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 雨が降っている。

 屋根を、アスファルトを、庭の木を、強い雨が規則正しく叩く音を眠りの中で聞いていた。


(雨は嫌いだ)


 俺は寝返りを打とうとしたが、体が重くて言うことをきかない。指一本動かすことができない。

 

 ひどく、くたびれていた。

 毎日部活に出ているせいだろうか。それも情けない話だが、けれど深い泥に沈み込んだように身じろぎひとつできない。

 目を覚ましたいのに、起きることができない。


(本当に、もう目を覚ましたい?)

 

 有坂が暗い闇の中に不意にあらわれて、俺にそんなことを尋ねる。

 どういう意味なのかと問い返したいのに、喋るのってどうやってするんだったかさえわからない。声帯の動かし方を思い出せない。

 有坂はこちらをただじっと見ている。

(どうして暗いのに、そんなことがわかるんだろうか)

 疑問がわいても、それを考えることすらだるくてどうでもよくなってしまう。

 有坂はいつもの穏やかそうな微笑ではなく、悲しそうな顔をしている気がした。


 夢を見ているのだとすぐにわかった。

 もちろんそれ以外にこんな夜中に有坂が突然俺の目の前に出てくることは有り得ないので当たり前だ。

 

 有坂は繰り返し俺に同じことを聞いた。

 どういう意味なのか。

 もう少し近づきたくても、問い返したくても体はぴくりとも動かなかった。じんわりと頭の芯が痺れてくる。

 もどかしさに苛立っていると、ますます有坂は哀しみを深くして俺を見ている。

 お前はそんな目をするが、本当はお前が諸悪の根源じゃないのか? 


(雨は嫌いだ)


 ピンク色の傘。濡れて重たそうに花開いた紫陽花。

 ああ、雨音が止まない――――。

 


「どうしたの全然やる気無いわね」

 深夜の雨も目覚ましが鳴るころには雨雲の影も見せずすっかり上がっていた。

 夏休みも近く、三年がいよいよ引退するので朝練に来いと安藤から呼び出しを食らったのだった。早起きしたせいであんな大雨が降ったのかもしれない。

 グラウンドのコンディション的にせっかく早く出ても中止になるんじゃないのかと期待……ではなく不安に思いつつ登校したが、全くの杞憂だった。

 それどころか絶好調の太陽のおかげで逆に湿度が普段以上に高くなり、あっという間にへばってしまう羽目になっている。そしてそれをグラウンドを流していた安藤に見咎められて叱られているのが今ココ状態だ。


「暑いんだよ」

 すぐに立ち上がる元気も出ないので言い訳がましくぼそりと呟く。

「そりゃ誰しもおなじ条件だっての」

 当然即座に反論が返った。もっともな意見なので、仕方なくもう一言そえてみることにした。


「夢見が悪くてさ」

「夢ぇ?」

 安藤は素っ頓狂な声を出した。そんなに驚かれることだったろうか。

「あんたそういうの気にしたりすんの」

「いや、そうじゃなくて。なんかちゃんと眠れてなくて暑さがこたえるっていうか」

「ああ、なるほど。夢は五臓六腑の疲れからって言うし、あんたクーラーの効いた部屋で冷たい物とか飲んだり食べたりしてんじゃないの?」

「お前は保健の先生か」

 思い当たることがないわけではないが、認めるのも悔しい。


「やっぱ一度病院行ってみるかなあ」

 頭痛も含めて一ヶ月近く不調が続いているのだから、ちゃんと診てもらうべきなのかもしれない。そう考えて呟いたのだが、安藤はぎょっとした顔になった。

「あんた、夢見が悪いからって病院で診てもらうの?」

「違うわ!」

 いちいち突っ込みを入れるのも非常にだるいのでボケ属性でもないくせにボケるのはやめてほしい。俺は土を払いながら立ち上がった。

 トラックの連中もアップを終えてこちらをちらちらと見ている。明後日で三年がついに引退となるので副部長として承認された安藤は大忙しだ。もちろん俺は、というと相変わらずなあなあのままなのだが多分このままなし崩しに押し通されるのだろう。

 俺は溜息をつく。


 ふと安藤が安藤が思い出したように俺を見た。

「んーで、どんな夢を見たって?」

「――――」

 口を開いた時には、夢の内容なんてこれっぽっちも覚えていなかった。




 ものすごく変な、嫌な感じだ。

 有坂で頭痛とかいってるレベルじゃない気がしてきたが、何をどうとも言いようがない。まるで忘れた夢みたいだ。

 頭の奥にどこか形にならずぼんやりとしたイメージがあるのに、つかもうとするとすぐに消える。

 もっとも部活を終えて教室でそんなことを考えてるうちに一時限目の数学が始まってしまい、先日の小テストの答案が返されたのであっというまに違和感どころではなくなった。

 我ながら度肝を抜かれる点数を久々に目にした。もやもやしてたものが脳天までいっぺんに突き抜けるほどの衝撃だった。

 つい半月前期末試験があって、頭に詰め込んだ公式の復習だったはずなのに終了直後にすべてデリートされていたらしい。半端なく壊滅的な出来だった。

 

 他のクラスメートたちも戻ってきたテストを片手にわいわいと盛り上がっている。または盛り下がっている。

 結果そのものも無かったことにして抹消させたいのに、教壇の数学担当教師は重々しく溜息をつき、放課後の補習をメエメエ騒ぐ子羊たちに宣告した。子羊たちの合唱は一部嘆きにかわる。 

「ありえねえ」

「ありえないのはお前の点数だ」

「両方についての感想なんで……」

 思わずこぼした愚痴をいつのまにかそばに来ていた教師にすかさず拾われ、慌てて首をすくめる。

 

 部活には出なくてすむ。が、かといって補習はこれっぽっちもありがたくない。

 安藤は不可抗力を認めずまた怒気を発するだろうし、こっちとしても体を動かしてる方がなんぼかマシだ。それがたとえ地獄の蒸し暑さの中でも、多分。

 ため息をついて授業に復帰する前に、後ろ向いて喋っている織田が机に伏せて放ってるテスト用紙をぺらりとめくってみた。見るまでもないがやっぱりこいつも赤点組だった。

「よしよし」

「あっ、見んなよ亮一」

 俺は満足して頷いた。

 何も良くはないが、まかりまちがってこいつが補習を免れていたら自分が赤点であること以上にへこむではないか。


 窓側の席に座っている有坂は相変わらず迷える子羊に囲まれた牧師のように、やわらかく笑って自分の答案で答えあわせをさせている。まあ、こいつがこんな小テストくらいで動じるはずもないだろう。

 織田が隣から話しかけて来たので、視線を戻しかけてふと前に座っている泉水で止まった。

 泉水はぼんやりと自分の席に頬杖ついて座っている。他の女子たちのようにテストを交換してはしゃいでいたりもしないし、俺たちのような撃沈組でもないようだ。

 ただ、喧騒の中ひとり他人事のようにそこにいた。


「なー、なー。なーって亮一」

 織田が机に身を乗り出すようにして声をかけてくるのを片腕で押しやってかわしつつ、妙に泉水の態度が気になった。

 元々率先して大声で騒いでるタイプではなかったが、けれどぽつんと外れているのも違う気がする。声をかけてみるべきかためらっている間にタイミング悪く教師が手を叩いて静かにしろとようやく場を収めることにしたらしい。

 遅ればせながら授業が再開したのでそのままになってしまったが、授業中も様子を見ていたが聞いているのか聞いていないのか心ここにあらずの風情だった。

 授業終了のチャイムが鳴るのも待ち遠しく、またしても織田が俺を呼んでいたが後にしろと言い置いて泉水の席へ行ってみた。


「どしたの?」

 泉水はきょとんとして俺を見上げている。そういえばたいていこいつが俺の席に来て話かけてくるので、反対のパターンはあまりないのだった。

「いや、俺はどうもしねえよ。お前がどうしたんだよ」

「へ?」

 唐突な台詞だったらしく、泉水はアーモンド形の目を丸くしたがそのまま吹き出した。


「なにそれ。どういう脈絡? ほんと最近亮ちゃん変だよね」

「逆だろ、逆。今日はお前だろ」

「あたし?」

 泉水は首をかしげる。

「なんだろ? なにがどういうふうにどうにかしてる?」

 真顔で尋ねられると、返す言葉が無かった。そこまできちんとどうと言いようがないのだ。


「まあ、いいけどな」

 なんでもないならそれにこしたことはないのだから。横に立っているのも手持ち無沙汰なので手を振ってじゃあそういうことでと自分の席へ早々に退散しようとした。


「あ」

「え?」

 シャツの裾をつかんできた泉水とつかまれた俺が、仲良くハモった。というかつかんだほうが「あ」ってなんだ。


「なんだよ」

「あ、えっと」

 つかんだ泉水もびっくりして俺を見ている。お前が驚いてどうするんだ。

「えっーっと、さっきの数学のテスト何点だった?」

「はい?」

 泉水は丸い目で俺を見上げている。いかにもとりつくろいましたというような質問をされても、返事のしようがない。


「あはは、なんでもない。気にしないで」

「お前やっぱりなんかおかしいぞ」

「はははは……そうだね。そうかもね」

 泉水は仕方無さそうに首をすくめた。


「こう毎日暑いとね、おかしくもなっちゃうよね」

 泉水は笑う。異論はないが、そうだなとも言い難い。

 なんだかここ最近いつもこいつはこっちが言葉に詰まるようなことを言う気がする。ささいな話なのに。


「気温の問題かよ」

「そそ。みんな太陽のせい。雨のせい。雨降って、太陽が照って、曇って、太陽が照ってを繰り返してるから調子が悪くなっちゃうんだよ」

「はー」

 そうですか。なんたるむちゃくちゃ理論だ。授業と授業の合間の短い休憩時間が終わりに近づいて、外に出ていた連中も戻ってきて教室のざわめきが大きくなる。

 呆れ果てている俺をよそめに泉水は、だからね、と続けた。

「もうすぐ本格的な夏が来て、からっと暑くなったら。わたしも変じゃなくなるし、きっと亮ちゃんの頭痛もけろっと治っちゃうよ」

「だといいな」

「うん。だいじょうぶ」

 泉水はあいかわらず何の根拠があるのかにっこりと笑って請け負った。

 


 放課後、安藤に補習があるからと俺にしては珍しくきちんと伝えて部活を休んだのに、相変わらずの冷徹な視線に脅かされた。好きで補習に出るのではないのに不条理だ。

 このままこいつを副部長に戴いて俺が部長をやるような、そんな部活人生を送っていいものなのか激しく疑問があるが、今はそれを云々している暇も無い。

 教室に戻ると入れ替わりに帰宅するため教室を出て行く泉水とすれ違った。

「あはは、がんばれー」

 気軽そうに励まされたが、全然がんばれる気がしねえ

 俺を含めて五名の補習メンバーが景気の悪い顔を並べて、教師からプリントを受け取った。

「じゃあ、三十分後にまた様子を見に来るから」

 全員に行き渡ったのを確認して、教師はさっさとクーラーの効いた職員室へと避難していった。個人勉強なら、課題にして家でやらせればいいじゃないかとブーイングが出たが、肝心な教師には届かず意味も無い。

「だいたい期末試験は赤点じゃなかったんだから、それでいいじゃねえか」

 がらんとした放課後の教室に空しく響いた呟きは、他の補習組四人の賛同は得たが残念ながらそれだけだ。

 人口密度は減っても全開にした窓からは風がまったく入ってこないので死ぬほど蒸し暑い。こんな中、数式と向き合ったところでちっとも頭に入ってくる気がしないがそれでも帰りたければ端から片付けていくしかなかった。他の連中もそれなりにあきらめをつけたのだろう。教室には紙にシャーペンを走らせる音と、時々誰かがそれでもこぼす溜息の音だけしかしなかった。 もちろん、教えあうようなことは無い。こいつらの誰に聞いても効くだけ無駄であることを全員が思っているからだ。

 こう静かだとグラウンドの運動部の掛け声が妙に響く。時々女子の嬌声じみた笑いがそこに混じると一段と補習の身に侘しさが増す。

 直射日光を避けられなくても、狭い箱に首に縄つけられて閉じ込められているより、自由にグラウンドで走っていられる方がずっとマシだと一瞬だけ思った。一瞬な理由はすぐに外に出たところで安藤が鎖を持って待ち構えている姿が想像できたからだ。要するに、俺は全く数学のプリントには集中できていないということだった。

 じっとりと全身にあぶら汗だかなんだかをかきながら問題と格闘すること三十分。

 たった三十分をどれだけ針の進みが遅いんだと叫びたくなるほど煩悶したが、ようやくそれも終わって教師が涼しげな顔で教壇に戻ってきた。


「できたかー」

 成果に一切期待してない声音で訊ねられても、全員が沈黙を守っている。そんなに簡単に出来るくらいなら最初から補習を受けていたりしないと思ったが、口に出してはいけないことをわきまえていたからだ。

「なんだ、しょうがないな」

 言いながら教師はチョークをケースから取り出すと、ようやく解説を始める……。

 

 みっちりと詰め込まれた、とは言えない気がするがそれでも時計の針は五時前になっていた。

「これで二学期のテストが楽しみだなあ」

「ハハハ」

 教師の言葉に補修組全員が、アメリカ人のような歯切れの良い笑いを返した。


「心配なら、これをやろう」

「…………」

 どうやら俺たちは罠にはめられたらしい。

 さらにぎっしり書き込まれたプリントを追加されて教室にブーイングが飛んだが、教師は意に介することもなくフランス人のような優雅な仕草でプリントを配った。


「あ、あと夕方から雨の予報が出てるからな。寄り道せずに帰れよ」

「もう夕方じゃないですか!」

 おまけに付け足された台詞に、誰かが悲鳴をあげたが教師は気にせず教室を立ち去った。もちろん取り残された面子に、置き傘をしているような気のきいたヤツがいるはずもない。

「亮一ー、一緒に帰ろうぜ」

「お前は駅まで歩きだろ」

 織田が擦り寄ってきたが冷たく断った。雨が降るというのに、電車通学で駅まで歩きのこいつと一緒に帰ることに俺になんのメリットもないじゃないか。


「えー、おまえんち行くよ。課題協力してやろうぜ。んで、ゲームやらせて。こないだ言ってたやつ」

 そういえば授業のあと、やたらこいつ俺に話しかけようとしていたのはこれを言いたかったのかとようやく思い立った。が、やっぱり拒否した。

「断る」

「えー、なんでー」

「お前と課題協力してやってどんだけ早く終わるってんだよ。読みが甘すぎだろ。だいいち俺は明日も朝練があんだよ」

 織田と遊んでる暇など一秒たりともない。


「冷たいこと言うなよ、亮ちゃん」

「知るか、じゃあな」

 食い下がる織田を振り切って、俺はさっさと廊下へ出た。ものすごく嫌な気分だ。それは別に織田のせいではない。

 人気の無い廊下は、まだ五時だというのに薄暗い。数学教師の台詞に感応したように空が急激に黒くなったからだ。

 じわりと空と同じように黒いシミのように胸の中に焦慮感が広がった。


 文化部はもうこの時間どこも活動していないのだろう、校舎の中に人の気配は少ない。空気が突然重みを増して、体にねっとりとまとわりついてくるような気がした。さっきまであんなに暑かったのに、ひんやりと感じる。

 雨が降るんだ。早く、俺も帰らないと。


(だめだ)


 ずきりとこめかみが痛んだ。

 急いで、帰ろう。雨が、雨が追いかけてくるから。怖いものをつれて。


(考えてはだめだ)


 怖いものってなんだ?


(だめだ。考えてはだめだ)


 焦るわりに足が前へ進んでいかない。

 水の流れに逆らって歩いてるみたいだ。そうこうしている間にもどんどん空に雨雲が広がっていく。俺の頭の中にも黒い雲のように不安と痛みと混乱が広がって止まらない。

 早く、早く、早く、早く。一刻も早く。追いかけてくる、怖いものから早く逃げのびなくては。

 

 だから、怖いものってなんだよ。何が怖いんだろう。知っているのに、わからない。わかっているのに、思い出せない。思い出しては、だめだ。

 ようやく階段にたどり着いて、手すりにしがみつくようにして一段ずつ降りた。急げ。


(考えるな)


 頭痛がひどい。目の前がちかちかとする。思考がバラバラになってまとまらない。千切れては消えていく俺の記憶。

 俺の、記憶――――。


『忘れたいなら、忘れることはできるよ』

 この場にいない有坂が静かに言う。これはいつの記憶だ?

 忘れたいんじゃない。なかったことに、したい。違う。なかったんだ。


(だめだ)


 脳裏に繰り返される、強い命令。有坂の声のようでもあり、自分の声のようでもあった。脳髄にうわんうわんと反響して聞き取れない。

考えてはいけない。決して忘れることなんてできないけれど。

 踊り場の窓を細い雨のしずくがパタパタと音をたてて叩きはじめた。俺が帰るまで持ちこたえることはできなかったようだ。

 間に合わなかった。

 それは雨の話なのに、別の響きを持って胸の内側に広がった。絶望的な気持ちで窓に目をやると、グラウンドを帰って行く生徒たちが傘を開くのが見えた。

 赤、青、紺、黒、ピンク。くすんだ色合いの景色の中、まるで花が咲くように。そして、雨。


「いっ」

 瞬間、脳天まで切り裂かれたような激痛が走って俺はとっさに手すりを強く握りしめた。


(傘)

(転がった傘)

(だめだ、だめだだめだだめだ)

(ピンク色の傘が)

 イメージが堰を切った川のように氾濫する。


 夜の歩道。雨、濡れたアスファルト。転がったまま忘れられたピンクの傘。いつもの、けれどどこかよそよそしい川べり。


『亮一――――さっき電話があって―――』

 喋るな。誰だ。よく知っている声だ。当たり前だ。生まれたときから聞いてる声だから。

『――――ちゃんが』

 違う。嘘だ。やめてほしい。

「だって」

 すり切れた記憶に、音声で反論しようとしてけれどむなしく途切れた。今の俺に、言い返す言葉はない。だって、言い返すということはそのことについて考えてしまうことだからだ。

 そうすれば、本当に終わってしまう。思考を止めたとき、ふっと俺の意識も失われた。

 なにも、考えられなくなった――。


 

 遠く雨音を聞いていた気がする。やわらかくて暖かなものに包まれて、人心地ついた気持ちで安らいで。

 泉水がそばに来たような気配もした。そして雨音にまじったささやきを聞いたような覚えがある。ただの錯覚かもしれないけれど。全部。

「ごめんね」

 どこかひどくさみしそうに。


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