穢れし奇魂①
リーネさんとのお話も終わり、私とルカはそれぞれ帰路に就く。
途中で話していた企画の事を考える。
一先ず私が出品出来る物としては、山王鳥の卵とイカグモの糸と言ったところだろう。
あとはリアが新薬を作れればそれを出品していいかもしれないけど、この事を伝えると無駄にプレッシャーになってしまうので作れたら話を振ってみることにする。
「とはいえ、これだけじゃなんかあれだしなぁ…」
どうせならもう少し驚かれるような物を出品したいところだ。
そうなるとまだ未開拓エリアを探索した方がそういった物は見つかりやすいだろう。
となると…。
「この前ショーゴが言ってた廃村辺りかなぁ…?」
ショーゴの話の後掲示板を覗いたけど、不気味がってあまり近づこうとする人もいないし、ある意味ちょうどいいかもね。
ということで早速行動に移すとしよう。
私は装備等の確認をしてヒストリアに向かった。
ヒストリアに飛んだ私はまずギルドホールへ向かって例の依頼を受けることにした。
話によるとクエスト期間は無期限となっているようだし、受けっぱなしでも構わないようだ。
それにせっかく向かうのだから受けといて損はないだろう。
ギルドホールに入ると、ちょうどその廃村について職員と話しているプレイヤーたちがいた。
「だから調査したけどよ、女の子が出たぐらいなんだってよ。それじゃダメなのかよ」
「はい。依頼主はあくまで異変を解決してくれとのことなので、何度も同じように目撃されてしまうようでは依頼達成とはならないのですよ」
「はぁ…わかったよ。また時間が空いたら行くことにするよ」
「わかりました。よろしくお願いします」
そのままプレイヤーたちはギルドホールから出ていき、頭を下げていた職員は顔を上げると小さくため息をついた。
「はぁ…どうしたものかしらねぇ…」
「あのー…」
「はっはい。何か御用でしょうか?」
「その…さっき話していた廃村の調査のクエスト受けたいんですが…大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。となるとクエスト内容は理解しているようですね」
「まぁ大まかですけど、ここから西の森を突き抜けると廃村があるから、そこを調査して解決してほしいってことですよね?」
「はい、その認識で大丈夫です」
一応確認してみたが、概ね間違いはなかったようだ。
っと、そうだ。
ついでに依頼主について聞いてみよう。
「それと依頼主さんにお話し聞きたいんですけど、どこにいるとかっていうのはわかりますか?」
「あー…それは…」
依頼主について尋ねると、職員は苦笑いをする。
「もしかして依頼主に話は聞けない感じなんですか?」
「申し訳ありませんが、依頼主の方がそれを拒んでおりまして…。どうもこの件に対して何か思い入れがあるようなのですがその理由は話してくれないのですよ」
「そうですか…」
何か知っていることがあれば聞いておきたかったけど…。
でも話を聞けないっていうのなら仕方ないしなぁ…。
「って…依頼主が廃村の異変を依頼したんですよね? ならなんで今までその事が伝わってなかったんですか?」
「少し違いますね。街の者が西の森で女の子を見たということが発端で、そこから依頼主から廃村の情報が入ったのです。そしてその依頼主に調査を依頼された、という形です」
つまり依頼主と異変の発見者は別ということになるのかな?
となると依頼主は…。
「わかりました。ではこれとは別件で、この街に他所から来た人たちについては教えてもらえたりはしますか?」
「理由をお聞きしても?」
「はい。私はこれからも森を抜けて村や街を探したいんですが、他の土地からこちらに来た方から元いた土地についてお話を聞きたいんです」
「異邦人の方々は街を探していると聞きますが、確かにそれならば他の土地を知っている方のお話は参考になりますね。とはいっても、さすがに個人情報といったものがあるので公にはできません。ですので、そういった方が住んでる場所がどの辺という事なら教えられます。あとはご自分で探してもらう形になりますが…」
「それで十分助かります」
さすがに名前とかまでは教えてもらえるとは思ってなかったし、地区だけでも教えてもらえるなら御の字だ。
まぁ少し騙してるところがあるのは心苦しいけど…。
私は職員に教えてもらった地区で虱潰しに話を聞いてみた。
エルフの里で聞いた話からすると、廃村になってたのは五十年前。
そしてその廃村ということを知っているということは少なくても五十歳以上の高齢の方だ。
ならばその高齢の人を探せばいい。
とは言っても、依頼主は高齢かもしれないというだけで、孫とかが祖父の心残りなんですとかいう話だったらもうわからない。
しかし、幸いにも聞き込みを続けたところ私の話に該当する人が一人いた。
そしてその人の家に辿り着き、ドアをノックする。
「…留守かな?」
しばらくしても返事も帰ってこないので留守かと思い、ドアの横に座り相手を待つことにした。
しかし時刻は昼を過ぎようとしてたため、腹を満たすため手持ちのサンドイッチを食べる事にした。
サンドイッチをモグモグと食べていると、私が来た道からお年寄りがこちらに向かって歩いてきた事に気づいた。
私は急いでサンドイッチを食べて立ち上がる。
「おや? 君は…?」
「初めまして。私はアリスと言います。ペカドさんですよね?」
「えぇそうですが…何か御用ですか?」
「はい。少し…お話を聞かせていただきたいのです。…西の森にある廃村について」
私はペカドさんの顔を見つめて話し掛けた。
完全にアリスが悪役サイド。




