第五章&第六章
第五章 マジック・アイ 前編
どうしたらいいのー…?
「みんな少し休め。」
気付くともう3時間も経っていた。
「そう…だね。」
5人は端のベンチに座った。
ガチャ
先生も入ってきた。
「どう?マジック・アイは。」
「それが…」
代表としてアニィが先生に説明した。
「そう…。でも絶対諦めちゃダメよ。」
クローリー先生が言う。
「もう無理ですよ‼」
エミルが声を荒げた。
それに続いてほかの4人も
"無理"といいだした。
「そんな事なっ…!」
先生はアリスがしゃべるのを阻止して
4人にビンタをした。
バチーン!
4人は状況が理解できてないようだ。
それも無理ない。
だってあの優しいクローリー先生が
いきなりビンタをしたのだから。
「私ね、あなた達に黒幕の話をしたとき
絶対、嫌だって言うと思ったの。
でもあなた達は違った。
学園は私たちが守るって言ってくれた。
それがすごく嬉かった。
だからお願い。またあの真っ直ぐな瞳で
私の不安を取り除いて…?」
そう言うと先生は静かに涙をこぼした。
先生の涙を見た4人は
自然と口が動いていた。
「私に宿りし草の神。
我が身に力を授けたまえ。」
「私に宿りし天の神。
我が身に力を授けたまえ。」
「私に宿りし火の神。
我が身に力を授けたまえ。」
「あたしに宿りし時の神。
我が身に力を授けたまえ。」
いつもより集中して…
4人はゆっくり目を閉じた。
そのまま時が止まったかのように動かない。
「今だ!!」
不意にアリスが叫んだ。
そしてみんな思い切り目を開けた…。
先生も顔をあげた。
「みなさん…!それ…!」
エミル、アニィ、メルバ、ナビ
の目はそれぞれ
違う色の輝きを発していた。
第六章 マジック・アイ 後編
「マジック・アイ…!」
アリスがつぶやく。
「私たち…マジック・アイ出来てるの…?」
4人もそっとつぶやく。
メルバは赤、エミルは白、
ナビは緑、アニィが青の
綺麗な瞳に変わっていた。
「みなさんっ…!」
クローリー先生の目からは
とめどなく涙があふれる。
「何がどうであれ、これで黒幕との戦いの
スタートラインに立ったわけだな」
アリスが言う。
「ええ、黒幕は強い。
私たちも特訓せねば。」
メルバも言う。
「そうと決まれば
アリスさんと勝負よ!」
さっきまで泣いていた
クローリー先生の突然の提案。
「えっ…」
4人はアニィとアリスの勝負を
見ているせいか、顔がひきつった。
「はいはーい!じゃあ私よーいどん
言うからね!最初はメルバちゃんから!」
アニィの元気な声が響く。
「ちょっ…!?強引すぎる!」
普段は冷静なメルバが珍しくあわてる。
「よーいどん!」
「私に宿りし風の神。
我が身に力を授けたまえ。」
さっそくアリスは魔法を発動した。
と同時に風が吹く。
そしてゆっくり目を閉じた。
「私に宿りし火の神。
我が身に力を授けたまえ。」
メルバも負けじと魔法を発動し、
目を閉じた。
沈黙の数秒間。
先に目を開けたのはアリスだった。
「さぁ、ショータイムだ。」
ニヤリと微笑みながらアリスは言う。
その声に周りの5人はビクッと震えた。
アリスの綺麗な金髪は風になびき
銀色の目もキラキラと輝いている。
そしてアリスは手をゆっくり前に出した。
「風砲」
たった一言、それだけ言った。
「やめっ…!」
メルバは風砲に気を取られ
マジック・アイを発動出来ていなかった。
アリスの手からものすごい勢いて
風が出た。
4人は風がよけれるようなとこに避難した。
アリス自身も反動があるらしく、
少し後ずさった。
「きゃああああ!」
メルバの悲鳴が聞こえる。
数分後、知らぬ間に意識を失っていた4人は目を開けた。
そこにはアリスだけが立っていた。
周りはアリスの風砲のせいかボロボロで
アリスの前にはメルバが倒れていた。
「メルバさんっ…!」
クローリー先生があわてて
立ち上がり、メルバのもとへ走る。
「メルバさんっ!メルバさんっ!」
メルバは目を開けない。
「大丈夫。気を失ってるだけだ。」
アリスが静かに言った。
「アリスさん…あなたは一体何者なの…?」
先生はつぶやくようにアリスに言った。