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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
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醤油が無ければ塩にすればいい

唐突に塩焼きが食べたくなったのでつい話を…。

 蚕との戯れと蜘蛛を狩っていた影響でもうそろそろ日が沈み真っ暗になる時間帯となる。夜になると蚕の姿も見えなくなるし、おそらく睡眠活動してしまうと思うので今日の狩りはここらで一旦終了とする。


「ルカは明日何時頃からできるの?」

「明日は午前中だけ。昼過ぎからずっと入れる」

「おおぅ…」


 ルカは後半楽をしたいがために単位を早い段階で取れるだけ取っていたという。しかもほとんど評価がSとかAだったという。本人曰く、NWOやれる時間が増えて結果オーライとのことだ。くそぉ…。


「だから繭集めておく」

「じゃあ今のうちに桑の葉集めないとだめだね」

「【採取】持ち。大丈夫」


 へー、ルカも【採取】持ってたんだー。気になって何を取ってるのか聞くと、【伐採】と【木工】に【道具】も取っており、自分で木を切ったりして矢を作っているらしい。なんだろう…二人揃って森での行動が基本になってるこの感じは…。


「じゃあ大丈夫そうだね。私はたぶん夜ぐらいからだから…三日後に合流かな?」

「素材、集めておく」

「えっと…無理しないでね…?」


 とまぁルカとの予定も立てたことだし、ハーフェンへ帰ることにしよう。それにもう夜になってるしお魚食べてからログアウトすることにしよう。


「ルカー、この後お店でお魚食べてからログアウトするけどどうする?」

「お魚、食べる」

「まぁ調味料はそこまでないと思うし塩焼きかな?」

「シンプルだけど美味しい」

「アユかサンマがあるといいんだけどなー…」

「この世界にいるかな」


 まぁそこが心配かな…。そもそもこの世界にそういった魚が生息してるのだろうか…。モンスターがいるんだから弱い魚なんかは絶滅してるんじゃ…。っと、そんな事考えてる間に美味しそうな匂いのする出店をルカが選んでくれたので入る事にしましょう。


「へいらっしゃい!」

「えっと…」

「…」


 出店に入ると、やたら元気のいいおっちゃんが声を掛けてきました。その影響で突然ルカが私の後ろに隠れてしまった。ルカもしかして人見知りなのかな…? 私も人のこといえないけど…。


「お嬢ちゃんたちどうしたんだい!」

「あぅ…その…お魚食べたくて…」

「おう! 今ならハーフェン魚が良い感じだぞ!」

「じゃあ…それの塩焼きを二人分…」

「あいよ! 席に座って少し待ってな!」

「はっ…はい…」

「…」


 ルカー! もっと頑張ってー! 私だけで二人分は無理だからー! 私が心の悲鳴を叫んでもルカは小動物のようにじーっと席に座ったままだ。

 しばらくするとお魚が焼けたのか、お魚をお皿に置いて渡してくれた。


「焼き立てだぞ! 熱いから気を付けな!」

「いただきまーす」

「…いただきます…」


 ルカがものすっごく小さい声で呟いたけどまぁ今回はスルーしましょう。先にこの焼き立てのお魚です!

 見た目としてはハーフェン魚はアユっぽい感じがしました。さてさてお味は……はむっ! モグモグ…。

 うん。これは…アユですね! ということは内臓や頭も食べれるということなんだろうか? 一応おじさんに聞いてみよう。


「おじさん。このハーフェン魚って内臓とかも食べれるの?」

「おうよ! 少し苦味があるがちゃんと食べれんぞ!」


 ってことは形といい味といい…ハーフェン魚はアユということでいいのだろう……たぶん。

 別にそのまま名前をアユにしてもよかったと思うんだけどねぇ。語源ってなんなんだろう? 食べ終わったら聞いてみよう。

 シンプルだけど美味しい塩焼きのハーフェン魚を食べ終え、一息ついたので改めて聞いてみることにしました。


「おじさん。もう一つ聞きたいんだけど、なんでハーフェン魚っていう名前なの?」

「そりゃ決まってんだろ嬢ちゃん! ハーフェンで取れた魚だからハーフェン魚っていうのさ!」

「……え…?」


 それ、ハーフェンで取れたらどんな種類でもハーフェン魚ってことになるんじゃ…。


「何言ってんだいアナタ! 変な嘘教えんじゃないよ!」


 おじさんを少し疑った目で見ていると、おじさんの後ろから年上の女性がおじさんの頭を叩いた。


「いって! 急に叩くなよ!」

「異邦人だからって変な嘘教える方が悪いんだよ!」

「ただのジョークだろ! ハーフェンジョークだよ!」

「あたしがいなかったらこの子たち信じてたじゃないの!」


 えぇぇ…。何なのこれ…。夫婦なのかな…? 夫婦喧嘩は犬も食わないっていうし…二人だけでやってほしいなぁ…。


「御馳走様…」


 んでルカはルカでマイペースだし!


「ほらちゃんと訂正して説明してやんな!」

「はぁー…。いい手だと思ったのに…」

「こんな可愛い子たち騙してまで稼ごうとするんじゃないよ!」

「えぇっと…一体何の話を…」

「あぁすまなかったね。ほらアナタ! さっさと言いな!」

「仕方ねぇなぁ…。そのな…ハーフェン魚っていうのはいなくてな…。その…あの魚はアユっていう名前の魚なんだよ…」


 やっぱりあれアユだったのね…って、ええええっ!?


「なんでそんな嘘を…?」

「うっ……その…異邦人にそういえば高く売れると思ってな…」


 つまりぼったくろうとしてたということですか…。私は少しおじさんを睨みました。するとおじさんはバツが悪そうに顔を背けます。


「ほらっ! ちゃんとこの子たちに謝りな!」

「わ…悪かった…」

「むぅー…」


 別にお魚は美味しかったからいいんだけど…嘘つかれた事に関してはまだ少し不満がある。と思っているとルカがおじさんに話しかけた。


「おじさん」

「ん…?」

「美味しかった。ご馳走様」

「お、おう…。…怒ってないのか…?」

「何に」

「その…嘘ついたことにだ…」

「別に。美味しかったから問題ない」


 少しの付き合いだけど、ルカはお世辞とかはあんまり言わないタイプだと思う。だから今の言葉も素直な気持ちなんだろう。まぁルカが気にしないっていうから私もどうでもよくなってきちゃった。


「でも」

「なんだい嬢ちゃん?」

「美味しいのになんで嘘つくの?」

「そりゃぁ…あんまり客が来ねえから…」

「アユの塩焼き、今までで一番美味しかった。焼き加減、塩の具合。だから変な事する必要ない」

「ったく…。ちゃんとお客さんは見てくれてんだから自信持ちゃいいんだよ!」


 確かに塩焼き美味しかったもんね。てかルカが一度にこんな喋るとは…。ちょっと驚き…。


「嬢ちゃんたち悪かったな…。お代は一匹20Gだ」

「それでいいの?」

「倍は出す」


 まぁ1G10円としても400円ぐらい出してもいいかなとは思うけど。たかが塩焼きに400円とか言われそうなきもするけど…。


「嘘ついたんだからそんぐらいにさせてくれ。本当なら30Gなんだからな。迷惑料と思ってくれ」

「迷惑料いらない」


 ルカは30Gを実体化させおじさんに無理矢理渡した(おしつけた)。私もルカに続いて30Gをおじさんに渡した。おじさんは困惑してたけどもう渡しちゃったから知りません。それにしてもルカもこういう時は強引なんだね。

 とまぁ、いつまでもここに残っていてもおじさんがこちらを気にしちゃうだろうし、そろそろ出店を出てログアウトする準備をしようかな?

 ルカに聞くとオッケーとのことなので早々に出店を出ました。


「じゃあルカ、また明日ね」

「またね」


 そういって私たちはログアウトしました。

なんだかんだ毎日更新できるように頑張りますが、毎週木曜日と金曜日はかなり怪しいのでその時はご了承を…。

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