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Nostalgia world online  作者: naginagi
第三章
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迷宮イベント⑤

 リンから渡してもらった眼鏡を試しに掛けてみる。

 見た目は普通にある黒縁眼鏡だ。

 特に度は入っていなかったので、視界がぐにゃぁっとなったりはしないのは幸いだった。

 ふっふっふ。これで少しインテリっぽく見えるかな?

 そう思ってドヤ顔をして装着した姿を皆に見せる。


「お、おう…」

「アリス似合ってるわよ~」

「別に眼鏡を掛けたからと言って知性的に見えるというわけではないけどな」

「ガウル、そういう事は思ってても言わない方がいいんですよ?」

「女心はちゃんと察しないとダメよ~?」

「そうそう、女の子は難しいんだ。ってことでアリスちゃん可愛い!」


 シュウは相変わらずとして、リン以外あまり褒めてくれてる気がしないんだけど。

 そこまで似合ってないかな?

 とりあえずレヴィとネウラを呼んで聞いてみた。


「レヴィ、ネウラ。どう? 似合ってる?」

「キュゥ!」

「うーぁー!」


 ほら! 二人は似合ってるって言ってるし!

 再度ドヤ顔で振り向くと、リン以外のメンバーは苦笑いをする。


「盛り上がっているところ悪いが、解読可能になったということで再度読めなかった文字があった部屋に行くわけだが…」


 団長さんが話を切って説明するが、少し言い淀む。

 すると団長さんの横にエクレールさんが立ち、説明を続ける。


「問題はおうし座との遭遇です。一日目では動かないということもあって自由に探索できましたが、二日目以降からは動き出した事によりこちらに動きの制限が掛かります」


 確かに見つかったらアウトだもんね。

 AGIはともかく攻撃力が一撃必殺レベル。

 最初の時に盾持ちも一撃で倒されてたから、おそらく防御も意味をなさない文字通りの一撃必殺。

 タウロス君のATKが∞か、あの両刃斧が即死効果を持っているのかはわからないけど、突破口が分からない今の状態で接触するのは絶対に避けたい。

 とはいえ…。


「今おうし座がどこにいるか、ってことですよね?」

「はい。特設掲示板によると移動速度としては普通に人が歩く速度と同じですが、プレイヤーを見つけるとアリスさんの報告通りにかなり早い速度で追ってきます」

「命がけの鬼ごっこって感じだなぁ…」

「発見報告からして、幸いおうし座の現在位置は目的地の部屋から離れており、十分解読して戻ってこれるぐらいの時間はあると思われます」

「でももし道中に誰か見つかったやつがいて、こっちの方角にトレインしてきたら…」

「はい。解読する時間も戻って来られる時間も足りるかわかりません」


 タウロス君が動くようになって私たちに行動の制限を掛けるとともに、セーフティーエリアから動けなくさせるっていう算段かな?

 これが見晴らしのいい場所だったら特に問題はないんだけど、場所は曲がり角も多い迷宮。

 いつまでもタウロス君の正確な位置なんて掴めるわけでもない。

 故にどうしても動きを読めなくなる時は必ずある。


「とはいえあまり悩んでいる時間はありません。できるだけ急いで解読して戻ってきてください」


 解読に行くのはAGIが高い私を含めた四人で、それぞれ探索中に見つけた文字の場所まで行って解読後、すぐさま拠点に戻ってくることだ。

 その中で私はAGIが高く、スキル構成的にタウロス君から逃げ切れる可能性が一番高いため一番遠くの私たちが見つけた部屋の解読を行うこととなった。

 迷宮内に出現するモンスターはそこまで強くはないので、それも含めて選出はされているのでそこについては問題ない。


 とはいえ時間との勝負なのでさっそく出発する。

 私はレヴィとネウラを召喚石にしまって全速力で目的の部屋まで向かった。


 五分毎に定時連絡を行い、何か異常があればすぐさま残ったメンバーが報告するといった方法を取る。

 こうすることである程度は安全を確保しつつ、戻る時のルートを変えたりすることもできる。

 しかし、絶対ではないので私も連絡を聞き逃さないように気を付ける。


 全速力で移動したため、三十分も経たずに目的地まで辿り着けた。

 部屋の中に入り、初日に見つけた文字を解読効果を持った眼鏡を掛けて読む。


「えーっと…『この迷宮から脱出したければ迷宮の主を撃破せよ』…?」


 最初にタウロス君が言った言葉と何か違うのかな?

 とりあえず解読内容を送って…っと。

 さて、戻るとしよう。

 私は眼鏡を外してから部屋を出て拠点へと向かった。


 定時報告によると、他の三人はもうそろそろ拠点に着くそうだ。

 まぁ距離的に私が一番遠いから仕方ないね。

 拠点に向かって移動中、曲がり角を曲がると二メートルを越す大きさのミノタウロスが一匹いて道を塞いでいた。


 ここで道を変えて戻ってもいいが、地味に大回りになってしまいそうなのでさくっと片付ければ問題ないだろうと考えて脇差を抜く。

 ミノタウロスはその手に背丈ほどはある大きい斧を持って私に向かってくる。

 私はミノタウロスから振り下ろされた斧を脇差を斜めに構え受け流し、勢いをつけミノタウロスの首を狙う。

 しかし、身長差があったためうまく切断ポイントをなぞる事ができなかった。


「おしいっ!」


 つい呟いたが、そこまで広くない通路で飛び回るのは難しいため少し攻撃手を変える。


「『付加―【火魔法】!』」


【付加】スキルで脇差を火魔法で纏い、再度ミノタウロスに攻撃を仕掛ける。


「ブモォォォォ!」


 何度か身体を切り裂くとミノタウロスは鳴き声を上げて膝を崩した。

 私は膝を崩したことにより、首に届くようになったのでそのまま脇差を振り首を切断した。


「少し時間掛かっちゃったな」


 さて、早く戻らないと。

 そう思って地面を蹴ろうとした瞬間、後方で視線を感じた。

 その視線を感じると同時に重々しい威圧感が周りを包み込み、私は冷や汗をかく。

 そして戦闘時には気づかなかった緊急の連絡が何回も来ていることに今更ながら気付いた。


「アリスさん、見つけましたよ」


 私に声を掛けた存在は、足音が立たない事からその場から動いていないことはわかった。

 私は冷や汗を流しながらゆっくりと身体を後ろに向けると、数十メートル後方にタウロス君が両刃斧を持って立っている姿があった。


「できれば見つかりたくなかったかな…」


 私はこの迷宮で今絶対に出会ってはいけない存在と接触してしまった。

次の更新は10/31の08:00予定です。

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