表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
8/370

【狩人】スキル

20000PV突破感謝です!


またまた少し残酷表現がありますのでご注意を。

 ナンサさんの家を出た頃には、もう既に日は暮れており時刻はGT(ゲームタイム)19時を過ぎていた。死亡するとHPやMP、状態異常は回復はするが、満腹度は回復しないようだ。マールさんのところで買ったパンを食べようかと思ったけど、夜だし少しガッツリ食べたいところなのでそういったお店を探した。しばらく大通りを歩いていると、一際賑やかなお店を見つけた。


「酒場…?」


 そのお店はレストランなどではなく、西部劇とかに出てきそうな酒場っぽいお店だった。満腹度ももう半分を下回っていたので、私はその酒場に入ることにした。酒場に入ると料理やお酒を飲み食いしながら騒いでいる人たちが目に映った。


「一名様ですか? カウンターで大丈夫?」


 咄嗟に酒場を出ようとするが、受付っぽい女性に声を掛けられてしまい、出ように出られなくなってしまった。


「は…はい…」

「一名様ご案内ー」


 私は観念して受付の女性について行きカウンター席に座った。


「これがメニューだからね。決まったら声かけてねー」

「はい…」


 とりあえず渡してもらったメニューを開いてみる。お酒はもちろんの事、お肉やお野菜の料理もいくつもあった。しかし、お魚の料理だけは紙で出せませんと書いてあったので、やっぱり南の街道が開通しないと仕入れられないのかと考えた。


「えーっと…お肉何にしよう…。エアストピッグのハンバーグにステーキ、エアストベアーのステーキにエアストベアーの肉と野菜の煮物と色々あるけどどうしよう…」


 私としてはハンバーグよりステーキが食べたいけど、エアストベアーのベアーって熊ってことだよね? 熊肉と野菜の煮物も捨てがたい…。よし…!


「すいませーん」

「はいはーい。何にするんだい?」

「えーっと、エアストピッグのステーキにエアストベアーの肉と野菜の煮物お願いします」

「…えっと…その二つでいいの?」

「はい」

「か、かしこまりましたー…」


 さて、料理が来るまでどうしよう…。とりあえずご飯食べた後はどこへ行くかを考えとこうかな。といっても…どこ行けばいいのかが全くわからない…。ギルドホールってところに行けばクエストとか受けれるのかな?


「はい、エアストピッグのステーキとエアストベアーの肉と野菜の煮物だよー。お代は食後でいいからねー」


 そんなことを考えていると、注文した料理ができたようだ。おーとっても美味しそうです。


「いただきます」


 私はまずはナイフとフォークを使って、エアストピッグのステーキから食べ始めた。口に入れたお肉は噛むと肉汁がジュワっと出てとっても美味しいです。そんな調子でステーキをぺろっと食べてしまい、もう一つの煮物に手を伸ばします。煮物のお肉はしっかり煮込んであるようで、とろとろで口の中で溶けそうな勢いです。お野菜の方は味がしみ込んでてパクパク食えそうです。気持ち的にお腹が空いていたのか、十分ほどで二品食べ終わり手を合わせました。


「ご馳走様でした」

「あはは…お客さん良い食べっぷりだったね…」

「えっと…お代は?」

「あぁ。えー…エアストピッグのステーキが50Gで煮物が65Gで合計115Gだね」

「はーい」


 私は115Gを実体化させ、受付の女性に渡した。


「毎度ありー、またよろしくねー。……あっ!」

「ん?」

「あなた異邦人よね?」

「そうだけど…」

「異邦人なら狩りで手に入れたお肉とか持ってないかしら?」

「あー…。その…私まだ狼一匹としか戦ってなくてお肉とか持ってないんだ」

「あら残念…。やっぱり狩人のリックさんにお願いするしかないかしらねぇー?」


 狩人?

 なんかの職業かな?


「そのリックさんって人がお肉届けてくれるの?」

「お肉どころか獲物丸ごと届けてくれるんだよー」


 えっ!? モンスターは狩ったら消滅してドロップアイテムしか出ないんじゃ…。


「そのリックさんはどこに住んでるの?」

「街の北側にエアストピッグを育ててる養豚場と解体場があるんだけど、その近くに住んでるよ」

「ありがとうございます!」


 私は受け付けの女性にお礼をいい、ダッシュで街の北側を目指した。大通りから北に目指して数十分後、件の養豚場らしきところに辿り着いた。


「まずはそのリックさんを探さないと…!」


 情報収集としてリックさんが住んでいる場所を探す必要がある。そこでまず、近くの人にリックさんの住んでる場所を聞いて回った。結果としてはリックさんの住んでる場所はすぐにわかった。近所では割と有名だったらしい。


「さて…問題はいるのかな…?」


 私はリックさんの家のドアをノックした。


「……?」


 もう一度ノックしたが、反応がなかった。今は留守なのかな?


「何か用かな?」


 今日は諦めて帰ろうとした時、後ろからガタイがいい男の人が声をかけてきた。


「えっと…あなたがリックさん…ですか?」

「そうだが、私に何か?」

「ええっと…その…」


 初対面でいきなり狩った獲物が消えないのは何でですか、って聞くのは失礼な気もするけど…。でも聞かないと答えてくれなさそうだし…。


「あの…リックさんが狩ったモンスターが消えないって聞いて…その…」

「あぁ、その理由が知りたいのか」

「まぁ…そういうことです…」


 なんか威圧感が凄いけど…どうしよう…。


「こんなところで立ち話もなんだから、家の中に入るか」

「はっはい!」


 私はリックさんについていき家の中に入った。そして指示されるまま、近くの椅子に座った。


「えー…私が狩った獲物が何故消えないという理由だったな」

「はい…」

「端的に言えば、私が持っている【狩人】スキルがその理由だな」

「【狩人】スキル…?」


 リックさんは【狩人】スキルについて説明してくれた。このスキルを取得すると、狩ったモンスターが消滅せず、その場に残るというスキルだという。また、【狩人】スキルにはLvがないので効果が高くなったりすることはないとのことだ。素材が丸ごと取れるという利点は大きいけど、死体がそのまま残るということは、攻撃方法によってはろくにアイテムを手に入れることができないということになる。まだ私は脇差だからそこまでだけど、火属性魔法や雷属性魔法だと無駄に死体が傷つくってことだよね?


「もし【狩人】スキルが欲しいなら明日の朝九時に街の北門のところで待っていろ」

「はっはいっ!」


 朝九時ってことはあっちで夜七時前にインすればいいのか…。ってことは早めに夜ご飯食べないといけないってことになる!? 一回ログアウトして準備しないと!


「ありがとうございます! 失礼しました!」


 私は彼にお辞儀をしてリックさんの家を出てログアウトをした。



 ---------------------------------------------------------------



 二回目のログインです。18時50分ぐらいにログインしたからあと30分程でGT09:00になるはずだ。リックさんは北門で待ってろって言ってたから、そこで待機してればいいよね? 北門に寄りかかって座って待っていると、リックさんが向かってきているのが見えた。


「来たようだな」

「今日はよろしくお願いします」

「…行くぞ」

「はいっ!」


 私はリックさんについて北門から街の外へ出た。エアストの北側は見通しがよい平原で、森と比べて視野が確保できるのは大きい。


「こっちだ」


 リックさんは街道を外れ西側へと向かった。私はその後ろをついて行くが、特にリックさんは私の方を気にせずどんどん進んでいく。気まずい空気の中、しばらく歩いていると二匹程少し大きめな兎がいるのを見つけた。リックさんも兎を見つけたのか、弓を構え狙っている。兎は私たちに気付いていないのか、特に警戒している様子もなかった。そしてリックさんの放った矢は、兎の急所である耳に直撃した。すると、兎のHPゲージが無くなったにも関わらず死体はその場に残った。


「おぉ…」

「残ったもう一匹がこっちに来るはずだ。そいつを狩れ」

「えっ?」


 リックさんから目を戻すと、確かにもう一匹の兎がその赤い目をぎらつかせながらこちらに向かってきた。

 私は脇差を抜き、向かってくる兎に対して構えた。

 兎は勢いに任せて突進してきたが、森で会った狼より動きは遅かったので余裕を持って避けることができた。

 そして、兎は狼と違い勢いを落としきれずに地面にダイブした。私は地面にダイブした兎を背後から襲い、脇差を背中に突き刺した。脇差を突き刺したことにより兎は暴れるが、体型としては私の方が全然大きいため、両手で脇差の柄を握り抑え込む形で突き刺してるため兎は逃げることができない。しばらくすると兎のHPが尽きたため消滅した。私は顔に付いた返り血を腕で拭い、リックさんの方を向いた。


「よし、これでお前も【狩人】スキルを取得できるはずだ」


 INFOを確認してみると確かに書いてあった。



 ―INFO―

 狩人から狩りの方法を教わったため特殊スキル【狩人】スキルがSP不要で修得可能になりました。

 ※特殊スキルは取得すると別スロットとして装備され外すことができなくなります。



 おおう…。外せなくなるとは思ってなかったです。でもいつドロップするかわからないお肉とかを手に入れることが出来るのは非常に美味しい…。


「狩った獲物は街の養豚場の近くにある解体場だったら解体してもらえるはずだ。ただし手数料は取られるがな」

「そこでもやっぱりお金かかるんですね…」

「まぁ場所を借りて自分で解体すれば、場所代ぐらいでそこまでかからないと思うがな」


 それならそっちの方がいいかな…? でもまずは。


「リックさん、ありがとうございました」


 私はペコンとリックさんにお辞儀をした。


「お礼をしたいなら、いい獲物を狩ったらその食事を奢るぐらいしてもらおうか」

「わかりました!」

「そういや名前を聞いてなかったな」

「あっアリスです!」

「アリス…か。まぁ期待して待っていよう」


 その時、私はリックさんが初めて笑った顔を見てちょっと怖くなったのは内緒だ。

次は7/8の08:00に投稿予定です。


アリスは肉食ですが野菜や魚も好きです。むしろ食べ物ならほとんど食べます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
死体が残るから素材が丸ごと手に入るのは便利だけど、実は地雷スキルなのでは? 死体丸ごとの状態で自動的にインベントリに仕舞われるんならともかく、もし毎回その場に残るんなら例えば複数の敵との戦闘だと邪魔に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ