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Nostalgia world online  作者: naginagi
第一章
19/370

得られなかった物と得られたモノ

新キャララッシュが続いてるが大丈夫だろうか…。

 大学の講義も終わり、家に帰って食事もお風呂も全部済ませたのでログインしようと思います。えーっと今は午後七時過ぎだから…GT09:00頃かな? 酒場の人も仕込みとかあるから起きてるよね? さてログインです。




「って…ここどこ…?」


 ログインして目を開けると、簡素な部屋の中に私がいた。とりあえず私はベッドに横たわっていたので起き上がり部屋の中を見渡すが、まったく記憶にない部屋だった。すると扉が開き男性…というか討伐の時にいた警備の人が部屋の中に入ってきた。


「あっ起きましたか?」

「あっはい……それであのー…ここは…」

「ここは我々憲兵隊の詰所です。この前の街道の時にお休みになられたあなたをここで休ませておりました」

「えっと…ご迷惑をおかけしました」

「いえいえこちらこそ街道を解放してくださってありがとうございます」

「ところで他の方は?」

「この詰所に運ばれたのは女性の方だけです。男性の方々は団長さんが「そいつらは街についたら適当に置いといて大丈夫です」と強くおっしゃっていたので…その…」

「本当にそこらへんに置いてしまったんですね…」

「我々としてはこちらへ運ぶぐらい問題なかったのですが…」

「団長さんらしいですね…」


 アハハ…団長さん団員に厳しいんだなぁ…。さてと、あんまりお邪魔しても憲兵さんのお仕事の邪魔になっちゃうからそろそろ出ようかな。というかこっちだと警察とかじゃなくて憲兵だったんだね…。今度から憲兵さんって呼ばないと…。


「ではあまり長居してもお邪魔になってしまうのでここらで失礼したいと思います。運んでいただいてありがとうございます」

「いえいえ、また何かあったら来てください」

「こちらこそ困った事があったら言ってください」


 私は憲兵さんにお礼を言い詰所を出た。さて酒場へ行って醤油について聞かないと! 酒場へ向かうため大通りに出ると、地面に魔方陣が書かれて虹色に光るオブジェがあった。これが正悟が言ってたポータルってやつなのかな? 試しにポータルの上に乗ってみると選択肢が現れた。



 ―移動先を選択してください―

 ・エアスト



 これはまだ私がこの街以外へ行ってないから選択肢がこれだけなのだろう。他の街に行くとどんどん増えていくのだろう。っと、脱線してしまった。早く酒場へ行かねば。

 酒場へ着くと、入口に『仕込中』の看板が置いてありました。迷惑になってしまうと思うんだけどここは醤油のため、仕方なく…なんだから…その…すいません…。


「あのー…すいませーん…」

「はいはーい。って、どうしたの?」

「えーっと今お時間大丈夫ですか…?」

「んー…少しぐらいならいいかな? んでどうしたの?」

「えっと、この前ここで煮物食べさせてもらったんですけど、その時に使った調味料について聞きたくて…」

「ん? もしかして使った調味料がわかるのかい?」

「そこまで詳しいわけではないのですが…。それでその調味料をどこで手に入れたかを知りたくて来たんです」

「えーっと煮物で使ったのは塩に砂糖に酒にあとはショーユってやつだっけな。それと…」

「それです! その醤油をどこで手に入れたかが知りたいんです!」


 やっぱり醤油を使っていたんだ! 私はつい興奮してしまいました。


「あー…悪いけどショーユについては行商人から直接仕入れてもらってるんだよ」

「え…?」

「前にお試しでそのショーユを買って、結構いい感じだったから定期的に行商人に持ってきてもらってるんだよ。だからこの街にはないんだよね」

「そんなぁ~…」

「なんか期待させて悪かったね。今度その行商人が来たら詳しく聞いておくからさ」

「はい…ありがとうございます…」


 私はお礼を言い酒場を出た。



「…どうしよう…」


 そう、醤油の情報を掴んだのはいいが入手先が定期的に来る行商人しかないのだ。そこで調味料を買うという手もある。しかし、美味しい料理を作るor作って貰うためにその調味料を使った場合すぐなくなってしまう。そう考えると、ある程度は近場で入手できるような手段が必要となる。となると、まず最低でも大豆の栽培が盛んな地域、もしくは農場に接触しなければいけない。このエアストの気候から考えると、そこまで気温が低いわけでも高いわけでもなくちょうど過ごしやすい感じだ。なので極端な環境が必要な作物以外ならば、ちゃんと種があればこの街でも栽培することが可能なのだ。と、栽培できる条件はまぁよしとする。だが問題の大豆がないのだ…。


「大豆…大豆…大豆…大豆…大豆…大豆…大豆…」


 っと、つい口に出してたらしい。まぁ、今手に入らないものを強請っても仕方ないので南にある港街に向かうとしましょう。そう考え南門へ向かう途中に声が聞こえた。


「南の港街へ向かう便だよー! 今ならなんとお一人様100Gだよー! さぁ異邦人の方々どうだい!」


 んん? 港街への輸送便? 私は気になったのでおじさんに声を掛けた。


「港街に行くんですか?」

「おっ嬢ちゃんも乗るかい? お一人さん100Gだよ!」

「まぁ乗ろうと思うんですけど…道中大丈夫なんですか?」

「あぁ大丈夫だ。今港街の憲兵とこっちの憲兵が街道の整備を行っててな。前みたいに封鎖されないように色々としてるんだとよ。だから安全な今のうちに運び屋の商売しちまおうってことよ!」

「へ~…」


 街道の整備ってどんなことやるんだろ? 移動しやすくしたりとかかな? まぁ歩いて移動しないで済むしお願いしよっと。


「じゃあ私も乗りますのでお願いします」

「毎度あり! 代金は先払いだ」

「はーい」


 私はおじさんに100Gを実体化させて渡した。


「確かに受け取ったぜ。じゃあ嬢ちゃん荷台に乗ってくれ。そろそろ出発するからな」

「到着までどれぐらいなんですか?」

「徒歩だと大体半日ぐらいだが、馬車ならその半分ぐらいで着くと思うぞ。こいつらは結構速い馬だからな!」


 ヒヒーンと馬車を牽引する馬が鳴いた。確かに元気が良さそうな馬だ。


「じゃあ大丈夫そうですね」

「まぁもっと速度が速いのがいいなら竜種のとかがあるがな。まぁ普通の移動なら馬で十分だがな! ガハハハハッ!」

「は、はぁ…」


 まぁともかく荷台に乗るとしよう。荷台に乗ると既に数人が乗っていたので私は端っこに座ることにした。しばらくすると馬車は動き出した。これから六時間程だから…夕方ぐらいには着くのかな? まぁ外の風景を眺めながらぶらり旅って感じもいいよね。


「んっ…風気持ちいい…」


 少し涼しい風が荷台の中にも流れるため、特に蒸し暑いといった感じはなかった。これなら風景を楽しんでる間に着きそう。

 時々憲兵隊の人が見えたので手を振ってみると、あちらもこっちに気付いて手を振ってくれた。お疲れ様です。…そうだ、美味しい物作れたら憲兵隊の人にお裾分けしようかな。喜んでくれるといいなー。でも憲兵隊の人たち人数多そうだし何持ってけばいいかな? やっぱり…肉? となると美味しいお肉となると…ラム肉…? もしくは牛さん見つけたてそっちを狩ったほうがいいかな?

 そんなことを考えていると、一緒に馬車に乗っていた女の子が私の近くに来た。


「横、いい?」

「うっうん…」

「ありがと」


 そう言うと彼女は私の横にちょこんと座った。


「…」

「…」


 きっ気まずい…。


「ねぇ」

「はっはいっ!?」

「ソロ?」

「え?」

「一人でやってるの?」

「おさ…友達とやってるけど…」

「そう…」


 この子どうしたんだろう? さっきからチラチラこっち見てるけど…。…もしかして…。


「港街の方で一緒に狩りする?」

「! …する」

「じゃあよろしくね。えーっと…」

「ルカ」

「私はアリス。よろしくねルカ」

「よろしく」


 友達になったのでルカとフレンド登録をした。少し話してみたけどルカは話すの苦手なのかな? まぁ私も得意とまではいかないけどね。


「アリスは何しに行くの?」

「えーっと…とりあえず塩と海産物とあとは繊維系の素材集めかな?」

「繊維系…取れるの?」

「蜘蛛とか蚕とかいるらしいから取れるんだって。ルカはそういうの平気?」

「だいじょぶ」

「じゃあ二人分の装備取れるぐらい集めよっか」

「一杯取る」


 多くは語らないって感じの子だね。それに…私から作れた初フレンド! 正悟や鈴に自慢できる!


「ふぁぁ…」

「ルカ、眠いの?」

「ちょっと」

「まだ街に着くまで時間あるから寝てて平気だよ。流石にログアウトされたら起こせないけど…」

「ん…」

「膝貸すよ?」

「ありがと」


 そういうとルカは横になり私の膝に頭を置いた。なんか妹ができたみたい。


「よーしよーし…」

「すぅ…」


 もう寝ちゃったか。よほど眠かったんだろうね。そういえばルカっていくつぐらいなんだろ? とりあえず買えてるってことは高校生ぐらいかな? 私より小柄だしそんぐらいだよね。さてと、着くまでの間はのんびりと景色でも見てようかな。

ソロ:ゲームの場合では一人プレイの意味で使われます。

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