうだか…」



 好雄はマンションの入り口前で彼女を見送った。

「じゃぁ、機会があったらまた。今度は事件と無関係で…」

「はい。さようなら…」

 好雄は彼女に背を向けた。

 琴音はポストを開けて中に入っていた物を取り出した。あの差出人が分からない手紙だ。背を向けていた好雄はその光景を見ていた。琴音に気づかれ、微笑んでV37に向かって行った。琴音も微笑んで返してから階段を登っていく。

 V37を署に向けて走らせていると、スマホから着信が来て、V37を路肩に停めハザードを挙げてから電話に出た。香取からだ。

「どうした?」

《どうしたじゃない。小美川から聞いた。お前琴音って娘に送られてる手紙を怪しいと思ってないのか?》

「思ってるさ、少なからずは…でも彼女は何も言わない」

《それだとなお更変だろ?警察に言えないようなことだと思わんのか?口止めされてるのかもしれないだろ?

一度言ってみろ。「手紙を一通だけでも良いから読ませてくれ」って…》

「……わかった、やってみる」

 通話を切り、暁家の固定電話にダイヤルを回した。すぐに琴音が出た。

《はい、もしもし》

「熊谷だ。さっき別れといてごめん…

…手紙、読ませてくれないか?」

 彼女は黙り込んだ。好雄はやっぱりと声を漏らした。

「言えないようなことだったら、僕は強攻策を使ってその手紙を読ませてもらう。いいね?」

《……わかりました。金曜日の昼に来てください…》

「…?わかった、ありがとう」



3



 二日後の金曜日。好雄・香取・小美川・俊介の四人は暁家のリビングに集まっていた。朱音の遺体があったとは思えないほど綺麗で清々しくなっている。

 琴音は自室から封筒の束を持ってきた。彼女の表情は酷く曇っている。

「本当に、読んでも良いのかい?」

「…もし読んでくださったら、差出人の方を見つけ出してくれますか?」

「うん、約束する」「俺も」「私も」「僕もします!」

「……お願いします…」

 琴音は手紙をテーブルの上に置き、好雄達は一通ずつ手に取って読み始めた。

『新しく買った服、すごく似合ってて可愛いよ“詩織”』『ねぇ詩織、お友達とバレンタインの話してたね?俺にもチョコくれる?』などと書いてあるモノばかりだ。

「…これは間違いないな。彼氏が居るわけじゃないだろうし、こんなこと書く彼氏なんて嫌だろ?」

「はい…」

「“ストーカー”確定、だな…」

「でも、この詩織って何だろう…」

「初めて送られた手紙には、『今日から君は僕との手紙の中では“詩織”だ』って書いてあったんです…」

「名前に関する話は?」

「ありません。でも、この手紙…まるで恋人と思って話をされてるみたいで…」

「そりゃそうだろ。好意を持ってやる奴も居れば悪意を持って__」

「そ、そうじゃなくて、こう…何年も前から知り合いみたいに話を振られて…」

「…詩織ってのが重要そうだな。捕まえて何なのかハッキリしてもらうか」

「そういえば、何で金曜日って決めて入れてくれたの?」

「その…何故か金曜日だけは手紙が送られなくて、金曜日の出来事も全く記載されてなくて、それに、外に出た時に感じる視線も無くて…」

「…今まで、何で黙ってたの?」

「…初めて送られた頃の手紙に…」琴音は下の方にあった手紙を探して手に取り好雄達に渡した。

『もしも、こうやって話していて気持ち悪いと思って警察にしゃべったら、僕は君を一生恨み、家族や友人を危険に晒すだろう』

「嘘に思えないんです…この手紙を受け取って少し経ってから、学校の先生に相談しようとしたら、その先生が轢き逃げ事故に遭ったり、友達が帰宅してる時に襲われたって…また誰かに話そうとしたら、母や他の友達が本当に何かされるかと思って…それで…」

「そうだったんだ…話してくれてありがとう。周りの人を傷つけて君を苦しめた奴は絶対に捕まえるよ」

「はい…」

 そして、皆黙って今後のことを考え始めた。

と、好雄が口を開いた。

「琴音さん…これは危険なことだけど、やってくれるかい?大丈夫、僕達が隠れて、いざという時に出るから…」



4



 次の日。一人の人物が暁家のポストを開けた。

 すると、『手紙を下さっている方へ』と書かれている封筒が立て掛けられていた。それを手に取り中に入っていた手紙を読んだ。

『もう終わりにしませんか?私は数ヶ月で学校を卒業します。このまま続けていても、お互い不便なだけではありませんか?

今日の夜、この近所にある公園でお話がしたいです。待っています。』

と書かれてある。

 その人物は自分の手紙を置かずポストを閉じマンションを出て行った。



5



 夜。マンション周辺の公園。

 好雄と香取は駐車場にティーダを停め車内で待機し、小美川は生い茂った植木の陰に、俊介はトイレに隠れていた。琴音はジャングルジムを背によしかかっている。緊張して、怖がって震えている。だが朱音が亡くなったばかりの頃ほどではないようだ。見守り何かあったら時はすぐに駆けつけてくれる人が居るからだろう。

 彼女の服のポケットには好雄が竜生から調達した盗聴器が仕込まれており、四人が付けているイヤホンに琴音とその周辺の音や声が聞こえるようになっている。

「上手く騙されてくれるかねぇー…」

「騙されることを願うしかないだろ…」

 ティーダに乗っている二人はそう話し合った。

 何十分経っても標的らしき者が現れず、暇と思った香取は口を開けた。

「聞いたぞ、お前俺が居ない間取調べで犯人をボコったそうじゃねぇか」

「あぁ…あんなに怒ったのは学校が占領されて葵が襲われていた時以来だった…

あの時、お前に言われたことを納得したよ…「反省してるからって犯罪者を許すのか」ってことをさ…あぁいうことだったんだな…」

「…そうなんじゃねぇかな」

 少しの間車内に沈黙が走った。


 すると、道の奥から怪しい人影が現れた。上着のフードを被っており身長は180cm程、細身で整った顔立ちをしているハンサムな若い男だ。

 その男に気づいた二人は車内に深く蹲った。

「アイツがストーカーか?随分とハンサムだな…女に困りそうじゃないが…」

「そんなこと言ってる場合か…!」好雄は琴音と男を交互に見た。琴音はまだ男に気づいていない。

 男は公園に入り、琴音に歩み寄った。二人はドアノブに手を掛けいつでも出られるような体勢になった。まだ犯人と確信していないからだ。それに、もし本当に犯人だったとしたら、好雄が立てた作戦を完璧に遂行しなければならない。

 男は、琴音の真後ろで立ち止まった。彼女は足音に気づいてゆっくりと後ろを向いた。見守られていると分かっていてもやはり恐怖を感じ、脚が竦んでいる。

「こうして顔を合わせるのは、久しぶりだね…」

「…え?」

「君は、そろそろこの関係を辞めようと言ったね…?つまり、“俺と結婚してくれる”ってことだよね?」男はポケットに手を突っ込んだ。皆警戒する。

「っ…!」

「ほら…これ…」男はポケットから丸めのリングケースを取り出し、琴音に見せながらそれを開けた。中にはダイヤの指輪が入っていた。

「君に渡そうと思っていた物だよ…

六本木の高級レストランで、ディナーの後に渡そうと思ってたんだ…なのに君は僕の前から姿を消した…」

「…?」

「さぁ、受け取ってくれるかい?」


 琴音は受け取らない。受け取れば、この男の告白を受け入れたと同じだと思ったからだ。

「…どうして受け取ってくれないの…?

まさか、他に男が出来たなんて言うんじゃないだろうね?!!」と琴音の両肩を掴んでそう叫んだ。

「ひ…っ!」


「行け!!」


 四人は隠れていた場所から飛び出し男に向かって駆け出した。男は気が動転してすぐには動けなかった。小美川は蹴って琴音から手を離させ、俊介は男を押し倒して押さえつけ、それに香取も加わって男はガチガチに締め上げられた。

「琴音さん!!」

「好雄さん…!!」

 好雄は琴音を抱いて男から遠ざけた。

「こ゛の゛野゛郎゛ッ!!!俺の詩織に触るな゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛ッ!!!!」と男は大暴れする。そんな中香取は男の足に、小美川は手に手錠を掛けて男を動けなくさせた。

「俺の詩織?違う…この子は誰の物でもない、暁琴音だ!!」

「黙゛れ゛ェ゛ェ゛ェ゛!!!!」

 香取は暴れる男を、裏手に停めてあるL33ティアナに乗せるために引きずって行った。



6



 男を取調室に叩き込み、まずは琴音に話をした。

「あの男に見覚えある?」

「えっ…と…ここに来るまでに思い出しました…!」

「本当に?!」

「半年前、トラックに轢かれそうになったあの人を助けたんです…それっきりです…」

「…君はここで待ってて」

「はい…」

 強行犯係の男三人は取調室の中に入り、小美川や正孝は琴音の隣で室内の様子を見守った。取調室の扉は開いている。琴音に話を聞いてもらうためだ。

 好雄は椅子に座り、男と真正面に向かい合った。

「…さて。アナタの名前は?」

「山田太郎」

「本当に?」

「嘘」

「本名は?」

「“品田悟郎”」

「住所は?」

「ここではないどこか__」

 香取は男の頭をぶん殴った。悟郎は衝撃で机に顔をぶつけて鼻血を垂らした。

「真面目に話せ。無駄な時間をとらせるな」

「渋谷区代々木四丁目」

「…なぜ、彼女を付け狙った?」

 彼は黙り込んだ。そして出入り口の向こうに居る琴音を見つけて笑った。小美川は琴音の前に立ち男から琴音が見えないようにした。

「こっちを向け」好雄は悟郎の顎を掴んで向き直らせた。

「狙った理由だ、それくらい言え」

 彼はまだ黙り込むつもりだろう。彼が黙っている時、彼は少し辛そうな顔をする。

その顔に、香取は自分に心当たりがあった。

「…好雄、ちょっと代わってくれ」

「え…あ、あぁ…」

 好雄と香取が代わり、香取が悟郎と向き合う。

「タバコ吸うか?」と香取は自分のタバコの箱を差し出した。

「いらない。詩織がタバコを嫌っていたから」

「そうか…」香取はタバコの箱を仕舞った。

「詩織って…もしかして元カノとかか?」

「?…香取それどういう__」

「あぁ。半分合ってる。だが今でも付き合って__」

「コイツがさっき言っただろ?あの子は詩織じゃない。

全て話せ。なんならお前が思う詩織の魅力でも良い」

「…詩織とは中学からの仲だ…部活も同じで、登下校も同じ電車に乗っていた…彼女はおとなしく、学力や体力は誰よりも優れていた。その反面、繊細な心の持ち主だった…優秀すぎるのが気に食わないって連中にいじめられると自分を傷つけるようなことをして、いつも俺は止めていた…その時、俺は彼女の心の守り神になってやると誓った、一生の…

高校を卒業してからは同棲し、お互い仕事に出ていた…彼女は会社の営業をしていた…金曜日だけ長い時間の残業をして土曜の朝帰ってきた…辛そうに帰ってくることが多くなって、残業を減らしてもらった方が良いって説得した、だが彼女は断った。自分のミスで会社のムードが悪くなってしまってるんだから、挽回しないと、って…

そんなある金曜の夜、彼女は早めに仕事を終えてクタクタになったまま退社したと聞いた…退社して五分後、彼女は飲酒運転をしていた無免のバカなガキ共に轢き殺された…!

ガキ共はすぐに出所して、俺はそいつらを殴り殺してやった…ククク…ッ!

もう、心の支えも、未練も、生きる価値も無くなって、俺は赤信号を渡って自殺しようとした…

だけど、トラックに轢かれる寸前、あの子は俺を助けた…!!


「だ、大丈夫ですか?!怪我はありませんか?!」

「ご…ごめん、ついうっか…り…?」

「…どうしましたか?」

「っ……詩織?」

「へ…?」

「い、いや…何でもない…ありがとう…」


似てるんだよ…!!顔も、髪も、声もしゃべり方も人との接し方も…!!何もかも…!!

そして俺は、あの子には死んだはずの詩織の魂が宿っていると確信した…!!」

「つまり、お前は彼女の死を受け入れきれず現実から逃げていた、と…」

「当たり前だ!!最愛の女だったんだぞ?!!」

「…わかるよ、お前の気持ち」

「分かるわけない!!!他人にこの気持ちなんかが!!!詩織とは生涯を共にしようと、コツコツ貯めた安月給で指輪を買ったり日曜日にディナーの予約もしていた!!!結婚しようという覚悟も出来てた!!!」

「俺は分かるんだよ!!!二年前の潜入捜査で、相手に身元がバレて、見せしめに付き合っていた彼女を目の前で撃ち殺された!!!」

「っ…!?」

「俺も、死んだ彼女のことをずっと引きずっていた…だが、ずっと過去に囚われてちゃいけないんだよ…どんなに悔やんでも、悲しんでも、復讐を果たしても、もう愛した人は戻って来ないんだよ!!俺は、お前に同情する…だがそれは全てじゃない!!赤の他人が似てるからって彼女と思いながら一方的に接し、脅すのは絶対に許さない!!そんなことをしても、その人は本当に好きだった女か?違うだろ?お前の愛した女はもうこの世には居ない!!現実と向き合え…過去に囚われず、新しい出会いを求めればよかったんだ…今のお前を見たら、詩織さんガッカリするぞ…出所したら、詩織さんに見られても恥ずかしくないように、何もかもを新しくして生きていく。出来るか?」

「っ……はい…!」

「…そうか」香取はそっと、泣きじゃくる悟郎の頭を撫でた。



7



 後で分かったことだが、悟郎の話は嘘ではないようだ。

 “新瀬詩織”。経歴や学歴は彼が言った通りで、自家に電話したところ、本当に自殺を計ったことがありよく悟郎が止めていて、高校卒業後は悟郎の家で同棲していたということがわかった。仕事のミスとは何なのか。好雄達は時期が来るまで探らないことにした。



「皆さん、本当にありがとうございました…!母のことも、今回のことも…!」

「琴音ちゃ~ん、私達警察だよ?守って事件解決して当然よっ!」

「フフフッ…」

 琴音は、好雄の前で初めて本心から笑って笑顔を見せ、好雄はそれに安心した。

「それはともかく、しばらく家の周りを巡回しようか?まだ不安だったりしないかい?」

「もう大丈夫です、悩みの種も解消されましたから…」

「そうか…じゃ、元気で」好雄は琴音の肩をぽんっと叩いた。

「はい!では、ありがとうございました!さようなら!」琴音はニッコリと笑い、皆に手を振ってオフィスを出て行った。

「…さて、アイツはどうしようか…」

 悟郎はまだ取調室で泣いている。

「ごめんよ詩織…ごめん…俺はバカだ…!」

「あのままにしとくと洪水になるぞ…」

「仕方ないさ…」

 好雄は悟郎を立たせた。

「さっきの証言が本当なら、君は未成年を殺した犯人だ。刑務所に行くことになる」

「はい、分かってます…!」

「…じゃぁ、行こうか」

「っ…はい…!」



 翌日。好雄は出勤していると、偶然琴音を見つけた。待ち合わせをしていた友人に笑顔を向けて合流していた。その光景を見て、好雄は心底安心してティーダを再発進させた。

次は投稿するかわかりません。無いと思っていた方がいいかもしれません。

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