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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
229/370

ショーゴの不幸な日①

「うへへー…」


夜が更けてきて辺りも静かになってきた頃、リアは一人薬室に籠って新薬作りをしていた。

だがいつもと一つ違うのは、現在の時刻が既に深夜二時を越えていたのだ。

普段のリアならばこの時間はとっくに眠っている時間である。

だがトアが来た事により、薬室に籠れる時間が増えたことにより時間配分を気にせずに新薬作りに没頭できる環境になってしまった。

眠さによる判断力の低下に加え、普段ならば寝ている時間にも関わらず起きている事による自律神経のバランスの乱れ。

これらの要因により、現在のリアは正常な状態ではなくなっていた。


「これでー…完成ー…すぅ…」


リアは完成させた薬を判断力の低下から新薬用の入れ物に入れず、ポーション用の入れ物に入れてしまう。

そして何より最悪なのがレッドポーションと色が一緒(・・・・)なのであった。



「ふぁーぁ…」


朝早く起きたサイはいつも通り畑の作業をするために身支度をして一階へと降りてくる。


「んっ?」


そこでサイは違和感に気づく。


「そういやリアがいなかったような…もう起きたのか?」


そう思ってサイはお店の方を見るが、そこにはリアの姿が見えなかった。

では薬室か? と思い、そちらを覗くとリアが机に伏せて寝ているのを見つけた。

やれやれ…と思いつつも、リアを抱えて二階の部屋のベッドに運び寝かせる。

リアを寝かせたサイはそのまま畑に向かう。

机の上に置かれた新薬をそのままにして…。



「んー今日もいい天気ー」


ログインした私はまずお店の様子を確認する。

販売にはトアさんがおり、お客さんにポーションなどを売っている。

ってことはリアは薬室かな?

そう思って薬室を覗いてみるとそこには誰もいなかった。


「あっお嬢様。リアお嬢様は昨日遅くまで新薬作りを頑張っていたようで、まだお休みになっております」

「そうなの? リアが時間配分間違えるなんて珍しいね」

「どうやら私が販売を担当する事によってその時間配分を間違えてしまったようです。ですのであまり叱らないでくださいませ」

「まぁ今まで働かせすぎたってのもあるし、怪我しないでくれればそこまで怒らないよ」

「あーくっそ…」


トアさんと話していると、ボロボロのショーゴたちがお店に入ってきた。


「ショーゴその恰好どうしたの?」

「王都の西進んでマップ開拓しようと思ったらその先沼地でな。そこで手酷くやられた感じだ。偵察のつもりだったんだが割と深く行っちまって戻ってくるまでにこの有様だ。つーことでポーション購入限度までよろしく頼むわ」

「あっ私はマナポーションでお願いします」

「お姉さんもマナポーションで~」

「俺とシュウはレッドポーションで頼む」

「てかまた店員増えてね!?」

「わかったからとりあえず席に座ってて。どうせ一休みするでしょ?」


さて、飲み物ぐらい用意してあげるか。

っと、レッドポーションとマナポーションを持ってこないと。

私は一先ず要求されたポーションを用意する。


「あーすまんアリス。俺まだダメージ残ってるから今すぐ一本飲みたいから頼むわ」

「わかったー」


ショーゴが今すぐ一本飲みたいというので、薬室のテーブルの乗っていたレッドポーションをショーゴに渡す。


「じゃ、それ以外のポーションの会計はここでやっちゃうね」


私が五人それぞれにトレードを申し込み、購入分の金額を確認してトレードを完了させる。

するとリアが二階から慌てて降りてきた。


「すいませんご主人様っ!」

「あっリアおはよー。よく眠れた?」

「はいっよく眠れました! じゃなくて寝坊してごめんなさい!」

「大丈夫だよ。それにしてもリアが夜更かしなんて珍しいね」

「えーっと…ちょっと集中しちゃって…」

「怪我だけは気を付けてね。それと今日はあんまりお客さんいないから新薬作ってても平気だよ」

「はいっ!」


そう言うとリアは薬室へと向かった。

そこでリアは「あれ?」と首を傾げた。


「どうかした?」

「いえ…机の上に置いていた新薬が無くなっていたので…。あれ…? 夢だったかな…?」

「新薬? 私が見たときはレッドポーションしか置いてなかったよ?」

「あれっ? そういえば新薬の色ってレッドポーションに似てたような…って、リア何作ってたんだっけ…?」

「…えっ?」

「あれっ? HPが回復しねーなー? 安全エリアだと回復しないんだっけか?」


私はちょうどレッドポーションを飲み干したショーゴの方を向く。

ショーゴの飲んだのって…レッドポーション…だよね…?

色もレッドポーションと一緒だったし…。

ちらっとリアの方を向くと、少し顔を青くしていた。

レッドポーションを飲んだにも関わらず、HPが回復しないためもしかしたら新薬を飲んでしまったのかと青ざめているのかもしれない。

って!?


「ショーゴ急いでこれ飲んで!」

「はっ!? 何だよ!?」


私は慌てて持っている状態異常回復の薬を出してショーゴに飲むように迫る。

ショーゴは何が何だかわからず困惑しているが、もし何かの状態異常を与える薬だったらまずい!


「いきなり何言って…ぐっ!?」

「ショーゴ!?」


ショーゴはいきなり椅子から転げ落ちて苦しそうに胸元を抑える。

私はショーゴの肩を掴んで名前を呼ぶが、ショーゴは脂汗を流し苦しそうにしたままだった。


「身体が…熱い…!」

「ショーゴっ! しっかりしてっ! ショーゴ!」

「ぐっ!」


しばらく名前を呼んでいると、ショーゴの身体に変化が起こった。

うめき声が少し高くなり、掴んでいた肩が何やら細くなってきている。

顔がちゃんと見えないためはっきりとはわからないが、ショーゴの顔が何やら角ばった顔つきから少し丸みを帯びている気がする。

少し経つとショーゴの呼吸が落ち着いてきた。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

「ショーゴ…?」

「たくっ…一体何が起こったんだよ…」

「その声…どうしたの…?」

「あっ? 声って…いつも通りだろ?」

「てか声だけじゃなくて顔も…」

「顔…?」


ショーゴが起き上がってわかったのだが、ショーゴの鼻が小さくなっており、目も少し釣り目っぽくなっていた。


「…どうぞこれを」

「あっあぁ…すまねえ…」


トアさんはすっと手鏡をショーゴに渡し、ショーゴは受け取って自分の顔を見る。

そして自分の細くなった腕や身体を触った後、プルプルと震え店中に響くように叫ぶ。


「何だこりゃぁぁぁぁ!?」


そう、ショーゴの顔や身体つきがまるで女性のようになっていたのだ。

リア「ガクガクブルブル…」

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