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「はい?」
我ながら素っ頓狂な声だと思う。でも、考えてもみて欲しいの。
さっきまで普通に友達とお弁当を食べてたのに、突然天井が崩れて巨大な物体が現れた。さらにその中から出てきた、謎の生命体に求婚されるって。
一体どういう事なのか、自分で考えてもさっぱり訳が分からない。
「聞こえなかったのかい?僕と結婚してくれ、って言ったんだよ」
ああ、聞き間違いじゃなかった。やっぱりこの謎の生命体は、私に求婚しているみたい・・・。聞き間違いだったらどんなに良かったか。
「で、答えはどうなんだい!?」
「ひいっ!こっちに来ないで!!」
近かった謎の生命体が、さらに距離を詰めてくる。
ど、どうしよう。何から話せばいいの・・・?
驚きすぎて、さっきまでの焦りや恐怖や不安なんてものはとっくにどこかへ行ってしまっていた。
「どうして近寄るな、なんて言うんだい?僕はこんなにも君のことを愛しているというのに・・・!」
「それがまず、おかしいの!一体あなたは何者なの!?」
い、言えた・・・!とりあえず確認すべき、最重要事項が。
すると謎の生命体は「そうか、自己紹介がまだだったな」と呟き、一つ咳払いをしてから喋り始めた。
「僕の名はニフタ・アストリァ・プスィテ・フォティゾ・ウーヌム・ディアトンアステリャス・ブルートゥ・四世。そして君の夫となるものさ!!」
「わかんないって!」
「なに?何がわからないと言うんだ!?」
「私が知りたいことが、何一つわからないよ!」
思わず叫んでしまったが謎の生命体は、私が何も理解してないことを理解して無い様だった。
というか「僕の名は」って言ったけど、後のが全部名前なの!?長すぎて全然分からなかった・・・。
「取り敢えず、あなたは何なの?人間ではないよね、この体一体・・・?」
「ああ、そういうことか。僕は君たちの暮らす星、地球で言う冥王星から来たものさ」
「・・・!?」
どうやら、私の考えは当たっていたみたいだ。冥王星から来た、つまりは宇宙人。目が三つあるから、とどまりのごとくは三つ目星人、ってところだ。
「じゃあつまり、その天井を突き破った巨大な三角柱のオブジェは・・・」
「僕の宇宙船だ。どういうワケか、地球に来る途中でエンジントラブルがあってね。着陸に失敗してひどい目に遭ったよ」
「そ、そうなんだ」
「知りたいことはそれだけかい?ならさっそく、僕と結婚してくれ!」
三つ目星人は私の質問に答え終わると、満足げに迫ってきた。
うわわ、動くたびに体が少しずつ変形していってる!・・・っじゃなくって!
「何でそうなるの!?そこが一番わからないんだけど!」
「な、何だって!?それは本気で言っているのかい?」
「最初っから本気よ」
「なんてこった・・・!!」
どうやら、三つ目星人はものすごくショックを受けているようだ。
でも何その反応?私何か間違ったこと言ったかな・・・?
「じゃあ、僕たちの約束も覚えてないって言うのかい?」
「約束って何?そもそも私、宇宙人に会うのも初めてよ」
そうだよ。よく考えるとさっきまですごく危ない目に遭っていたし、今だって宇宙人と初めて会ったっていうのに。私って、適応能力高いのかしら・・・?
なんてどうでもいいことを考えていると、三つ目星人が涙ながらに聞いてきた。
「君は、僕と会えるのを待っててくれていなかったのかい?」
「え、ええ」
「・・・そうか、そうなのか」
ウソ、会って間もない宇宙人が私の言葉にすごく傷ついた表情を見せてる!そんなに悪いこと言ったかしら、私・・・?
あ、でも約束っていうのが何か関係あるのかな?なんだか凄く期待していた眼でこちらを見ていたし。
迷っていても仕方ないよね。それにこのまましょんぼりされたままも困るし。怖いけど、しょうがないことだ。
覚悟を決めて、恐る恐る三つ目星人に問いかける。
「ねぇ、よかったらその約束っていうのを教えてくれない?」
私がそう話しかけると、三つ目星人は少しうれしそうに「そうか、僕が話せば何か思い出すかもしれないしな」と言った。
どうやら本当に何か、私はこの宇宙人と関わりがありそうだ。




