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星空ランデヴー  作者: あいしー
第一章~出会いは宙から降ってくる~
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 しょうがない。

 腹をくくってきなこちゃんと向き合う。

「きなこちゃん、落ち着いて聞いてほしいの」

「うん」

「そっちも座って。あとお願いだから、ちょっとの間口を挟まないでくれる?」

「君の頼みならしょうがない」

 屋上に、私ときなこちゃんと三つ目星人が円くなって座っている。なんだか物凄く変な絵面だ。

 大丈夫、三つ目星人には「口を挟まないで」って言ったし。

 ・・・きなこちゃん、私が三つ目星人と喋ってるのを目を丸くして見ていたな。なんだか私、今日だけで色々経験したな。

 友達との距離が遠くなった気がするよ。

「この三つ目の生命体、実は冥王星から来た宇宙人なの」

「・・・わかった。あんこ、熱はないね?あっ、天井が崩れた時に頭打った?」

 わかるよ、きなこちゃん?私だって友達がそう言ったら、同じような対応すると思うよ。

 でも自分のおでこと私のおでこに手を当てて熱を測るのやめて・・・。やっぱり友達としての距離が遠くなったかなぁ。

「うん、熱はないみたいだね。頭は?」

「もう、打ってないよ!本当のこと言ってるの!!」

「いや、それはちょっと。だって、」

「この宇宙人と私は前世で恋人みたいだったの!」

 きなこちゃんの言葉を喰って喋る。

 私だって自分で何言ってるかまだちょっとわかんないよ。でもこれ以外に言い様が無いんだもん。

「・・・え?」

「ホントだよ。嘘ついてないもん」

「てことは、この変なのが宇宙人で?その上、前世での恋人?」

「うん」

 きなこちゃんが、私に同意を求めるようにこちらを向く。それに頷く。するときなこちゃんは大きなため息をつき、勢いよく三つ目星人の方へ振り向いた。

「あんた、あんこに変な洗脳かけたんじゃないでしょうね!?」

「失敬な!僕は事実のみを話したまでだ!!」

「ちょっと!!両方とも落ち着いて!」

「落ち着けるわけないでしょ。あんこのことで争ってんのに、よくそんなに落ち着いていられるね?」

「きなこちゃん、お願いだから話を聞いて!」

 そこまで言って、やっときなこちゃんはしっかり話を聞いてくれるようになった。

 なんだか、今のやり取りだけで疲れてしまう。

「いい、きなこちゃん?宇宙人で、前世の恋人なの。この・・・ええっと」

「ニフタ・アストリァ・プスィテ・フォティゾ・ウーヌム・ディアトンアステリャス・ブルートゥ・四世だ!」

「長いよ、ディアにしな」

「名前を勝手に省略するな!!」

「もういいよ、長いの事実だし。その、ディアが」

「本当に?」

 そこまで言って、きなこちゃんは最後の駄目押しと言わんばかりに目を向ける。私はそれに頷く。

 するときなこちゃんは大きく息を吐いて、「わかったよ」とあきらめた様子で言った。

 途中で粘ったもののここまであっさり信じてくれると拍子抜けだ。

「信じてくれたの?」

「もういいよ、信じるしかないでしょ。そうじゃないとあのオブジェも説明つかないし」

「宇宙船だって、あれ」

「もう何でもいいや・・・。それにあんこが嘘じゃないって言うし。そうしたら信じるしかないでしょ。でも前世がどうのってのは、後々聞くからね」

「うん」

 最終的にはあっさりしてたけれど、何はともあれ信じてくれてたなら大丈夫かな。きなこちゃんが物わかり良くて、本当に良かった。

「で、その冥王星出身の宇宙人とやらは、何で地球に来たわけ?」

「その、約束っていうのを・・・」

「約束?」

「うん。前世でディアと私がまた会おう、って誓った約束を守りに来たの」

「ふーん。でもそれ、あんこは約束覚えてないし。『会う』って約束は果たせたわけだし・・・」

 あれ?そう言われればそうだ。

 私はディアのことを忘れてしまったけれど、『会う』って約束はもう果たした。

「じゃあ、こいつもういいんじゃない?帰っても」

 スパッと、きなこちゃんは言った。

 酷いけど、紛れもない事実を。

 

「いや、僕は帰る気なんて無い」


 しかし、それにディアすかさず反論した。

 私が「どういう事?」と質問すると、ディアは迷いなく言ってのけた。


「失った約束を取り戻すため、僕は君ともう一度愛し合う!!」

「・・・はぁ!?!?」


 宇宙人からの、二度目のプロポーズだった。

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