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第17話:吉田水兵長

久しぶりの”紀伊”の投稿です。

1943年3月1日 <紀伊>対空機銃指揮所

紀伊には1368名もの将官や士官、水兵や非戦闘員が乗艦している。この人数の割合をほとんど占める水兵たちは現在は対空砲や機銃が集中している付近にて対空戦闘の訓練を行っていた。と言っても、機銃の発砲は行わず、主に行うのは新しく搭載された”零式機銃”の動作確認などだが。

吉田水兵長は只今何人かの部下たちに数週間前に手渡され覚えた零式機銃のマニュアルの本を頭の中でめくりながら教えていた。

「いいか?この機銃はドイツ帝国から提供された機銃のライセンス生産品だが、性能は前使っていた九六式は全然いいだしい。」たしかにマニュアルではこの機銃の命中精度や整備性は九六式よりも優れていたが、吉田は紙に書いてあることはあまり信じない。かつて兵学校時代の教官から武器は実戦で試してみないとわからないという教えを吉田は信じていた。吉田が昔のことを思い出していると一人の2等水兵が吉田に質問をしようとしていた。吉田は彼に気づくと言わせた。

「水兵長。我々は南洋諸島に到着したあとどうするのでありますか?」

「ああ・・・そうだな・・・」吉田はこの時軽い物忘れを起こしていて、このあとのことをなんとか頭から引き出すために右手で頭を抱え、しばらく考え思い出した。

「そうだ。このあと第4艦隊はトラック島攻略作戦のために空母機動部隊の護衛を担当するはずだった。」吉田は額からわずかに流れた冷や汗を手で引き取りながら言った。吉田の言ったことに納得したのか質問した2等水兵はふむふむと首を頷かした。

「よし、疑問も解決したところでさっさと持ち場に戻れ。」吉田がそう言うと、部下たちはまるで蜘蛛の子のように散開し、各自の持ち場に戻って作業を開始した。

吉田はふと空を見上げた。雲こそはあるものの太陽がはっきりと顔を出して快晴であった。吉田はこの空を見て安堵に近い気持ちのなっていた。吉田は軽く鼻で息を吐くと自分も持ち場に戻った。

愛読ありがとうございます。2014年も”紀伊”をよろしくお願いします。

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