ペット会談
「アリス」
「なぁに、ルカ?」
「ペット会談って今までやってたの?」
運営へ『PVPイベはご勘弁を』メールを送り終わって戻ってきたルカは、疑問に思った事を私に尋ねてきた。
「んー…そこまで大掛かりじゃないけど、集まって何か話してたっていうのは前からあったかな?」
「やっぱり種族がバラバラだと、そういう事ってあるの?」
「確かにバラバラだけど、皆仲良いからそこまで大変に思った事はないかな?」
聞き分けもいいし、我が儘だってそうそう言ったりしてこないからね。
それこそあの子たちが喧嘩したところなんて見たことがないぐらいだ。
ただ…。
「でも今回は今までと勝手が違うからなぁ…」
「んっ、相性最悪なのが一緒になった感じ」
「そこなんだよねぇ…」
少なくともレヴィから率先して仲良く…というのは考え辛いから、何事も冷静に対処してくれるミラが間を取りつつ…ってところだろうしなぁ…。
ネウラは…まぁ大丈夫だろうし、フェイトも相手が天使って事だろうからそこまで敵対心は持たないだろう。
あとはミラが頑張ってくれているであろうレヴィとリエルの間をどう取り持つかだよね…。
「一先ず顔合わせついでに様子見に行こっか」
「んっ」
「あたしも楽しみです!」
私とルカと海花はレヴィたちの様子を見に個人フィールドへと入る。
そこで目にしたのは…。
「納得いかないわよ!」
「ふふんっ! それが序列ってものよ!」
どや顔して威張っているフェイトと、不満そうに憤っているリエルの姿だった。
「…なにこれ」
私が知りたいよ…。
「で、何があったの?」
「あっご主人様、いらしたのですか」
「今さっきね。で、どうしたの?」
「えーっとですね、ご主人様の眷属もリエルを含めて五人となったため、ここで改めて序列…というか眷属内での順位をリエルに話していました」
「でもねおかーさん、リエルがその順位じゃやだって言いだしたのー」
「キュゥ!」
あー…。
恐らくレヴィたちの中では私のペットになった順に順位が決まっていたのだろう(私は知らなかったが)。
でもリエルからしたら天使は偉いとか、たぶんそういった考えから不満が出たのだろう。
「でもそこでフェイトが対抗なんて珍しいね」
そういった場合って、大体ミラが説明するのかと思ってたから驚いた。
「フェイトからしたら、自分の下ができるって事だからだと思うよー?」
「だからか…」
私からしたら気にならないけど、まぁフェイトからしたら重要な事か。
「貴女たかが一土地神のくせに威張りすぎなのよ!」
「ふっふーん! 力を封印された天使なんかに負けないわ!」
「むきーっ!」
一方フェイトとリエルのバトルはより激しくなっているようだ。
「でもアリス、いくら力封印されててもフェイトじゃ勝てないんじゃない?」
「えっと…それが…」
私はそっとフェイトのステータス状況を二人に見せる。
「…これホント?」
「何が起こったんですか?」
私が二人に見せたフェイトのステータス。
それがこの強気なフェイトの現状を表していた。
名前:フェイト
―ステータス―
【虫操作Lv5】【大地魔法Lv3】【加護Lv6】【浄化Lv3】【土地活性化Lv12】【隠密Lv6】【浮遊Lv8】【状態異常耐性Lv1】【MP上昇+Lv4】【土地神見習いLv26】
特殊スキル
【信仰Lv36】【配下作成(神)Lv1】
そう、フェイトの【信仰】スキルが異常なほど高くなっているのだ。
【信仰】スキルはスキルレベルが高ければその分フェイトのステータスは上昇する。
正確な値はわからないが、少なくてもフェイトのステータス自体はかなり上昇していると言っても過言ではない。
確かにリエルの攻撃を喰らう直前、フェイトが私を押し倒すぐらいの力があった事は当時は気にならなかったが、よくよく考えればそこまで力が強くないフェイトが木の上で落ちないようにしていた私を押し倒すという事自体が異常と言えば異常だったのだ。
フェイトはリエルと違って支援型なためそこまで影響はないが、これがリエルのような攻撃型だったら本当に厄介だろう。
「なんでこんなに【信仰】のスキルレベルが…ってもしかして!?」
「うん…たぶんね…」
海花の予想は恐らく当たっているだろう。
きっと和風マップの方でうまく広まってしまったのだろう…『フェイト教』が…。
まぁ確かに戦国時代での石山本願寺、所謂一向宗があれだけ広まったのは戦国の世に疲れ切ったとか色々な背景があったからなんだろうけど、それと同じような事が向こうの方でも起こるとは思ってもいなかった。
正直向こうに行くのが怖い…。
「向こうでフェイト出したら大変な事になりそう」
「あっちではフェイトには大人しくしててもらわなきゃ…」
本当にお祭り騒ぎになりそう…。
「それでリエルはどうしたいの?」
「えっ? そっそれは勿論私が一番! っていうのは流石に年功序列の部分があるから抑えるにして…精々二番目か三番目ぐらいね!」
「でもフェイトは仲間になった順がいいんだよね?」
「そうよー! 一番最後に来たんだから下になるのは当然じゃなーい!」
フェイトは年功序列、それに対してリエルはたぶんだけど種族としての格ってところかな?
でもリエルの言う通りにするとネウラが一番下になるんだろうなぁ…。
ネウラは別にいいっていうかもしれないけど、それはネウラがおっとりした感じだから済むだけの話で、フェイトみたいなタイプだったら絶対に認めないだろう。
んー…難しい…。
「ルカの場合どうしてるの?」
「私の場合はペットになった順。特に不満もないし」
まぁ普通はそうなんだろう。
「リエルはそれじゃ嫌なの?」
「うっ…」
私は再度尋ねると、リエルは口ごもって少し顔を反らす。
「だって…その流れだとアレを兄と呼ばないといけないんでしょ…?」
アレとは恐らくレヴィの事だろう。
って、もしかして…。
「レヴィの事をお兄ちゃんって呼ぶのが恥ずかしいの?」
「なぁっ!? そっそんなわけないでしょ!」
「それともフェイトの事をお姉ちゃんって呼ぶのが恥ずかしいの?」
「べっ別に…そっちはまぁいいけど…」
うーん…この反応からレヴィの事だけが問題っぽいね。
まぁそこは追々慣れさせた方がお互いにいいだろうし…よし!
「リエルにも色々あると思うけど、序列は今まで通り仲間になった順ということで決まりね」
「うぅっ…」
リエルは肩を落とすが、私はそっとリエルの頭に手を置く。
「今はレヴィもリエルも仲間なんだし、二人には仲良くしてほしいなって私は思うんだよね。リエルは嫌?」
「貴女にそこまで言われて嫌なんて言えないわよぉ…」
「うん、ありがと」
根は良い子なんだよね、リエルは。
「さてと、色々と決まった事だし、リエルの歓迎会やらなきゃね。ルカと海花も参加する?」
「する!」
「勿論します!」
ならトアさんにも手伝ってもらって準備しないとね。
さーってと、忙しくなるぞー。
わーい古戦場たーのしー(グルグル目




