14
「で、あんこ。あれは一体何だったんだ」
「・・・・考えなしに連れ出したの?」
「ああ。あんこが困っているようだったしな」
「もう何でもいいよ、疲れた・・・・」
うわ、きなこちゃんの目が死んでる。確かに私も疲れたけどさ。もういいよ、サボりもどうでもよくなっちゃった・・・・。先生には「体調が悪くなった」とでも言っておこう。
「すまない、連れ出したのはまずかったか?」
「別にいいよ。どうせ文化祭の準備で授業は無いしね」
そう。今この朝焼高校は『光星祭』の準備中で授業はないのだ。光星祭はニ、三年生がクラス展示を行い、一年生は各々の部活の手伝いを主に行う。私たち二年B組はコスプレ喫茶をやることになっている。
コスプレなんて正直やりたくないけど、二日あるうちのどちらか一日は接客でコスプレしないといけない。私ときなこちゃんは一日目が厨房を、二日目に接客を担当する。
いやいや、そんなことより!
「どうやって転入手続きしたのさ。住所とかどうしたの?」
「ああ、それは少し細工をしておいた。ちょこっとだけ、僕が入学できるように色々と設定を作ったんだ。年齢や名前、住所や親族関係などをな」
・・・・・・・・・・もう何でもありだな、宇宙人。洗脳とはちょっと違うみたいだけど、ディアがこれから好き勝手に何かやらかさないかが心配だ。
しかしディアはそんなことなどまるで気にせず、違う話題を持ち掛けてくる。
「ところであんこ、あの教室で変な殺気のようなものを感じたのだが」
「殺気?」
「ちょっ、もしかしてクラスに宇宙人が居るなんて言うんじゃないでしょうね!?」
「いや。宇宙人はいないようだったが、なにか僕に恨みのようなものを感じた気がしてな」
きなこちゃんが驚いて、ディアにかみつくようにして問いかける。
目が「もうこれ以上の面倒ごとはよしてくれ!」って訴えてるよ。『目は口ほどにものを言う』とは、正にこのことだ。
あれ?ディアはきなこちゃんの質問を否定したけれど、それはおかしいよ。
「どうだろう・・・・。ディアは今日転校してきたばっかりだし、ディアのことを知ってる人間はまずいないんじゃないかな」
「それはどうだか」
「どういう事、きなこちゃん?」
私がディアの答えを否定すると、きなこちゃんが意見を出した。
「たとえ宇宙人がいなくても、ディアのことを恨むやつがいたって何ら不思議じゃないはずだよ」
「どうして?」
「あんこはディアが最初にどうやってこの地球に来たか、覚えてるでしょ」
「うん。校舎の天井を宇宙船で突き破って来たはずだよ。でもそれがなんで・・・・」
「それだよ。ディアが校舎の天井を突き破った。幸いにもけが人は出なかったけど、怖い思いをした人はいるはず」
「そうだね」
「そんな大きな出来事があったすぐ後にディアが引っ越して来たら、鋭い奴なら怪しむんじゃない?少なくとも私だったら不振に思うよ」
「・・・・・・・・」
成程、それは確かにあり得る話だ。私だって凄く怖かったし、大体の人は逃げたけれど近くに人もいた。確信はないけれど、ディアのことを怪しむ人がいてもおかしくはなさそうだ。
「それに、今朝の変な自己紹介とあんこの婚約者宣言。増々変に思うんじゃない?」
「・・・・・・」
うわぁ、嫌なことを思い出してしまった。
ディアが「あんこは私の婚約者だ。変な真似をする輩がいれば、即刻排除する」なんて余計な事かつ盛大に誤解を受けることを言うから、私まで怪しまれてるに違いない。最悪だ。
「もう本当に余計なこと言うのやめてよね・・・・」
「あんこが嫌と言うなら仕方ない」
ホントに判ってるのかなぁ。不安で仕方ないんだけど、ここはディアを信じるしかない。
「きなこちゃんの言うことも一理あるけど、殺気はディアの気のせいかもしれないし少し様子を見てみようよ」
「そうだね。何もなけりゃそれでいいよ」
話のカタが付いたところで、ディアが話に入って来た。
「結局僕はどうすればいいんだ?」
「大人しく過ごしてくれればなんでもいいよ」
「あんこが誤解されること言ったらただじゃおかないからね!」
またケンカ腰で、きなこちゃんがディアに睨みかける。
確かに皆に誤解されるのは困るけど、ディアが楽しく過ごしてくれればいいな。きなこちゃんは「何言ってんの!?」とか驚きそうだけど、宇宙人が居る学校生活も楽しそう。
・・・・・・なんてね。




