教会のお手伝い①
「教会のお手伝い?」
「あぁ。王都の方で少し手伝いが欲しいらしいんだよ」
「別に構わないけど…」
突然お店に来たナンサおばあちゃんから推薦という形で話が来た。
正確にはギルドからの、というのが付くけど。
でも教会って聞くとサイたちを雇った場所を思い浮かべたが、そことは違う教会らしい。
その教会は孤児院のようなもので、シスターが身寄りのない子を預かっているようだ。
「でも急にどうしたの?」
「何か教会のシスターの内何人かが怪我しちまったようでな。今いるのが二人だけらしいんだよ」
「それは大変だね…」
となると塗り薬とかポーションも持ってった方がよさそうだね。
「しかも教会で預かってる子もいるから二人だけだとねぇ…」
「子供って元気だからねぇ…」
そうなるとミラたちにも手伝ってもらった方がよさそうだなぁ。
子供たちは元気だから人数がいないと辛いからね。
なら少しは遊び道具を…。
…子供の遊び道具って…何があるっけ…?
「まぁそんなに深く考えなくてもいいと思うけどねぇ。アリスの事だからいつも通り接していれば問題ないだろうしね」
「そんなもんかなぁ…?」
ギルドから場所を確認して教会の場所に来てみたが…。
「ここ…だよね…?」
なんというか…以前行った教会とは全く雰囲気が変わり、教会の周りを囲っている壁がところどころ破損しており、教会自身もところどころ汚れているように見える。
正直言って私の思っていた教会とイメージが違いすぎた。
「あら? 何か御用ですか?」
私が教会の前で立ち尽くしていると、横から170は超えているであろう修道服を着た目元が細い…というか目を閉じてる女性に声を掛けられた。
女性は一般的な修道服とは違い、髪を全て布で押さえつけてはおらず、金色の髪が頭巾からはみ出しており、首からは十字架が先端に付いたアクセサリーがぶら下がっていた。
「えっと、ここの教会のお手伝いに来たんですけど…」
「あらそうだったのですね。 でもこんなにボロボロでがっかりしたでしょうね…」
「いっいえいえっ! とても趣があって…その…」
がっかりしたなんて思われたら色々と気まずいから何とか軌道修正しないと!
えっと…なんて言えばいいんだろう…。
「ふふっ」
私があたふたとしていると、女性はクスりと笑う。
「あぅ…」
「すみません。つい貴女が可愛らしくて」
女性は少し笑うと一回咳ばらいをして姿勢を正す。
「私はこの教会でシスターをしているアシュリーといいます」
「えっと、私はアリスです。よろしくお願いします」
「はい。アリスさん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
お互いに自己紹介して私はアシュリーさんに教会内を案内してもらう。
教会の中に入ると、通路を中心に左右に長めの椅子が横並びにいくつも並んでおり、正面には祭壇とその祭壇の正面には大きな十字架が壁に掲げられていた。
外とは違い、内部は結構綺麗に掃除されているように見える。
アシュリーさんに祭壇の側まで案内してもらい、今回の依頼内容を確認する。
「では本日はアリスさんにいくつか手伝っていただきたいのです」
「はい。確かシスターの何人かが怪我してしまったんですよね?」
「えぇ…。皆さん先日に食材の確保のために狩りに行ったら怪我をしてしまいまして…」
「…ん…?」
今何か聞き間違いしたかな?
食材の確保のため狩りに行った…?
いやいや、きっと食材を買いに行ったを聞き間違えたんだ。
そしたら街で馬車とかの事故にあって怪我をしてしまったんだ。
そうに違いない。
「子供たちの誕生日だからといって少し張り切って火山でサニーシープを狩ると言って…まったく…」
うん、聞き間違いじゃなかった。
いやいやおかしいよね?
なんでシスターが火山で狩りするの?
ホントにその人たちシスター!?
「こうしてアリスさんがお手伝いに来てくださったから助かったものの…」
「いっいえ…。それよりもそのシスターさんたちに塗り薬やポーション持ってきたんですが…」
私は塗り薬とポーション、そして火山というので持っていた火傷関連の薬をアシュリーさんに渡す。
「これはこれはありがとうございます。ですが恥ずかしながらこの教会にはそこまでお金が…。正直言ってギルドで依頼した金額ぐらいが精いっぱいで…」
「いえいえ。火傷はともかく塗り薬とポーションは余っていたのを持ってきたので大丈夫ですよ」
正直塗り薬とポーションは薬草が余ってたから消費したいっていうのもあったからね。
「ありがとうございます。本日アリスさんと出会えた事と慈悲を神に感謝致します」
「そっそこまで大した事じゃないので大丈夫ですよ…」
アシュリーさん少し大袈裟な気がするなぁ…。
「っと、すみません。少し話が逸れましたね。それでアリスさんには子どもたちの相手をお願いしたいのです」
「はい、そこは構いません。ですが初対面で、しかも異邦人ですけど大丈夫ですか?」
「むしろ異邦人だからこそ色々聞いてきて大変かもしれませんよ」
アシュリーさんはクスクスと笑う。
「それと遊び道具はこちらの部屋にありますので、自由に使ってください」
アシュリーさんに案内された部屋の中には柔らかめのボールといった遊び道具が入っていた。
まぁ何を使うかというのは子供たちに任せるとしよう。
「では私は食事の準備をしますので、子供たちが起きてくるまではゆっくりしていてください」
「わかりました」
言われてみれば時間はまだ朝七時頃だ。
ナンサおばあちゃんも元々はサイやリアたちに言付けを頼むつもりで来たんだろうけど、たまたま私がいたからそのまま頼んだのだろう。
とはいえ、まだ子供たちが起きてくる気配はないので少し教会内を見て回るとしよう。
そして教会内を回っていると、少し違和感を覚えた。
場所はまちまちなのだがところどころに棚が置いてあり、そこには十字架がいくつも置かれていた。
最初は子供たちやシスター、それに来訪者の祈りを奉げる用の十字架かと思ったが、それにしても数が少しおかしい。
棚一つずつに置いてある数は異なるが、それぞれ少なくても十以上は置いてある。
それにわざわざ十字架を置く場所を分ける意味がわからない。
一体何のための十字架なんだろうか…?
メイドに続きシスターとは一体…(困惑




