#2責任
うぇい
傷跡と訪問
暗殺任務に失敗し、正体まで露見してしまった翌日。影斗は深い自己嫌悪と、陽への複雑な感情を抱えたまま学校を休んでいた。自室で一人、昨夜の陽の悲しげな瞳を思い出していると、窓を叩く音が響く。
そこにいたのは、学校にいるはずの白石陽だった。
「……白石? なんでここに」
「学校、休んでるから。……様子を見に来ただけよ」
部屋に上がり込んだ陽は、昨夜のシリアスな雰囲気とは打って変わって、どこか落ち着かない様子で部屋を見回している。
陽の猛攻と本音
沈黙に耐えかねたように、陽が口を開く。その顔は徐々に赤らんでいった。
「ねぇ、影斗。あんた、本当は暗殺なんて辞めたいんでしょ……?」
「……それは」
「なら! 私の……その、白石家の婿養子になればいいんじゃない!?」
影斗が目を見開くのも構わず、陽は一気に捲し立てる。
「い、いやね!? 別に私は影斗と結婚したいとか、そういう不純な動機じゃなくて! 白石家が後ろ盾になれば、黒月財閥の暗殺任務からあんたを解放できるでしょって話!」
「陽……」
「それに! 私みたいな美女と結婚できるんだから、あんたにとっては得しかないでしょ! ありがたく思いなさいよね!」
顔を真っ赤にして、逃げるように早口で言い切った陽。しかし、その瞳には影斗を失いたくないという切実な願いが透けていた。
影斗は静かに歩み寄り、彼女の肩を抱き寄せた。
「……暗殺は、続ける。お前を守れるのは、俺しかいないからな」
その言葉が決定打となり、二人の境界線は音を立てて崩れ去った。
翌朝の「責任」
翌朝、眩しい光が差し込む。
同じ布団の中で目覚めた二人の間には、昨日までとは全く違う空気が流れていた。
先に目を覚ましていた影斗の視線に気づくと、陽は飛び起きるようにして、近くにあった布団の端を掴んで自分の顔を隠した。
「な、ななな……なによ、その顔……」
布団越しでもわかるほど、彼女の耳まで真っ赤に染まっている。昨夜の「美女と結婚できて得でしょ!」と言い放った勢いはどこへやら、今の彼女はただの恋する少女だった。
「陽。今日、お前の家に行く。親父さんに挨拶をしてくるよ」
影斗の決意に満ちた言葉。陽は布団を握りしめ、顔を隠したまま、消え入りそうな震える声で答えた。
「…………当たり前でしょ。あんなことして……」
そして、潤んだ瞳で上目遣いに影斗を見つめ、最後の一言を絞り出した。
「……ちゃんと…………責任……とってよ……」
あざす




