表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/36

お碗の生涯

 それを無機質に、ただ一点の感情もなく文章で表したならば、直径十センチ、底の深さ五センチ程の、陶器で出来ていて縁に朱色の花模様が描かれた、少し黄色味を混ぜた灰色の、ご飯用のお碗である。

 しかし、私はこのお碗で、既に八年近くも飯を喰らっていたのだから、もう少しばかり愛着を込めて、こう表現したい。

 しゃもじで飯を三杯程盛ると、その縁からご飯粒がポトリと溢れてしまう程の、丼よりは小さく、汁物を容れるにはちとデカい、病弱だった母の肌によく似た色の、縁にほんのりと朱色の牡丹で化粧した、お碗。

そのお碗が、先日ちょっとした拍子で、割れた。割れてしまった。

私にはそれがなんだか物悲しく感じられ、トボトボと残骸を掃除すると、食器棚の上段に箱に入ったまま置かれていた、新しいお碗を取り出した。それは一度も使う事が無かったのだが、ペアで買っていたお碗であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ