第八章&第九章
第八章 突然の来襲 下
「みんなっ!!ダメだ!!
コイツと戦ったら間違いなく死ぬ!!
早く逃げるぞ!!」
そう言ってアリスは皆の腕を掴み
走り出した。
「アリス!どうしたのよ!」
エミルが叫ぶ。
「アリスちゃん?」
「アリスさん?」
「アリス?」
「アリスちゃん?」
みんなも口々に言う。
「あいつは闇の魔法使いだ。
今の私たちには到底かなう相手じゃない。」
「闇の魔法使い…?」
ナビが聞いた。
「魔法界でも"悪魔の使い"と言われ
恐れられてる存在だ。」
アリスは話した。
「そうだったのか…」
みんな頷いた。
「危ない!!」
いきなりクローリー先生が叫んだ。
と同時に廊下の天井が落ちてきた。
「くそっ!あっちだ!!」
エミルが左へ進む。
「逃げたって無駄ですよ…?」
「風砲!!」
アリスが手をかざして言った。
だがいつもと様子が違う。
アリスの魔法が発動しない…。
「なっ!?風砲!!風砲!!」
何度言っても変わらない。
「あたしに宿りし時の神
我が身に力を授けたまえ!!」
エミルが後ろから叫んだ。
「時砲!!」
手をかざし、もう一度大きな声で叫んだ。
すると黒幕の動きが止まった。
「何をしたんだ…?」
アリスが不思議そうに言う。
「うっさいわね!!
後で説明するから今は黙って逃げなさい!」
エミルはそう言うとアリスの手を引っ張って
走り出した。
「エミル…」
走りながらアリスはエミルを呼んだ。
「何よ」
無愛想にエミルは返事をする。
「ありがとう…」
アリスはうつむいて言った。
「キモいわよ!」
エミルは強気でそう言ったが
顔は真っ赤に染まっていた。
第九章 アリスの失踪
「はぁ…はぁ…ここまで来ればもう大丈夫」
クローリー先生は学園の秘密の場所へ
案内してくれた。
「で、エミル。あの魔法は?」
メルバが聞いた。
「あれは目には見えないけど時砲っていって時間を止めることができるの。」
エミルは自信気にそう言った。
「私はエミルちゃんの事より
アリスちゃんの方が心配だよ…」
アニィはうつむいて眠っているアリスを
覗き込みながら言った。
「そうだね…魔法が使えなくなるなんて…」
ナビも言った。
「寝ちゃうぐらい
たくさんの魔力をつかったのね。」
エミルはつぶやいた。
パチッ
アリスが目を開けた。
「みんな…」
「無理しないでアリスちゃん!!」
みんな言った。
「すまないな…。
私が力不足のせいで…
皆をこんな目に合わせてしまった…」
アリスは申し訳なさそうに言った。
「そんな事ないわよ!アリスさん!!
あなたは充分戦ってくれたもの!」
食い気味にクローリー先生が言った。
「そうか…」
アリスはそう言うとまた静かに目を閉じた。
************数時間後***********
アリスは起きた。
みんなアリスの周りで寝てしまっていた。
「みんな…。私はもっと強くなるからな…」
そうつぶやくとアリスは
まだふらつく足で立ち上がり、歩き出した。
****************************
「んあっ!」
そう叫んで起きたアニィ。
「先生、エミルちゃん、ナビちゃん、
メルバちゃん…ってあれ?」
アニィは異変に気付きみんなを起こした。
「大変っ!みんな!
アリスちゃんがいないよ!!」
その声にみんな飛び起きた。
「アリスっ…!」
エミルは真っ先に走り出した。