表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
7/370

初戦闘

PV10000突破しました! 感謝です!


戦闘回のため出血表現などがあります。苦手な方はご注意ください。

 私はおばあちゃんに言われた通りに西から街を出て森へ向かった。その間に何人かのプレイヤーとすれ違ったが、彼らも薬草を取りに行った人たちなのだろうか。ということは入り口付近はなくなってると考えたほうがいいかもなー。それにおばあちゃんがポーションを持たせたってことは、モンスターが出てくるってことだよね…? 初戦闘が平原じゃなくて森の中での戦闘か…ハードルが高い…。まぁ【察知】と【忍び足】があるからモンスターが来ても大丈夫だよね…? そんなことを考えている内に森へ到着した。


「それにしても随分大きな森で…」


 これはもう西全体に森が広がっているのではないかというぐらい大きな森に見えた。また、入口付近から周囲に柵が刺してあった。


「これは…森が街まで来ないように除草とかするための基準にするためかな?」


 意図はやった人しかわからないので、深くは考えずに森へと入った。5分ほど奥へ向かい、周辺の草を【鑑定】で調べてみた。


『雑草』『雑草』『毒草』『雑草』『雑草』『毒草』『雑草』『雑草』


 雑草多すぎ…って毒草が普通に近くに生えてるって…末恐ろしい森だことで…。とりあえず毒草は取っといてっと…。私は毒草だけを取って違う場所に移動した。


『雑草』『雑草』『雑草』『雑草』『雑草』


 移動しながら【鑑定】を使って薬草の場所を探すも、まったく見つけられない。


「んー…すれ違った人がほとんど取っちゃったのかな…?」


 もっと奥へ行ったらあるかもしれないけど、下手したら迷子になって出られないってこともあるし…どうしよう…。とりあえずこの辺りで見つけないとなぁ…。


『雑草』『雑草』『雑草』『薬草』『薬草』『薬草』『薬草』


 ここら辺も雑草……おぉっ! 薬草見つけたぁぁぁ! しかも結構生えてる!

 私は見つけた薬草を取り、アイテムボックスに収納した。アイテムボックスに収納した薬草の数を数えると16枚。


「これだけ取れば大丈夫だよね。さて帰ろうっと」


 踵を返そうとした瞬間、【察知】スキルが反応し背後から警報が鳴った。私は後ろに振り返ろうとした瞬間、何かにぶつかったような衝撃に襲われた。


「がっ!?」


 何かに吹き飛ばされた私は、吹き飛ばされた先にあった木に背中を思いっきりぶつけた。ぱっとHPゲージを見ると、およそ4割程減っていた。そして前を見ると、灰褐色の毛皮をした犬が見え、あれは狼なのだろうと悟った。とっさに脇差を抜くが、うまく立てない。ステータスを見てみると、『打撲』の文字が見えた。

 そして、私はこれがおばあちゃんが言ってたことの意味だと理解した。怪我だけどポーションでは治せないダメージ…。少なくとも今の私には治せないということはわかる。


 狼は私は脇差を抜いたからか、警戒をしながら様子を伺っている。私は初心者ポーションを1つ飲み、HPを少し回復させた。『打撲』状態のせいか、まだうまく立つことができないため、私は座ったまま脇差を構えた。


 狼は私がまだうまく動けないと悟ったのか、後ろに回った瞬間勢いよく飛び掛かってきた。私は咄嗟に横に倒れて回避するが、狼は着地し体勢が崩れた私に再び襲い掛かった。私は脇差を利き腕の右手に持ち、左手を前に出した。その私の左腕を狼は噛みついた。狼の噛み付きにより、私のHPはどんどん減っていく。

 私も脇差で狼の横っ腹を突いて抜いて、突いては抜いてを繰り返すが、私のHPが尽きるのが先にわかった。


「このままじゃ……!」


 私はさっき取った毒草をアイテムボックスから取り出し、狼の鼻に押し当てた。


「キャゥン!?」


 狼は毒草の匂いで咄嗟に口を離した。私はその動きを見逃さずに、狼を押し倒し脇差を首に突き刺し続けた。


「はぁっはぁっ!」


 狼は次第に動きが鈍くなり、HPゲージも無くなって消滅した。私は狼の返り血でところどころ真っ赤に染まった。アイテムボックスを開いてドロップアイテムを確認すると、狼の毛皮と狼の牙が手に入ってるのが見えた。


「さて帰らないと…っ!?」


 帰ろうと立ち上がろうとするが、うまく立ち上がる事が出来ずに倒れ込んでしまう。ステータスを見ると、『打撲』の他に『出血』『出血多量』というのが追加であった。おそらく倒した狼の牙には出血を誘発する効果があったんだろう。もしくは怪我を負うと出血する仕様なのかもしれない。

 やばいと思って私は初心者ポーションを取り出そうとするが、もう既にHPゲージは1割を切っていて手も思った通りに動かなかった。そのまま私は地面に倒れこんだまま意識を失った。



 ---------------------------------------------------------------



「こ…ここは…?」


 目を覚ました私は、大きめの台座の上に横になっていた。身体を起こして周りを見ると、広めの空間に複数の台座や何かの像、それに結婚式等で見るような横長い椅子が多く見られた。


「礼拝堂…なのかな…?」

「お目覚めになりましたか?」

「…誰?」


 振り返るとそこにはニコニコした神父さんが立っていた。


「私はここの教会の神父です」

「はぁ…」

「異邦人の方は亡くなられるとこちらで生き返るのですよ。周りにいくつも台座が見られるでしょう?」

「ってことは私は死んだからここに来たってこと?」

「えぇ、そうなりますね」


 じゃああの後出血で死んだってことになるのか~。一先ずアイテムやお金を確認したが、特に減っている様子はなかった。ヘルプを見てみたが、デスペナはステータスが一時間ダウンするとのことだ。

 ただし、スキルLvが10を超えているのが5個未満の場合はデスペナがないとのこと。また、PK――プレイヤーに殺された場合は、所持金の半分とアイテムボックスの中身をランダムで取られるらしいので気を付けないと。


「じゃあまたお世話になるかもしれないのでよろしくお願いします」

「あなたに神のご加護を」


 あの神父さんはいい神父さんのようだ。どこぞの漫画やアニメみたいに、神の代理人を名乗って銃剣で異教徒を絶滅させたりとかはしないっぽいね。私は教会を出ておばあちゃんの家に向かった。


「随分待たせたから怒られそうだなぁ…」


 私は怒られるのを覚悟して家の中に入った。


「…遅かったじゃないか。何かあったのかい?」

「えっと…薬草取った後に狼に襲われて…」

「怪我は…してないようだね」

「あー…実は狼を倒した後、出血多量で死んだっぽくて…それでさっき教会で生き返ったんだけど…」


 なんかおばあちゃんが難しい顔してる…やばい…怒られる…。しかし、口を開いたおばあちゃんの言葉は違った。


「悪かったねぇ…。入り口付近なら何もないと思ったからお願いしたんだがねぇ…」

「あっそれは違くて!入り口付近で薬草が見つからなかったから、私が奥に進んだせいでこうなった訳で別におばあちゃんが悪いわけじゃ…」


 あああっ!? 空気がどんどん重くなっていく!? えーっとなんとかしないとっ!?


「えぇっとおばあちゃん!塗り薬作るから作り方教えて!ってでも私【調合】スキル持ってないからどうすればっ…!?」

「…っふ。まったく仕方ない子だねぇ…。塗り薬なら特に必要なスキルはないから安心しな」

「よかったぁ…」


 とりあえず暗い雰囲気は直ったからよしとしよう。


「まずはそっちに置いてあるすり鉢を持っておいで」

「これでいいの?」

「あぁ。それとその近くに小瓶があるから、その中に水を入れて持ってきな」

「うんっ!」

「まずはすり鉢で一枚薬草をすり潰しな。すり潰した後、水を少しだけ入れて混ぜるんだ。水を入れすぎると固形化しないから注意するんだよ」


 私はおばあちゃんに言われた事を注意しながら塗り薬を作製していく。

 すると。


 塗り薬【消耗品】

 使用回数:1回

 打撲や炎症といった傷口を伴わない怪我に使う


「できたー!」

「じゃあさっそく腰に塗ってもらおうか」

「じゃあ…失礼しまーす」


 私は横になってるおばあちゃんの服を少しめくって、腰の部分に先程作った塗り薬を塗っていく。塗り薬は薬草をすり潰したため緑色だったが、肌に塗っていくうちに浸透しているのか徐々に肌と同化していく。


「塗り終わったよー」

「助かったよ。と言ってもすぐ効くわけでもないから、待ってる間にもう二つぐらい作ってな」

「わかった」


 実際、待ってる間暇だったので塗り薬をせっせと薬草をすり潰して、塗り薬を二つ完成させた。私が塗り薬を作り終わったのを待っていたのか、おばあちゃんは作り終わった私の側に寄ってきた。


「多少動けるようになったからポーション作ってやるよ。んで薬草は何枚残ってるんだい?それと持ってったポーションは何個残ってるんだい?」

「えっっと…三枚使ったから十三枚残ってて、ポーションは二個残ってるよ」

「じゃあ持ってったポーションと同じの五つとその上のポーション三つの計八個、残った薬草二個は塗り薬にして持っていきな」

「うん…」


 初心者用ポーションの上ってことは…普通のポーションなのかな?

 それになんで塗り薬なんだろう…?


「おばあちゃん、何で塗り薬なの?」

「お前さんはおっちょこちょいそうだからすぐ怪我しそうだしね。ポーションの他に塗り薬も持ってりゃ、どっちの怪我しても治せると思ってそうしようと思ったのさ」

「おばあちゃん…」


 確かに狼と戦った時、塗り薬があれば『打撲』を治せたと思う。もしかして私が死んだことを気にしてるのかな…? しばらくするとおばあちゃんは初心者用ポーション五つとポーション三つ、塗り薬二つを作り私に渡した。


 ポーション【消耗品】

 回復量:35%


「お前さん、店売りされてる初心者用ポーションと普通のポーションの回復量は10%と30%というのは知っとるか?」

「えっ?」


 でもおばあちゃんが作ったポーションは回復量が15%と35%だけど?


「いいかい?店で売ってるようなポーションはな、楽に作ろうとお湯で薬草を煮てるだけなんだ。だから回復量が下がってるんだよ」


 おばあちゃんのだと回復量が違う理由は薬草をすり潰したから?


「じゃあ草関係の物はすり潰したほうがいいの?」

「一概には言えないが、粉末にしてから混ぜたほうが上がる事が多いね」

「へぇ~」


 さすが元薬師。と言っても私は【調合】持ってないからポーション作れないんだけどね。


「…あたしは異邦人は好きじゃないがね、お前さんの事は嫌いじゃないし色々助けてもらったからね。そのお礼さ」

「やっぱりあの時のことが原因?」

「そうさね、向こうがぶつかって来たにも関わらずさっさと行っちまった。それにお前さん以外だーれも助けるどころか見向きもせんかった。あれで好きになれという方がおかしいんじゃ」


 これは結構やばいかも…。もしこの調子でプレイヤーが街の人たちと衝突し続ければ、下手したら物すら売ってもらえないかもしれなくなる…?一度悪いイメージを持ったら、それを覆すのはかなり大変だし…。


「そう暗い顔するんじゃない。お前さんは優しい子ってことはちゃんと言っといてやるから安心しとき。そういやお前さんの名前聞くのを忘れていたねぇ。あたしはナンサっていうんだよ」

「えっと…アリス…です」

「アリスね、覚えたよ。色々世話になったね」

「いえいえ、こちらこそポーション作って貰えたし助かりました」


 私はぺコンとお辞儀をした。


「もし困ったことがあったらうちを訪ねな。もしかしたら手助けできるかもしれないからねぇ」

「ありがとうございます。では、もし何かあったら伺います」


 私は手を振っておばあちゃんの家を出た。そして、プレイヤーと街の人との間に起こりそうな確執に不安を覚えずにはいられなかった。



 ―ステータス―

 SP:0

【刀剣Lv2】【料理Lv1】【ATK上昇Lv2】【AGI上昇Lv2】【DEX上昇Lv2】【採取Lv3】【察知Lv2】【忍び足Lv1】【鑑定Lv3】【収納Lv1】


 ―INFO―

 薬師から調合の方法を教わったため【調合】スキルがSP不要で修得可能になりました。

 調合のコツを教わったためメモに記載されます。

次は7/7の08:00に投稿予定です。


2016/8/7 デスペナの内容を所持金を落とさなくなるように変更しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ