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Nostalgia world online  作者: naginagi
第六章
308/370

勝者と敗者

「で、急に森に呼び出されたと思ったらんだよこれはよぉ! おいトア! 【遅延】まで使って捕縛してんじゃねえよ!」

「安心しなさい。無くなったアイテムはきちんと後で返しますから」

「そういう事じゃねえ!」


 今私たちの前にはトアさんによって縄でグルグルに捕縛されて動きが取れなくなっているアワリティアが騒いでいた。


「ト、トアさん…? 一応事情は話してあげた方が…」

「確かにそうですね。もし【勝利者】スキルが対人関係ならばアワリティアも何か知っているかもしれませんからね」

「いや…そういう事では…」


 私の言っている事とトアさんの理解が噛み合わず、トアさんは縛られているアワリティアにあれこれ質問という名の尋問を行い始めた。

 だが知りたいような情報は何もなく、トアさんは舌打ちをする。


「っち、使えませんね」

「知らねえもんは仕方ねえだろ!」

「まぁいいです、聞くべきことは終わりました。ですのでお嬢様、さっさと首を刎ねてもらって構いません」

「ざっけんな!」

「まっまぁトアさんも落ち着いて…」


 このままでは話が進まないため、私が一からアワリティアに説明をする。


「んでモンスターじゃ反応なかったからプレイヤーで試そうって事か」

「いや試すつもりはなかったんだけど…」

「だったらこの森は好都合じゃねえか。知らねえと思うが、この森で初心者狩りをしてるクソみたいな雑魚PKがいるんだよ。嬢ちゃんがいない時を狙ってな」

「つまりそのPKを自分の代わりにしろという事ですね?」

「そういう事だ」


 まぁ確かに初心者を狩るようなプレイヤーだったら気兼ねなく狩れるもんね。


「それで、そのPKはどこら辺にいるのですか?」

「んなもん俺が知るわけねえだろ、アホか」

「あ”?」

「トアさん落ち着いて…」


 トアさんってアワリティア相手だと冷静さ無くすなぁ…。


「ほら、つーわけでこの縄解けよ」

「っち…」


 トアさんは渋々アワリティアを縛っていた縄を解く。

 解放されたアワリティアは背伸びをし、軽く身体を動かす。

 さて一先ず移動するかと思い、森の奥へと足を運ぼうとすると、私たちの進行方向から陽気に笑う声が聞こえてきた。


「ホント笑うよな。奇襲仕掛けてきたくせにあっさりやられるんだからよぉ」

「しかもプレイヤー狙ったって事は同業者だろ? にしてもくっそ弱かったからつい笑っちまったよ」

「あんな雑魚と一緒にしないでもらいたいぜ」

「確かにな。まだそこらの初心者の方が狩り応えあった…ぜ…」

「おい、どうし…」

「……」


 PKを終えたばかりの二人組が正面にいた私たちを見て言葉を無くす。

 それに対し、私以外のメンバーはニヤリと笑みを浮かべる。


「よう、楽しそうだな」

「いやはや、こうも早く見つかるとは運がいいですね」

「じゃ、アレニア、退路塞いで」

「さてあたしもアレニアの手伝いしてこようかしら」


 わーお、皆やる気だー。

 まぁ自分でPKって言ってるし、遠慮いらないよね。


「おい!? 何の真似だよこれは!?」

「何って、決まってんだろ? これからお前らを狩るんだよ」

「【首狩り姫】はともかく、【病毒姫】と【人形姫】もPKなのかよ!?」


 私はともかくって…。


「ふざけんな! 何で俺らがPKされなきゃいけねえんだ!」

「おいおい白ける事言ってんじゃねえよ。PKするっつーことは、自分がPKされる覚悟ぐらい持ってて当たりめぇだろうが。んな覚悟もねえならPKなんかやってんじゃねえ!」

「ひぃぃぃっ!?」


 PK二人は完全に怯えており、もはや戦う意思すら見られなかった。

 あの様子だと本当に初心者狩りのPKで、格上の相手には弱気になってしまっているようだ。


「あーもういい?」

「おう、好きにやってくれ」

「「ひぃぃぃっ!?」」



「あっ、二人目で【勝利者】スキルが1レベル上がった」

「となるとやはり対人スキルという事で間違いないのでしょうね」

「だがそうすると何で俺は手に入ってねえんだ? 対人なら俺の方が多いと思うけどなぁ」

「対人戦闘の勝利数とか?」

「でもそうだとPKをしていたアワリティアの方が多くないかしら?」


 そうだよね、単純な対人戦闘の数だけならPKをしているアワリティアの方が多いはず。

 そのアワリティアが持っていないって言う事は他に何か条件があるのかな?

 そんな時、ルカが「あっ」と声を漏らす。


「どうしたの?」

「対人の数、アリスが一番多い」

「何で?」

「プレイヤーイベント、アリス一杯倒してた。そのせいかも」

「あー…」


 言われてみればルカを含めて結構数倒してたからなぁ…。


「となると対人勝利数が1000ぐらいが取得条件といったところでしょうか?」

「もしくは連続勝利数とかかもしれねえな。そうすると俺はたまには負けてるし、そのせいで取れてなくてもおかしくないしな」

「確かにずっと勝ち続けるのは難しい」

「となると現状取得しているのはお姉様ぐらいですかね?」


 まぁルカたちが掲示板で探しても見つからなかったし、恐らくそうなんだろう。


「でもわざわざPKなんてしに行かないからなー…」

「まぁそこですよね」

「嫌だけど対人イベントの時に付ければ上がる」

「そうですね、嫌ですけど対人イベントで上げる方向ですね」


 そんな二人ではっきり嫌って言わなくても…。

 ともかくこれでどういうスキルかっていうのはわかったから結果オーライかな?


「じゃあ帰ろっか。手伝ってもらったお礼にリエルの歓迎会とは別に食事出すよ」

「わーい」

「お姉様さすがです!」

「じゃあ俺も行くとすっかー」

「あなたは来なくて結構です」

「たくっつれねえなぁ」


 とりあえずリエルの歓迎会で出してない料理にすればいいからえーっと…。



 そんな楽しそうに話しながら街へと向かっているアリスたちを陰からそっと見ている者がいた。


「くそっ…」


 彼は右手の親指の爪を噛みながら恨めしそうにアリスたちを見つめていた。


「どいつもこいつも僕を馬鹿にしやがって…今に見てろよ…」


 そんな彼のシステムログにはとある一文が書き込まれていた。



 スキル解放の条件を達成したので【敗北者】スキルが取得可能になりました。

この話どう纏めよう…(頭を抱え)

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― 新着の感想 ―
[一言] 仮条件だけど1000回PKされるって……しゅごい(´;ω;`)
[一言] はぁ...はぁ...敗北者? 書籍からきました。応援してます。
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