正義の見方2
ああ、死んだな俺。直感的にそう思った矢先、俺は何故かお義姉さんをかばうように立っていた。何故だかは俺もわからない。わからないが今の俺にはとても大切なことだと思った。ここで死ぬならせめてお義姉さんだけでも助ける。そんな気があったのかもしれない。しかしそれは無駄に終わった。
「大丈夫か?実、雪」
アーマードスーツに身を包んだ兄貴が横から現れて飛んできた車を吹っ飛ばしてくれた。
「おせえよ。どれだけ危ない目にあったと思ってるんだよ」
「今度甘いもの奢るから許してよ」
「ったく、今回だけだぞ。明日必ず奢らせるからな」
「はいはい」
俺の苦情を軽く流しながら兄貴は化物に向かって走り出した。それに気づいた化物は翼を広げて飛び立った。空から攻撃しようというのか。しかし兄貴は慌てることなく腰のホルダーから少し変な形の拳銃を取り出し左太もものホルダーから長い銃身みたいのとスコープを取り出した。そしてそれを組み合わせてライフルを作り化物に向かって構え、引き金を引いた。しかし化物はそれを避けたが翼にあたり落っこちてきた。それを見た兄貴はライフルを捨てて走り出し、右太もものところにあるホルダーから剣の柄みたいなものを取り出し構えた。すると光で形成された刃が出現し、それを確認した兄貴は飛び上がり化物を腹のあたりで真っ二つに切った。兄貴が着地してこちらに笑顔で手を振っているが兄貴の周りにはさきほどの化物のものだと思われる肉片や血が大量にあって正直怖い。
その後、俺はお義姉さんを連れて避難所まで逃げた。そして数分後、避難警報は解除されて俺達は結局何も買わずに家に帰った。兄貴は後処理があるからと言ってアマテラス本部に行くらしいので帰ってくるまで兄貴たちの家で待つことにした。
「ねえ実くん」
「なんですかお義姉さん」
「なんで実くんはアマテラスに入らなかったの?真くんが入る時に誘われてたよね」
ああ。やっぱり聞かれたか。いずれは聞かれるだろうと思っていた。答えはとっくに俺の中にあった。
「正義の味方とか嫌いだから。俺は俺の正義を貫きたいから」
昔から正義の味方や正義のヒーローがあまり好きではなかった。正義と悪の違いってさ『自分が正しいと思うものが正義。それ以外が悪』ということだからだ。だから世界征服を考えてる人にとっては『正義の味方』は『悪』ということになる。だから俺はそんな『正義の味方の組織』の一員になりたくなかった。
「実くんの正義って何?」
「俺の大切な人を守るためならどんなことだってする。それが俺の正義だ。お義姉さんの正義は?」
「私の正義…楽しく暮らしたいかな」
「それって正義じゃなくて夢じゃん」
そんな他愛ない話をしながら兄貴の帰りを待っていたが兄貴が帰ってくる事はなかった…
つづく