大空洞を探検しよう⑤
さてさて、トアさんが通ってきた道のマッピングを終えたようだ。
ちなみにそのマッピングを見せてもらったが、私にはさっぱりだった。
でもアルトさんやアヤさんたちはわかっているようだ。
よくわかるなぁ……。
「それで? 何かわかった事あった?」
「正直言えばほとんどわかっていないですね。報告内容もバラバラですし、むしろ落下してからのマッピングのせいで道順がめちゃくちゃです」
「それだけ落ちた人がいるというのもなかなかですね……」
実際ノイさんも何回か落ちかけたし、普通のプレイヤーだったら落ちているんだろう。
むしろ落ちた方が早いのでは?
「ちなみにお嬢様、落ちれば早いということはありませんからね? 少なくとも地上に繋がる高さは入った時と変わらないと思います。それに下に行けば上に戻る道を探すことになりますからね?」
「なるほど」
確かに出口の高さはそこまで変わらないもんね。
「……ホント【首狩り姫】の扱いわかってるわね」
「ここまでアリスさんの扱いが上手いのも一種の才能ですね」
「ホントすげえなあのメイドさん」
「皆どうしたのー? 行くよー?」
アルトさんたちが少し離れて話していたから出発することを告げる。
とりあえずあんまり下りすぎないように進めばいいんだね?
「とは言っても、道なりに進むしかないよね?」
「そうですね。ただ……」
「ここ……渡るのか……?」
「まぁ道はここしかないですしね……」
「正直通りたくないわね……」
先へと進んだ私たちの目の前には一本の吊り橋があった。
あったのだが、皆が通りたくない気持ちは凄いわかる。
だってこの吊り橋……とってもボロいんだもん……。
「いっその事ミラに運んでもらう?」
「ありだと思うのですが、もし渡った先でモンスターが出て来た場合、対処するのは一人なりますし危険度としてはかなり高いですね」
となると……ここを渡るのか……。
するとトアさんが手を挙げて提案をする。
「では私の【遅延】で仮に吊り橋が崩壊する速度を遅くするのはどうでしょうか?」
「確かにこのメンツなら完全に壊れる前に渡れそうですね」
「ただこの長さの物に試したことがないのでどこまで効くかが……」
トアさんの懸念もわかる。
ボロそうに見えてもこの吊り橋、長さが少なくとも50メートルはあるんだもん……。
「まぁダメならダメで道探して戻ればいいし、やってみよ?」
「そうですね。とりあえず皆様、落ちた時の対策をしといてください」
「落ちる前提なのが気になるけど……仕方ないわね」
トアさんが吊り橋に遅延を掛け、私たちはゆっくりと進む。
一歩歩くごとにギシギシと音を鳴らす吊り橋にノイさんが弱気な声を上げる。
「なぁこれ壊れないよな! 大丈夫だよな!」
「ノイ、壊れる時は壊れるんです。諦めなさい。それと余計な力入れるとより壊れやすくなりますよ」
「ヒィィィィ!」
こう慌ててる人を見ていると自分は落ち着くって本当なんだなぁ……。
ノイさんを見ていてよく思う。
ようやく吊り橋の半分ほどに到達すると、ギシギシと鳴っていた音は更に強さを増しているように感じた。
というか……。
「ねぇトアさん……」
「お嬢様、言わなくてもわかります」
「二人の発言から嫌な予感しかしないんだけど……」
「まぁ半分まで良く持ったということですか……」
「何が!? 何がなんだ!?」
一番後ろのノイさんは気づいていないだろうが、少し先の吊り橋の紐が徐々に切れかかっているのが私とトアさんから見えてしまったのだ。
それこそあと一歩進むか数秒後に切れるといった具合に……。
「「あっ」」
そしてその時は訪れた。
吊り橋の紐が限界を越えて切れてしまったのだ。
その瞬間、私たちは吊り橋の崩壊に巻き込まれ落下し始める。
「落ちるぅぅぅぅぅぅ!?」
「っく! 【急激成長】!」
私は土と苗木を手に持ち木を成長させる。
「うぐっ!?」
「皆その木に掴まってて! ネウラ! アリカ!」
「うん!」
「わかったわよ!」
私はネウラと『現象―虚構の暗殺者』でアリカを呼び出し、お互いを木の反対側へと移動させる。
そして2人がお互い反対側に着くと植物魔法で枝を対岸の壁へと伸ばさせる。
すると伸ばされた木は壁に届き、ガガガという音を鳴らせながら徐々に減速していく。
とはいえ……!
「いくら減速させたとしてもこの落下速度ではお嬢様はともかく他の方々が……」
トアさんの言う通り、【落下耐性】を持っている私はともかく他の4人が助かるかがわからない。
するとレヴィが出て来て元の大きさへとなり、身体を木に巻き付け下側へと回る。
ってまさか!
「全員木にしっかり掴まって!」
私が皆に声を掛けると同時にレヴィが勢いよく水を口から噴射させる。
同時に落下速度も一気に下がり、周りを見渡す余裕ができてきた。
周りを見渡すと少し下側の対岸に空洞が開いているのが見えた。
「皆! あの空洞に突っ込むよ!」
「どどどどうやってだ!?」
「飛び込めない人はミラたちに連れてってもらって!」
空洞まであと少しで細かく話す時間がないため私はミラとフェイトとリエルを呼び出す。
「いくよ!」
私の掛け声とともにレヴィとネウラとアリカを戻し、アルトさんとトアさんが私に合わせて木を蹴って空洞へと飛び込む。
アヤさんとノイさんに関しては飛び込むのが難しかったのかミラたちに掴まって空洞へと飛んできた。
しばらくすると木が地面に落下したのか、大きな音が響いてきた。
「これ……普通のやつだったら助からないぞ……?」
「アリスさんのおかげで助かりましたね」
「いや、普通ここまで対応できるプレイヤーいないから」
「まぁお嬢様ですから」
「褒めてるん……だよね……?」
無事だったせいか軽口を叩いているが、実際問題かなり落ちてきてしまった。
幸いこの空洞は道が続いているのか先に進めるため問題はなさそうだが、一体上に戻るまでどれぐらい掛かるのだろうか……。
かなり遅くなりましたが更新しました。
2巻発売日にできなかったよ……。
そしていつもと更新時間ずれました、はい。




