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星空ランデヴー  作者: あいしー
第二章~地球の皆さんこんにちは~
20/29

18

「結局三年・・・・何組だ?」

「んーとね、あっ、これじゃない?ほらこの『真夜中の病院。恐怖と勇気の廃屋』ってやつ」


 文化祭前日、歩きながら事前に生徒に配られたパンフレットに目を通す。カラフルに彩られたパンフレットの中で、暗い色が一際目立って見えた。

 うわ・・・・・・、すっごく怖そうだなぁ。『病院に取り残された患者の怨霊、憑りつかれたナースがあなたを最上級の恐怖へといざなう・・・・』だって。何この最高に怖そうな感じ!?

 できることなら行きたくない・・・・。でもそれだと黒蜜に馬鹿にされそうだし、笑われそうだし、行くしかない!


「確かにそれっぽいな」

「じゃあ行こっか」

「んー。・・・・・・あんこ、こっち来い」

「へ?・・・・うわわっ!?」


 何!?何でイキナリ手ぇ握るのさ!?

 ボーっとしてたと思ったら、黒蜜が急に私の手を握って抱き寄せてきたのだ。そのまま私は、バランスを崩して黒蜜に鼻をぶつけてしまった。

 鼻はちょっと痛いけど、心拍数が急激に上がってそれどころじゃない。落ち着け、私!相手は黒蜜!ドキドキするなんて有り得ないんだから。


「マジ凄くないー!?」

「えー、それチョーヤバじゃん!」

「でしょでしょ!!」


 向こうから、二人の女の子が大きな声でずんずん歩いてくる。他校生かな、全然周りのことを見ていないみたいで黒蜜が手を引いてくれなかったらぶつかっていたところだ。

 危ないなぁ・・・・。もっと周りを見て歩いたらいいのに。あ、そっか。今黒蜜は私のために手を引いてくれたんだね。


「ありがと、黒蜜」

「おう。ぶつかってケガしてないか?」

「うん、大丈夫・・・・」

「悪ぃ、鼻ぶつけちまったか。痛くは・・・・」

「大丈夫だよ。それより、ありがとね」

「・・・・おう。二回も言わなくていいよ。お前にケガが無いならそれでいいよ」

「・・・・・・・・・・うん」


 やめてよね、そんな風に優しくしないでよ。ちょっとカッコいい、なんて思っちゃうじゃん。ほら、顔逸らすくらいなら優しくしなきゃいいのに。顔赤くしてさ、こっちまで恥ずかしくなっちゃうよ。

 

「早く行こうぜ。ちゃんと周りには気をつけろよ」

「・・・・・・」


 黒蜜がちょっと速足で三年生の教室へと向かう。それに引っ張らてどんどん景色が流れていく。黒蜜、私の手をつないだままだよ。

 あ、流れる風景の中でちょっと見えた。あそこにいる男女、付き合ってるのかな・・・・。凄く仲良さそうに手、つないでる。

 ちょっ、待って!私たち今、他の人からどう見えてる!?もしかして私たちもあんな風に見られてるの!?


「わぷっ・・・・!」

「着いたぞ。ここだろ、凄い並んでるな」


 黒蜜が急に止まるから、今度は背中に鼻ぶつけちゃったよ。うぅ、そろそろ鼻血出るんじゃないかって心配。

 しかしそんなくだらない考えは、目の前の光景にすぐかき消された。


「うん・・・・。ひっ!!」

「どうした?」

「な、なんでもないなんでもない」

「・・・・・・?」


 心配そうに顔を覗き込まれてしまい、咄嗟に手を突き出して悟られないようにする。

 ビッッッックリした・・・・!!!!何あの怖い看板と血みどろボロボロのナース!?急に視界に入って来たから思わず声に出ちゃったよ!

 さっきのドキドキが一気に違うドキドキに変わったのがわかる。

 脳内が赤いランプを光らせて警告を出している。嫌だ、行きたくない!!

 

「どうしたあんこ、顔が真っ青だぞ」

「や、なんでもないから。ホント、大丈夫だから。気にしなくてイイヨー・・・・」

「そうかぁ?ちょっとお前、おかしくないか?・・・・よし、少し待ってろ。お前は列に並んでろよ」

「え?ちょっと・・・・!」


 そう言い残すと、黒蜜は早々にここから立ち去ってしまった。

 どうしたんだろ、急に・・・・・。

 ていうか、ここに私一人で残さないでよ!周りに沢山血みどろナースが居る状態で、どっか行かれるこっちの身にもなってよ!凄く怖いんだからねー!!


「うひゃぁぁぁあ!?」

「ビックリした・・・・」

「こっちのセリフだよ!いきなり何なのさ!?」


 首筋にとても冷たいものが押し当てられ、振り返ると黒蜜が後ろに立っていて手にはペットボトルが握られていた。どうやらそれが私を驚かせたものの正体だったようだ。

 冷たかったなぁ。やめてほしいね、そういうことするの。


「いや、お前の気分が悪そうだったから。ほらスポドリ」

「・・・・・・」


 なにさ、手ぇ握ってひっぱと思ったら私のこと置いてっちゃうし、驚かせたと思ったら優しくするし。意味わかんない。むぅ・・・・。

 ただの八つ当たりだとちゃんとわかっていても、どうしても心の中でむくれた私がいる。黒蜜が悪いんだからね、なんて訳の分からないこと言っている。


「いらないのか?いらないなら俺が貰うけ・・・・」

「貰うよ。ありがと」


 それだけ言って、多少強引に飲み物を黒蜜の手から奪う。

 きっとこのドキドキは、お化けが怖いからだ。そう自分に言い聞かせる。

 黒蜜が優しいことに対してドキドキしたわけじゃないって、そんな気持ちはスポーツドリンクと一緒に飲み込んだ。

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