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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
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キャラ作製

ようやくログインできます。

 2025年4月19日、午前11時55分。


 私は購入したVRヘッドギアを装着してベッドに横たわった。実はこのVRヘッドギア、正悟たちに簡単そうに購入したと伝えたが、購入できたのは正悟たちのおかげである。そもそも正悟がNWOの情報を教えてくれた時、初期生産台数が一万台だったのだ。ゲーム大好きな正悟がNWO公開の数時間後に登録を私たちに勧めてくれたおかげで、初期の登録組に入る事が出来たのだ。

 初期登録では連絡先だけでよく、本登録はその後になってもよかったため、購入を考えていたプレイヤーたちは先に初期登録だけを済ましていた。その後、本登録においてVRヘッドギアなどのお金がかかるため、そこで親との話し合いで実際に購入するかどうかを決めているプレイヤーもいた。私たちの場合は、親に説明してちゃんと了承も得ているので、あとは購入代金だけであった。お金に付いては、貯めていたもので十分賄えたので問題はなかった。

 といった具合に、購入するための競争もあったことと正悟に感謝することを忘れないようにしないといけない。


 さて、開始まであと少しである。お手洗いも済ましたし、軽い軽食も既に取ってあるので、晩御飯まで大丈夫なように準備はした。あとはヘッドギアの横に付いているスタートボタンを、時間になったら押すだけだ。ゲームでは三倍で時間が進むということなので、晩御飯までの7~8時間はゲームできるということなので、ゲーム内で丸一日程度遊べることとなる。と言っても、まずは街を回りたいので冒険は少し先になりそうかな? それに、チュートリアルもあるとのことなので、色々と聞いておきたいところである。

 すると、12時を知らせるアラームが鳴ったので、アラームを止めた後ヘッドギアのスタートボタンを押した。


 ログインIDについては、購入時に指定された機関に行き、脳波とヘッドギアをリンクしてあるので、盗難にあったとしても他の人は使えないようになっている。もしヘッドギアが故障した場合は、運営に報告をして故障品を持っていけば直してもらえる。ただし、修理費は安くない値段がかかる為、大切に扱うことが前提となっている。と、そんなことを考えている内に、キャラクター作製の画面へと移った。


 基本的に素体の性別や身長のデータは変えることが出来ないらしい。おそらくこれは、本登録で記載した物と違いがないようにするための設定なのだろう。確かにリアルに近いとは言ってたけど、まさかここまでとは…。

 しかし、肌の色や瞳の色、髪の色など性別や身長以外のデータは変更ができるらしい。私としては髪や瞳の色だけ変えればいいかなと思ってる。もう一つの故郷と言っているのだから、素体をそこまで変更する必要はないと考えてる。

 なので、まずは髪の色の選択だ。色は単純に色の指定でもできるが、RGBを調整することで細かく変えることができるらしい。でも髪の色が変えられるなら、最初から銀色にすると決めていた。瞳の色はそのままの黒でもよかったんだけど、ゲームの中ぐらい好きな色にしてみようと思ったので水色にしてみた。

 水色に関しては少し透明度が足りなかったので、RGBを頑張って調整して少し透けるぐらいの水色にした。

 これで自分のキャラクターが出来たので、決定を押して次に進んだ。


 すると、今までの客観的な視線が自分で見るような視線となった。手を動かしてみると、きちんと思った通りに動いた。私はVR世界の中に入ったんだと実感した。


「ようこそプロエレスフィへ」


 後ろを振り向くと、10代ぐらいの褐色肌の少年が立っていた。


「私の名はタウロス。黄道十二星座のおうし座を司る者です」

「初めまして。私はアリスです」

「さっそくですが、初期スキルと武器の選択をお願いいたします」


 んー少し事務的な感じがするな~。まぁ初対面の人に対してなんてこんなものだよね?


「あの、武器に脇差ってありますか?」

「脇差ですね……大丈夫です、ちゃんと初期武器の選択として存在しております」

「それで初期スキルについては、【刀剣】【料理】【ATK上昇】【AGI上昇】【DEX上昇】【採取】【察知】【忍び足】【鑑定】【収納】をお願いします」

「かしこまりました。なお、初期武器に関しましてはここで試す事が出来ますがどうなさいますか?」

「じゃあ試してみたいのでいいですか?」

「畏まりました」


 すると、私の腰に脇差が装備された。脇差の長さは大体60cm程で、重さとしては意外に重くはなかった。


「意外と脇差って軽いんですね」

「初期武器の重さについては、本登録の際のデータを参考にさせて頂いております。重さの調整は現時点のみとなりますので、もし合わないようであれば今のうちにお願いいたします」


 んーあんまり重すぎても振れないし、軽すぎても体が追い付かなさそうだしこれぐらいがいいかな?


「大丈夫そうなので、少し振ってもいいですか?」

「えぇ、もしよろしければ訓練用の案山子もご用意いたしますがどうされますか?」

「せっかくなので用意してもらってもいいですか?」

「畏まりました」


 目の前に案山子が用意されたので、私は脇差を抜いて斜めに一振りしてみた。しかし、刃は案山子の途中で止まったため、一度引き抜いて今度は横に一振りしてみた。すると、今度は途中で刃は止まらず、案山子を切断することができた。


「んー大丈夫そうかな?」

「試し切りの方はよろしいでしょうか?」

「はい、大丈夫そうです。それと…一つ質問いいですか?」

「どういったご質問でしょうか?」


 この中が既にゲームの中だとしたら、彼は社長が言ったように…。


「タウロス君…ってこの世界で生きてるんだよね…?」

「それは…お答えする必要がございますでしょうか?」


 あぅ…やっぱりこういう質問はしないほうがよかったのかなぁ…。


「っくっく…アハハハハッ!」

「っ!?」

「あー失礼、そんなことを聞いてくる方はいませんでしたのでつい。それに、創造主がきっと面白い子が来るとおっしゃってましたが、アリス様がそうなのですね」

「え?えっ!?」


 彼はニッコリと笑みを浮かべ、さっきの私の質問に答えてくれた。


「回答としましては、我々黄道十二星座の者たちは創造主に造られ、そして生きている存在です。主な役割と致しましては、皆様異邦人の方々への案内と対応を行っております」

「GMってことではないの?」

「えぇ、我々は管理者ではありません」


 GMが管理者に変換されたってことは、NWOと向こうを一致させないように、NWOの人たちには変換されるようになってるってことかな?


「ってことはもう会えないってこと?」

「私にはわかりませんが、創造主や管理者様が催すイベントに駆り出されるといった事もあるかもしれませんので、一概に会えないということは言えないと思います」


 じゃあイベント時には会えるかもしれないのか。でもスタッフって感じだから忙しいよね…って!?


「こんなに話し込んで他の人の対応って大丈夫?」

「その事ならご心配なく。我々には【分体】【多重並列意識】【高機能情報処理】といったスキルがあり、オリジナルを基本とし能力はそのままにして複数の私を召喚できるので、同時に多くの異邦人の方々の対応が可能なのです」

「へぇ~…ってことはタウロス君って結構強いの?」

「そうですね……十二星座の序列で言えば私は戦闘型なので上位に入るとは思いますが、我々で競った事はないので細かい序列はわかりませんね」

「ほぇ~…」


 戦闘型なのに情報処理系スキル持ってるのかぁ…。それに牛なのに脳筋じゃなくて知能派で強い…。戦争系シミュレーションゲームなら是非とも登用したい武将ランキングに入りそう。


「まぁまた会えるってことだし、長くなっても迷惑になっちゃうからそろそろ終わりにしようっか」

「いえいえ、あまり質問してくれる方もいらっしゃらなかったので新鮮でしたよ」

「私としても色々実感できて楽しかったよ。それに…」

「どうしました?」

「やっぱりこの世界の人たちも『生きてる』んだなって改めて思ったから」


 色々話しててやっぱり思った。彼は機械的な回答をするだけのNPCじゃない。そこには感情があった。私たちと同じように、喜びも怒りも悲しみも楽しみもある一人の人間なんだ。

 そう考えると少し不安になるところもある。私はそこまで口がうまい方じゃないって思ってる。だから私の言動で傷つけた人も少なからずいた。そんな私がこっちの世界の人たちにも同じ事をしてしまうのではないかと、そういった不安がある。


 そのような事を考えている私の手を、タウロス君は優しく握ってくれた。


「アリス様。私にはあなたの胸の内について知るようなスキルはございません。ですが、あなたが我々プロエレスフィの民の事を思って行うことは、きちんと皆に伝わるはずです。ですから、どうか怖がらずに、この世界を楽しんでください」


 ホントもう…この子は…。NPC相手に感情移入とか気持ち悪い、とか言われても気にしない。

 私は、私がやりたいことをするだけ。正悟の誘いで始めようと思ったこのゲーム。最初は食べ物のことしか考えてなかったけど、タウロス君と話してて感じた。

 いつまでも二人に甘えてちゃダメだって。二人と離れることになったNWOだからこそ、私が変われるチャンスなんだなって。


「タウロス君。私、頑張る」

「えぇ、頑張ってください。では名残惜しいですが、そろそろ送りますね」


 そう言うと彼は握っていた私の手を離し、送還の用意をした。すると、私の足元に魔方陣のようなものが現れた。突然現れた魔方陣に驚いたけど、彼なら大丈夫だと信じてるから不安はなかった。


「あなたに星の加護があらんことを」


 そしてついに私はNWOの世界へと足を踏み入れた。

次は7/5の08:00に投稿予定です。


皆様のお力で日間VRゲームランキング14位になる事が出来ました!

ありがとうございます<(_ _)>!

これからもがんばっていきたいと思います!

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