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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
9/370

兆し

二度ある事は三度ある……ということでまた残酷描写がありますのでご注意を。

 その後、私は【狩人】スキルを取得しリックさんと別れ一人狩りを続けた。解体場に寄って解体の方法なども知りたかったため、兎を四匹程狩ってから街に戻ることにした。狩った獲物は血抜きをしておけとリックさんが言ったため、ある程度逆さにして血を抜いてから【収納】スキルの方にしまった。こちらならば時間経過がないため、身が痛むことがないためである。兎を追いかけていたら少し森に近づいていたので見当たる範囲で薬草を探し、その結果、薬草を六枚手に入れることができた。

 そして兎も薬草も取り終わったため帰路に着こうとしたら、子羊が見えたのでつい「ラム肉ぅぅぅぅ」と我を忘れて追いかけてしまった。おかげで街で走り回ったのと兎を追いかけまわしたのを合わせて【AGI上昇】が10Lvになりました。【刀剣】がまだ7Lvに対して、何故先に【AGI上昇】が10Lvになったのかが少し納得いかなかった。……解せぬ…。まぁスキルレベルが10Lvになったことで、SPが1貰えたのでよしとしよう。


 時刻はGT11:55。お昼頃だし、解体してもらえれば昨日の酒場でお肉を調理してもらえるだろうと考え、私は解体場に向かった。


「すいませーん」

「あぁん? お嬢ちゃん何の用だ!」


 解体場についた私は、声をかけて中の人を呼んだ。すると、到る所に返り血を付けたムキムキなおじさんが出てきた。


「ひっ!? …あのぉ…狩りで手に入れたのを解体してもらいたくて…」

「ならさっさと見せろ!」

「はいぃ!」


 やばいよ解体場の人怖いよ…。私は命令されるがまま狩った獲物を出した。


「兎四羽に子羊一頭か。お嬢ちゃんにしてはよく取れたな。それにお嬢ちゃん異邦人だろ? 誰に教わった?」

「えっと…リックさんって人に…」

「あいつかー。ならここの説明も聞いたからわかんだろ?」

「てっ手数料のことですよね?」

「わかってるなら話ははえぇ。大体一匹当たりの手数料が50Gだ。大型になると倍になるがな」

「それで構わないんですけど、解体の方法を教えていただきたくて…」

「……お嬢ちゃんがやんのか?」

「はい…」


 おじさんはキョトンとした目でこちらを見た。解体を女がやるのは変なのかな…?


「生き物の解体はかなりグロテスクだぞ? 手数料を惜しみたいがために覚えるのっていうのならオススメしねえぞ?」

「確かに手数料の事も少しはありますが、自分で解体できるようになりたいのでお願いします!」

「お嬢ちゃんがいいって言うなら俺は構わんが…」

「ありがとうございます!」


 解体の方法をおじさんに教えてもらえることになった私は、いきなり子羊は難しいとのことで、兎を解体することとなった。おじさんに教えてもらったことは、まず獲物を狩ったら血抜きをして水で洗浄し毛を取るといった作業でした。毛を取るといった作業は、魚の鱗を取る作業と同じという事らしいです。

 そして毛を取り終わって綺麗にしたら、お腹を切って内臓を取り出します。この時、内臓を傷つけてしまうと中に詰まっている物が外に出てしまうため注意が必要とのことです。後は部位ごとに解体していき、解体後に水で綺麗にすれば終了です。


 私は兎の解体を行うおじさんの動きを見てから、残りの三羽の内一羽を解体してみろと指示されました。人生初の解体作業なので緊張もありました。私が兎一羽を解体し終わる頃には、おじさんは子羊と兎2羽解体を済ませていました。やっぱり本職は違うなと実感しました。


「よし、解体は出来るようになったから今度からは自分で出来るな?」

「がっ頑張ります!」

「じゃあ手数料は一頭と三羽だから200Gだな」

「えっ?場所代とかは…?」

「初回のサービスだ。おら、さっさと寄越せ」

「はっはい!」


 私はおじさんに手数料の200Gを渡し、解体したそれぞれの獲物を肉は【収納】に、爪や皮はアイテムボックスにしまいました。そしてINFOを見てみると…。



 ―INFO―

 解体師から解体の方法を教わったため【解体】スキルがSP不要で修得可能になりました。



 よしよし、さっそく取得っと。私はさっそく【解体】スキルを取得した。すると、今度は別のINFOが鳴り始めた。



 ―INFO―

【狩人】【解体】スキルを取得したため【切断】スキルが取得可能になりました。



【切断】スキル…? 言葉から考えると何かを切断するんだよね…? 少なくとも【狩人】と【解体】に関係あると思うんだけど…。SPも丁度1あることだし取ってみようかな?

 私はSPを1使って【切断】スキルを取得した。そして【料理】【採取】と【解体】【切断】を入れ替えた。【解体】スキルは解体時にDEXにボーナスが掛かり、スキルレベルが上がれば通常でもDEXにボーナスが付くようになると書いてあった。【切断】スキルについてはただ一言、「切断できるようになります」という言葉だけだった。イマイチよくわからないので解体場のおじさんに聞いてみた。


「切断スキル? あぁ、ちょいと養豚場の方に来てみな」

「はい?」


 私はおじさんについて養豚場の方へ向かった。養豚場ではエアストピッグが飼育されていた。まぁ養豚場なんだから豚が飼育されているのは当たりま…え…?


「なんだろう? 豚の首や四肢に光る線が見えるけど…?」

「おっ見えたか。あれは切断スキルを持ってると見えるようになる切断ポイントだ」

「切断ポイント?」

「あの1cm程の細い光る線に沿って切るとその部位を切断できるんだ。ただし、生きていることが前提で、しかも判定があの光る線通りに切らないといけないほどシビアだ。だから動いてるとほとんど切断できないな。まぁそんなことを狙うんだったら普通に切ったほうが早いんだけどな!」


 細い光る線? 私には1cmよりも太い光る線(. . . . .)に見えるんだけど…?


「おじさん。今って何のスキル付けてますか?」

「お? お前さんが【切断】スキルのこと聞くから【解体】と【切断】を入れ替えたが? あとはステータス上昇系を付けてるが…それがどうかしたか?」

「あっいえ…ちょっと気になって…」


 おじさんはこの養豚場で豚を狩って解体もしている。ということは少なくとも【狩人】、もしくはそれに似たスキルを持っていないと豚は消滅してしまう。つまりそういったスキルを持っているにも関わらず、私と【切断】スキルで見える切断ポイントの線の太さが違う。つまりこれは…。


「おじさん。ステータス上昇系と【解体】スキルを入れ替えて装備してもう一回、あの豚を見てくれる?」

「構わんが…何かあるのか?」


 おじさんは疑問に思いながらもスキルを入れ替えてくれた。


「まったく、何がした…んん?」

「おじさん…切断ポイントの太さはどうなってる?」

「太く…なっとるなぁ…。…なんでじゃ?」


 おじさんに試してもらって分かった。【解体】スキルは解体の時、つまり死体の時しか付ける必要性がない。逆に【切断】スキルは対象が生きてないと意味がない。この利用方法が逆のスキルを同時に装備することによって、【切断】スキルの切断ポイントが広がるようになっているんだ。装備できるスキルの数は10に対して、真逆の利用方法のスキルを装備するのは枠的にも意味はない。だからおじさんも知らなかったんだ。この情報は…私の武器になるかも…!


「おじさん! 色々ありがとうございました!」

「お、おう…。それにしてもたまげたなぁ…。この情報はどうする? どっかに売るか?」

「出来ればやめてほしいなと思ってるんですが…いいですか…?」

「あんたが見つけたもんだし、あんたにその権利がある。だから今見たことは…わしは何も見てないから何も知らんな」


 よかったー。ここで口止め料とか言われたら困ってたよ…。私はおじさんにお辞儀をして解体場を去った。



 解体場から去ったのはいいものの、私の服や身体には返り血がべっとり付いていた。このまま歩くのも嫌なので、身体を洗う銭湯のようなところがあると街の人に教えて貰えたのでそこに向かった。銭湯では脱いだ服はロッカーにしまうと、耐久度は回復しないけど自動で綺麗に洗浄してくれるシステムのようだ。

 女湯に入った私は、まずは身体を綺麗にするためにお湯で身体を流した。流石に石鹸はなかったので水洗いだが、色々とさっぱりした。その後湯に浸かってリラックスリラックス。気持ち良さについ口が猫の口っぽいωの形になるが、こうなるのは仕方ない。

 しかし、女湯にいる女性プレイヤーは比較的に少ないように見えた。まだ一万人しか参加者がいないため、男女比の割合が大きいのだろうか? それにまだGT14:00頃で、お風呂に入る時間でもないからかもしれない。また、湯に浸かっているプレイヤーたちはゲーム内の話をしていたので、いい情報がないかこっそり聞くことにした。


「あー疲れたー」

「あんたそればっかりじゃない。それにしてもダンジョンだと無限湧きするくせにドロップしょっぱいわよねー」

「ホントホント。しかも防具や武器の素材にしようにも全然落ちないしねー」

「それにもうポーションの供給がそろそろ追いつかないそうよ」

「はー? 生産職しっかりしてほしいわー」

「まぁ【採取】持ってないと薬草取れないってのがネックね。あれのせいで薬草見つけても取れないもん」

「薬草のためにわざわざ貴重なSP使って【採取】取る必要ないしねー」

「出ても宝箱から三枚ほどだし気休めにもなりゃしないわよ」

「それにNPCの対応もなーんか感じ悪くなってるし、たくっ何様のつもりよ」

「確かにちょっと素っ気ないところがあるわね。あんたなんかしたんじゃない?」

「あたしは何もしてないわよ!」


 話を聞いてる限り、ダンジョンはそこまで美味しくない…というより【狩人】スキルが優秀なだけなのかな…? 死体が残るっていう時点で素材は取り放題だし…。それにポーションの供給が間に合ってないのかぁ…。西の森に入って薬草集めてこないといけない感じかな? あっちでの明日には二人と合流だし、既に足りないってことは取ってきたほうがいいよね?

 そして気になるのが、街の人の対応が悪くなっているっていうことだ。でもリックさんも解体場のおじさんも、きちんと対応してくれたし…。今はまだ態度が悪いプレイヤー限定なのかな…?

 でもその内、全プレイヤーに対して対応が悪くなるって事が起こるかもしれない…。最悪、物を売ったり買ったりができなくなるってことじゃ…。しかもまだゲーム内で二日だ。これが一ヶ月も同じだったら…。


 私は言い様のない不安を感じ、銭湯から出た。



 ―ステータス―

 SP:0

【刀剣Lv7】【ATK上昇Lv5】【AGI上昇Lv10】【DEX上昇Lv4】【察知Lv3】【忍び足Lv2】【鑑定Lv5】【収納Lv2】【解体Lv1】【切断Lv1】

 特殊スキル

【狩人】

 控え

【料理Lv1】【採取Lv4】

次は7/9の08:00に投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 生きてるイコール現実と同じ。狩り尽くしたら生態系が壊れるんでない(笑)しかも現場に居なけりゃ仕方ないが見ていて何もしてなけりゃそれも問題よな。傍観者は実行犯と同罪だし(笑)
2020/02/11 14:54 退会済み
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