つかの間の休息
「って形で一段落ついたんだよね」
「傍から聞いたらろくでもねえ終わり方だなぁ…」
「まぁアリサだもんねぇ~…」
大学で正悟に例のPKの件での話は参考になったかと聞かれたので、ちょうど終わったことを鈴も交えて二人に伝えた。
「ならもう無差別PKは気にしなくて良さそうだな」
「私たちみたいな大手ギルドは手を出されなかったから傍観してたところがあるものね~」
「やっぱりライト君そっちには手は出さなかったんだね」
まぁさすがに大手相手は【敗北者】スキルあっても無理だよね。
「にしても首狩り教預かりかぁ…」
「どんな魔改造がされることになるかしらねぇ~…」
「失礼な」
首狩り教はそんな変な事しません!
…いや、ファナティクスさんがライト君を気に入ったっぽいからどうなるかがわからないけど…。
「おうおう楽しそうだな正悟ー」
「あっ進藤君」
私たちが話していると、進藤君が右手を軽くあげながらこちらへと近付いてきた。
「進藤君、この前はありがとね」
「お、おう…」
大変参考になったため、私は進藤君の手を握ってお礼を言う。
ただ何故か進藤君は少し顔を反らしたけど…なんでだろ?
「落ちたな」
「落ちたわね」
「ん?」
正悟と鈴は何が落ちたって言っていたのだろうか?
「んで進藤はどうかしたのか?」
「いやーNWOの第六陣の開始時期が近いから色々と聞いておきたくてなー。やっぱ一人で調べるにも限度があってなぁ…」
「まぁ確かになぁ…」
うん、確かにNWOは実際にやってみないとわからない事の方が多いからね。
「一先ず注意点とかはちゃんと理解したんだが、狩場とかダンジョンとかは実際どうなんかなーって」
「狩場はまぁ置いておくとして、ダンジョンについてはある程度の人数毎にディメンションが変更されるからそこは心配いらねえぞ」
「ならしばらくはダンジョンでスキル上げってところか。んで狩場は置いておくってどういう事だ?」
「狩場はまぁ…なぁ…」
正悟は何故か私の方をチラッと見る。
えっ?
私とくに狩場を独占なんてしてないよ?
「んであと迷ってんのはビルドなんだよなぁ。オススメなのとかねえか?」
「オススメねぇ…」
そして再び正悟は私の方をチラッと見る。
いやだから何で私の方を見るの。
「あと二つ名勢ってやっぱり王道的なスキルなのか? それとも特殊系なのか? つか正悟もやっぱり二つ名付いてんだろ? 隠してないで教えろよー」
「残念だが俺は二つ名付いてねえぞ」
「は? あんだけ他のオンゲで晒されてたくせに付いてねえの? NWOやばくね?」
「まぁ二つ名なら…そこの二人に聞いた方がいいと思うけどな」
そうして正悟は私と鈴を指差す。
それを見た進藤君はアハハと声を出して笑う。
「おいおい正悟君よー流石にそれは冗談が過ぎるだろー。…あぁ、なるほどな。アイドル方面として二つ名が付いたって事か。確かに二人とも美人で可愛いしなー」
「「……」」
進藤君の言葉に私と鈴は思わず顔を反らしてしまう。
うん…アイドル方面で付いてたらどんだけ楽だったか…。
私たち二人の様子を見て進藤君は真顔になって正悟に問いだした。
「おい正悟」
「何だ」
「…これ、マジな話?」
「おう、マジもマジの大マジだ」
「ち、ちなみに…ヤバさで言うとどっちの方がヤバい感じなんだ…?」
正悟がどうしようかと引きつった顔でこちらを見てくるが、私たちにどうしろと?
てかその反応してる時点で私たち二人がヤバい二つ名って言ってるようなものじゃ…。
それに私たちの話を聞いて周りの人たちもヒソヒソと話し始めたじゃん!
「えっ…? 雨宮さんってもっと大人しい感じだと思ったけどゲームだと人格変わるとかそういうタイプだったのか…?」
「つかゲーマーの正悟が有名になってない事の方が俺驚いたぞ…」
「あいつらがやってるゲーム、マジでやべーな…」
「そんな世界に進藤入ってくんだろ? 勇者だな…」
ちょっとー!?
物凄い勢いで誤解が生まれてるじゃん!
「鈴ぅ~…」
「あーよしよし…。気持ちはわかるけど、正悟もあんまりアリサをいじめないの~…」
「いやだってよぉ…」
「…な、なーんだ。正悟の冗談かーあははー…」
「「……」」
「いやだからそこで黙らないでくれますか!?」
「うぅ~…」
正悟のばかぁ~…。
「で、結局のところ進藤はどういうビルド方面で行きたいんだ?。んでアリサ…いい加減機嫌直してくれ…お前にも参考で聞きたいんだから…」
「ぷいっ!」
「あらあら~…」
私は今鈴の膝に頭を乗せてそっぽを向いている。
「いやまぁ一応剣士側で考えてるけど、やっぱり魔法って持っといた方がいいのか?」
「俺はパーティ組んでるからそういう時は任せてるが、お前は今のところ一人でやるつもりなんだろ? だとしたら物理が効かない相手用に持っといた方がいいが…二人としては何の属性持ってた方がいいと思うか?」
「そうねぇ~…。一人って事を考慮して如何に状態異常を受けないかが重要って考えると、回復できる光に攻撃だと…汎用性の高い雷かしらねぇ? ただ光と雷で複合は確認されてないのよね」
「まぁ似たような属性だしな。つか当たり前のように複合まで考えるな」
「ふふっ、魔法職だからそういう事つい考えちゃうのよ~。んでアリサはどうかしら~?」
鈴がそっぽを向いている私の頭を撫でながら聞いてくる。
まぁ進藤君が悩んでるってことだし、協力はしよう。
「私としては溶、霧は場所選ぶからあんまりオススメできない。ただ重力と幻魔法に関してはちゃんと使えれば強いと思う。あと土は便利。穴掘れるし地形操作できる。あと成長して上になっていけば小さい隕石降らせてた」
「隕石!?」
「おいアリサ、それは初耳だぞ」
「土って地味と思ってたけどそんな事もできるのねぇ…」
「サバイバルだと火と水は便利。一杯お世話になった。どう? 参考になった?」
「う、うん…大変参考になりました…」
「ならよかった」
話し終わった私は再び鈴に抱き着くように顔を隠す。
ほとぼり冷めるまでこうしてるもん!
「一先ず進藤、言いたい事はわかる。だがアリサはこういう感じだ、諦めろ」
「まぁアリサだしね~、で最近済む感じもあるし~」
「お、おう…。ただ魔法は派生になるレベルまで行かなければ複数とってもいいとは書いてあったし、そこら辺は実際にプレイしてみてってところだな。つか剣で二つ名付くのってそんなにハードル高かったのかよ…」
「まぁヤバいのが何人かいるからなぁ…」
アルトさんの剣技凄い早いからなー。
でもあれだけ剣技早いなら【切断】取ればもっと効率とかよくなる気もするんだけど、取る気はないって言ってたしなぁ…。
「そんで土屋さんは魔法職、正吾は剣士、んじゃ雨宮さんは? 今までの流れから生産系ではないというのはわかったんだが…」
「「……」」
むぅ…。
この流れは私から説明しろってことなんだよね?
正悟の事だから自分で言うとまた私が機嫌悪くなると思ってるだろうし…。
私は身体をゆっくりと起こし、進藤君を見つめる。
「私は森で活動する近接職やってます」
「…森?」
「あー…NWOでは特定の地形で活動してるやつらもいるんだ。アリサがそのタイプな」
「なるほど…」
「進藤はそういう系を目指さないと思うが、地形タイプはマジでやべえからな。絶対に喧嘩売るなよ」
「いや、別に私…同業者いても気にしないから…」
正悟は私を何だと思っているんだろうか。
そんなこんなで進藤君の質問は終わり、第六陣の参加日には迷わず私のお店に来られるように簡単な地図も書いてあげた。
「じゃあ雨宮さん、開始時はお世話になるね」
「うん、待ってるから」
「じゃあ俺帰るわー。正悟たちもまたなー」
「おう、またな」
「またね~」
さて、進藤君も帰った事だし…。
「…正悟」
「…はい…」
「家に帰ったら話があります」
「…わかりました…」
「えーっとアリサ、ほどほどにね~…?」
「わかった」
鈴もこう言ってるし、仕方ないから軽めにしてあげよう。
三人が帰宅後、アリサの家から何やら悲鳴が聞こえたというのがあったりなかったりしたが、またそれは別の話。
何故か最初糖度方面へ行こうとしていた(錯乱




