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第16話:出航

1942年 日本帝国:横須賀港

そこには黒鉄の城というべき存在の艦がが佇んでいた。この船の名は先日まで、広島の呉にて改修を行っていた第4艦隊旗艦「紀伊」である。改修したといってもパッと見どこが変わったのかわからないかもしれないがよく見慣れているものから見ると少しだけ変わっているのがわかる、彼のような者が見ると。

「たしかに機銃や対空砲が増設されているな。」

「えぇ、ですが、書類によると一応対空砲も今まで使われていた”九六式二十五粍機銃(きゅうろくしきにじゅうごみりきじゅう”から”零式三十粍機銃ぜろしきさんじゅうみりきじゅう”に転換されているだしいです。」永田がおでこに手を当てて太陽の光を遮るようにして”紀伊”を見ていると副長が説明した。それに永田は簡単な返事をして応えた。

「副長、こいつの次の任務は決まったか?」永田は何かを期待するような目で副長の方を見た。しかし、副長は申し訳ないような顔つきで首を横に振った。それを見た永田もやはり残念そうな顔になる。

「ははは、どうした二人共?せっかく”紀伊”が戻ってきたというのに残念そうな顔して・・」永田と副長がほぼ同時に声が聞こえた後ろを振り向くとそこには二人の予想通り石川中将が歩み寄ってきていた。永田は余裕な動きで敬礼をしたが、副長の方は慌てて敬礼をして、おでこにチョップするような仕草をしてしまった。それを見た永田は敬礼をしたまま横目で大丈夫かと聞いた。

「ははは、何慌てるようなっことではないさ。」と石川は笑い飛ばしたが、永田はいきなり上官に後ろから声を掛けられでば誰だってあんな反応をするさと再びなんとか復活して敬礼をしている副長を横目で見ながら思った。


3人は”紀伊”に乗艦すると艦橋の指揮所に向かった。石川は永田と副長に休暇中何をしていたか聞いてきて、永田は普通に答えられたが、副長は少し緊張した趣で答えた。そんな世間話のようなことを話しているうちにいつの間にか艦橋近くまで来ていて、永田はきっと行く道で敬礼をした水兵たちにわることをしたなと思った(話に夢中で水平たちに気づかず、敬礼を返さなかったと思ったから)。

艦橋の扉をかけるともうそこには参謀たちがいた。参謀たちは3人に気づくとすぐに揃えて敬礼した、揃いすぎて永田自身は少し気持ち悪くなったが、3人はそれに応えるように軽く敬礼で返した。


「航海長、どうだ舵の様子は?」

「え!?」鈴木は驚いた。今まで永田自身から声をかけられたことがなかったはずなのに今になって突然永田自からが声をかけてきたので鈴木は目を丸くしていた。

「どうした、目を丸くして?」それは永田にもわかっていた。

「あ、はい!前よりも舵が良くなった気が・・・」

「舵の改修は行っていないはずなんだがな?」

「!?」永田は鈴木から見たら真顔で首をかしげているが、内心では悪戯が成功した子供のような心境になっていた。

「ま、そんなら頑張ってもらうよ、鈴木少尉。」永田は微笑みながら鈴木の肩を軽く叩き、自分の持ち場に戻った。


そして数時間後、紀伊型戦艦1番艦「紀伊」は出稿準備を行っていた。本来の職場というべき所、南洋諸島へ。

「”量力問題なし!”」

「”天気・視界ともに良好!”」

「”レーダーより小型船が予想航路にいます!”」

「”すぐに退かせろ”」

「”小型船離れていきます!予想航路異常なし!”」「紀伊」はその巨体を動かし、今、出港しようとしていた。港の方を見ると整備兵や水兵など手を振ったり、敬礼などして「紀伊」を見送っていた。甲鈑では彼らに応えるように水兵たちが海軍式の敬礼をした。


「紀伊」は何隻かの補助艦艇を引き連れて、南の海、南洋諸島へと航海を始めた。




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