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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
227/370

新たな従業員

「ふぅ…」


私はお店の席でお茶を飲みながら外の景色を見てのんびりと過ごす。

最近ちょっと忙しかったし、たまにはこうのんびりしてもいいよね。

まぁそれとは別にして…。


「二人とも最近よく来るけど何かやる事ないの?」

「私はアリスの木彫り人形作ってから来てる」

「あたしは今日はファンのほとんどが用事があって来れないので、自由行動となってますので大丈夫です」

「そ、そう…」


やる事がないならいいけど…。

まぁ私も沼地攻略用のアイテムとか思いつかないし似たようなものかな?

ぼーっと考えていると、お店の扉がコツンコツンとノックをするような音が小さく響いた。

別に今の時間は掛けている板には『OPEN』と書かれているからノックしないで入っていいのだけど、一応声を掛けておこう。


「はーい、どうぞー」


私が声を掛けると、ドアがゆっくりと開いた。


「失礼いたします」


お店に入ってきたのは、白黒モノトーンのメイド服を着てクリーム色のふわふわセミロングの髪をした女性だった。


「こちらはアリスさんのお店でお間違いないでしょうか?」

「えっと…はい…そうですけど…」

「では自己紹介をさせていただきたいと思います。私の名は『トア』と申します」

「あっどうもご丁寧に…。私が店主のアリスです」


トアと名乗った女性は私の方をちゃんと向いてメイド服の裾を少し持って挨拶をする。

以前黒花がしたような挨拶と一緒だ。

こちらを向いた事で気づいたのだが、トアさんは私より少し背が高いぐらいで、薄水色の優しそうな眼をしていた。


「えっと…ご来店の要件はなんでしょうか…? ポーションならカウンターにいる女の子にお願いします」

「いえ、本日伺ったのはアリスさんにお願いしたい事がありまして…」

「お願いしたい事?」


んー…なんだろう?

てか席に座っているルカと海花はじっとトアさんを睨んでるし…。


「はい。アリスさん、私のご主人様となっていただけませんか?」

「…はい…?」



「とっ…とりあえず詳しく聞かせてもらっていいですか…?」


トアさんの分のお茶を用意して席の前に置く。


「少し話を飛ばしすぎたようですね。申し訳ありません」

「えーっと…まぁそうだね」


いきなりぶっ飛んだ内容でルカと海花が警戒心マックスになっちゃったじゃない。


「それで、何でご主人様なんですか?」

「はい。私、見ての通りメイドのロールプレイしておりまして、最近まで修行をしていました」


まず第一声からツッコミどころがあるんだけど…。

初めのメイドをロールプレイしているはまぁいい。

その次の修行ってどういう事?


「その修行というのは…?」

「はい。メイドたるもの家事に裁縫、そして主の護衛をできなくてはいけません」


んっ?

おかしいなぁ…私の知っているメイドは戦闘職じゃないぞ?


「ですのでまずはそのスキルを最低限身に着けるために今まで修行をしていました。そして最近になってようやくメイドとして務めを果たせると考え、仕える主を探していました」

「それが私って事?」

「はい。アリスさんは強く、気高く、美しく、そして慈悲深いとお聞きしまして少し観察させていただきました。そしてその噂通り素晴らしい方だと判断し、是非ともお仕えしたいと考えました」


ちょっと待って?

まず強いと慈悲深いってのは…まぁもしかしたら少しは入るのかもしれないけど、気高くと美しくってどういう事!?

私のどこを見たらそう判断できるの!?


「うん、よくわかってる」

「なかなか見る目がありますね」


ちょっとルカに海花!

さっきまで警戒心マックスだったのに何「こいつわかってるな」的な感じになってるの!?


「でっでも雇うってなるとそんなにお金払えないし悪いかなって…」

「いえ、私はお仕えしたいのであって金銭が欲しいというわけではありません。ただ私が望むのはアリスさん…お嬢様のお近くにいられる事だけです。それ以外の望みはありません」


めっメイドのロールプレイってこんな感じなの!?

主と決めた人にそこまでの覚悟をするものなの!?


「とはいえ、お嬢様も毎回私についてこられるのも煩わしいと思われます。なので、お嬢様が呼ばれる時以外はよければこのお店でお手伝いをさせていただけませんか?」

「えぇぇぇ!?」


いやでもリアにサイもいるし、週1だけどルカもバイトに来るしそんなやる事ないと思うんだけど…。

するとカウンターにいたリアが不安そうにこちらに近寄ってきた。


「ご主人様ぁ…」

「リア、どうしたの?」

「リアじゃ…お役に立ちませんか…?」

「ううん。そんなことないよ」


自分より大人のお手伝いが入ると聞いて、まだ子供のリアが不安になってしまったようだ。

何とか落ち着かせようと考えていると、トアさんがすっと席を立ちリアに近づいてリアと目線を合わせるようにしゃがむ。


「リアお嬢様。少しよろしいでしょうか?」

「はい…」

「私はリアお嬢様のお仕事を奪うつもりなどありません。ですので私の事は小間使いとでも思ってください」

「小間使い…?」

「はい。リアお嬢様はまだお身体が小さいです。なので高いところの物を取ったり、重たい物を運んだりするのは一苦労かと思います。そのご経験もあるかと思います」

「えっと…その…」


どうやらリアも心辺りがあるようだ。

って、これは私が注意しなくちゃいけない事だ…反省…。

もう少し棚の配置とかに気を付けないとなぁ…


「ですので、そのような時に私をお使いください。それとお嬢様のお店は広いため掃除も大変かと思います。そのような雑務こそ私メイドにお任せしていただきたいなと思います」

「えっと…ホント…ですか…?」

「はい」

「じゃあ…お願いしたいなって…リアは思います…」

「ありがとうございます、リアお嬢様」


あれ…?

これ許可する流れになってる…?


「んっ? 何やってんだご主人様。つかちょっと聞こえたが人また増えんのか?」

「あっサイ。んまぁ今そういう流れになりそうなんだけど…」

「まぁ確かにご主人様いない時は大人がいた方が何かと助かる時はあると思うし、お金もいらねえって言ってるしいいんじゃね? そのメイドさん、見た感じ盗みとかしそうにないし、物の管理は全部俺がしてるから数が違ったらすぐわかるし問題ないんじゃね?」

「あっうん、そうだね…」


反論する材料全部潰された…。


「あーうん…わかった…。トアさん、貴女を雇い…ます?」

「ありがとうございます。精一杯務めさせていただきます」

「じゃあ部屋の方は…サイかリアに好きな部屋使わせてもらってね。正直部屋余ってるんだよね…」

「ではその部屋に私が持つ生産道具やアイテム、家具などを置かせていただきたいと思います」


生産道具って…まさか手持ち…?

つか家具ってどういう事!?


「もしかしてどこかで部屋とか借りてた…?」

「はい。生産活動をするために一部屋借りていましたので、部屋を貸していただけるのなら是非お願いいたします。家賃はいくらになりますか?」

「家賃…」


特に考えてなかった…。


「ちなみに一月いくらぐらいだったの?」

「私が借りていたところは広かったので月八万程でした」


広いっていうしこの家じゃ狭くなるだろうし…。


「じゃああっちの時間での月四万で。あともし月毎に払えなくてもよほど長い間延滞しなければいいから」

「はい。ありがとうございます」

「あと業務についてはリアとサイに相談して貰えばいいかな? 業務内容とかはその二人に任せてるし…」

「はいっ! 大丈夫です! トアお姉ちゃんリアに任せてください!」

「はい、よろしくお願いしますリアお嬢様、サイお坊ちゃま」

「いや…お坊ちゃまはやめてくれ…」

「ではサイ様でよろしいですか?」

「あー…それでいいや…」


言われてみればお嬢様の男バージョンってお坊ちゃまだっけ?

もう少し良い言い方があればいいんだけどね。

ともかく、トアさんは様子見かな?

タイトルでアリカと思った? 残念別人でした!

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