缶ジュースでソーダ集めて
まーくんはソーダがだいすき。オレンジ、ぶどう、りんごソーダ、いろんなソーダがあって、どれもすきだけど、いちばんすきなのは、とうめいな〝みっちゃんサイダー〟
きょうもおかあさんにおねだりして、みっちゃんサイダーをコップにいれてもらったよ。コップのなかにそそがれると、シュワシュワシュワッとあぶくがでてきて、モクモクプクプクあわがいっぱいできるんだ。それをうえからのぞきこむと、ピチピチピチッとあわがはじけて、とってもあま〜いにおいがポワワ〜ン。
うれしくなったマーくんがおもわずキャッキャッ! ととびはねてしまうと、おかあさんが、
「こらっ! ちゃんとすわりなさい」
おこられちゃった。
おこられるのがとくいじゃないマーくんは、シュンとしながら、ごめんなさいをしました。おかあさんだいすきだけど、おこるととってもこわいんだ。すわりなおしたマーくんは、りょうてでおおきなコップをもちあげて、こぼさないように〝ゴクッ、ゴクッ〟
プハーッ! おいし〜っ! のどがチリチリしてつめたいソーダがおなかのなかにおちていきます。あま〜いあじのあとには、いいにおいが フワン とかおって、またたのしくなってきちゃった。
マーくんのえがおにニッコリわらったおかあさんも、のこりのカンカンにくちをつけて〝ゴクッゴクッ〟
「おいしいね〜」
あ〜っ! いいな、ぼくもそれでのみたいな。こんどおねがいしてみようとおもいつつ〝ゴクン、ゴクン、ゲフーッ!〟あっというまにのみほしちゃった。
あわあわのみっちゃんサイダーでおなかがいっぱい。おかあさんにてをひかれて、せんめんじょでおくちをゆすぐと、あ〜あ、なんだかねむくなってきたな。あくびをするマーくんを、おかあさんがおふとんにつれてきてくれました。
「マーくん、おひるねしようか」
いっしょによこになる、おかあさんのぬくもりをかんじながらおふとんにはいると、まぶたがおもくなってきて、マーくんはアッというまにねてしまいましたーー
ーーフワフワうかぶくものうえ、おひさまがポカポカとあったかくて、きもちよくめざめたマーくんは、ふあ〜っとあくびをしました。
『あれ? ここどこだろう? なんだかポカポカできもちいいな。それにくものうえなんてはじめて、やわらかくておふとんみたい』
うれしくなったマーくんは、たちあがると、くものはしっこをみてみようとしました。でもあしもとのくもはおおきくて、はしっこがみえません。すると、くものなかから、ピョコン! となにかがでてきました。
『なんだろう?』
しゃがみこんだマーくんがみつめると、ピョンッ! ととびあがったのは、まっしろなウサギくもさん。ピョンピョンとびはねるウサギくもさんをつかまえようと、ワーッ! とはしりだしたマーくんは、ドテンとこけてしまいました。でもここはくものうえ。フワフワのくものじめんはぜんぜんいたくありません。ふとかおをあげると、しんぱいしたのかな? ちかづいたウサギくもさんがのぞきこんできました。
いまだっ! パッとつかまえようとしたマーくんのてを、ピョンッととんでかわしたウサギくもさんは、そのままフワフワとうかんで、とんでいってしまいました。
まて〜っ! はしっておいかけても、そらをとぶウサギくもさんにはとどきません。
そのとき、マーくんはヒラメキました。そうだ! みっちゃんサイダーでプシューッととびあがればとどくかもしれない!
まえにおかあさんがカンカンをあけるときに、ブシューッ! とふきだしておおさわぎになったことがあったっけ。ナイショにしてたけど、あれってボクがたくさんふったあとだったんだよね、うぷぷっ。
マーくんはいつのまにかてにもっていたみっちゃんサイダーをおもいっきりふると……ブシューッ! おもいっきりおそらにとびあがりました。
ところがあとすこしーーってところで、サイダーがからになり、てをのばしてもウサギくもにとどきません。
わ〜〜〜っ!
そのままおちたマーくんは、くものじめんにポフッ! とおちてしまいました。でもここはフワフワのくものうえ、まったくいたくありません。たちあがっておそらをみあげると、フワリフワリとゆうがにうかぶウサギくもさんがこっちをみています。
む〜っ! こうなったら
たちあがったマーくんは、いつのまにかたくさんのみっちゃんサイダーをかかえて、ガシャガシャガシャ! おもいっきりふると……ブワッシューッ! ブシュブシュシュシュ〜〜ッ! とすごいいきおいでおそらにとんでいきました。
ビュ〜〜〜ン!
すごいスピードでとびあがったマーくんは、おもわずおめめをとじてしまいます。しばらくしておめめをあけたときには、あれ? ウサギくもさんはどこにもいません。
したをみると、あっ! あんなところにいる!
みつけたウサギくもさんはマーくんのはるかとおく、でもあわてることはありません、とびあがったマーくんはこんどはおちていきますから。
ビューッ
あれ? なんだかスピードがはやくなって、だんだんこわくなってきました。だってこんなにたかくとぶとはおもわなかったんだもの。
「わ〜〜っ! たすけて〜っ! おかあさ〜ん」
あまりのたかさとスピードに、とうとうマーくんはなきだしてしまいました。ながれるなみだもおんなじスピードでただよって、ほっぺにピチャッとはりつきます。
くものじめんがせまり、もうだめだ! そうおもったとき、せなかをフワン! ともちあげられました。
めをとじていたマーくんが、ふしぎにおもってせなかをみると、なんと! ウサギくもさんが、マーくんのふくをひっぱってくれて、いっしょうけんめいとんでいます。
「わ〜っ! ウサギくもさんありがとう」
マーくんがニッコリわらっておれいをいうと、ウサギくもさんもうれしそうにおみみをピョコンとおっててれかくし。
くものじめんにフワリとちゃくちすると、マーくんは、
「ごめんなさい!」
おおきなこえであやまりました。それをきいたウサギくもさんは、おみみをプルルンとまわして〝いいよ〟のあいず。めのあったふたりは、
「わっきゃっきゃっきゃっ!」
プルプルプルルン!
おかしくなってわらっちゃいました。そのままおともだちになったふたりは、くものせかいいちあま〜いわたがしをたべたり、とってもはずむトランポリンくもでとびはねたり、ウサギくもさんにのっておそらのさんぽをしてあそびました。きゃっきゃっ、プルルン! ーー
〜〜ん、〜く〜ん、マ〜く〜ん! マーくん!
ハッ、とめをさましたマーくんは、おめめをしばしばまわりをみると、おかあさんがわらっています。
「マーくんねすぎよ、あんまりねすぎておきないから、ほら、おとうさんがかえってきたわよ」
おかあさんのいうとおり、げんかんさきでドアをあけるおとがきこえてきます。
「ただいまーっ!」
あっ!おとうさんのこえだ。おとうさん、おとうさん、 きいて、きいて。ぼくさっきおともだちができたよ! フワフワしてて、やさしくて、かわいいおともだち! ほら、あの、なんていうの? あれ? あれれ?なんでだろう、おなまえがでてきません。
ふしぎそうなかおでおでむかえしたマーくんに、
「どうしたの? マーくんただいまーっ!」
しゃがみこんだおとうさんに、
「おかえりなさ〜い」
とびこんだマーくんは、ふしぎなことをわすれて、だっこしてもらってじょうきげんです。
「マーくん、きょうはおみやげがあるよ、しごとばのおともだちにもらってきたんだ」
なんと! おみやげつきです。マーくんはおみやげがだいすき、だっていつもあま〜いオヤツや、だいすきなたこやきをもってかえってくれるんだもん。
ワクワクしながらソファーにすわったマーくんに、
「ほら、マーくんのだいすきな、みっちゃんサイダー。たくさんもらってきたよ」
おとうさんがみせてくれたのは、ふくろにたくさんはいったみっちゃんサイダー。
「え!?」
なんだろう? だいすきなはずなのに、ぜんぜんうれしくない。
「あれ? どうしたの? マーくんみっちゃんサイダーだいすきじゃなかったっけ?」
おとうさんはふしぎそうにマーくんのかおをみつめます。
「あら、おひるはあんなによろこんでたのに」
あとからきたおかあさんもふしぎそうです。マーくんもふしぎだな? なんでだろう? とおもいますが、なんでかわかりません。
そうこうするうちに、おとうさんが、
「なんかのどかわいちゃったな、どれ、いっぽんもらおうかな」
みっちゃんサイダーをあけようとしました。
「あっ! あぶない!」
マーくんはおもわずめをつぶってしまいます。
〝プシュッ!〟
……あれ? だいじょうぶ? おそるおそるめをあけたマーくんのめのまえで、おとうさんがおいしそうに〝グビッグビッ、プハーッ!〟
「おいし〜っ!」
おとうさんのえがおをみていると、なんだかマーくんまでのみたくなってきます。
「おとうさんばっかりずるい!」
とつぜんおこりだしたマーくんに、ビックリしたおとうさんは、おもわずわらってしまいました。
「ばんごはんだから、もうだめよ」
いいながらおかあさんもわらってます。
「わっはっはっはっ、うふふふふっ!」
おとうさんとおかあさんがわらうので、いっしょになっておもわずマーくんもわらってしまいました。
「わっきゃっきゃっきゃっ」
プルプルプルルン!
とおいとおいくものせかいで、ウサギくもさんもわらいましたとさ。