開始の合図1~嘘のような現実~
こんにちわ、吉井太一です。図書部に入ったはいいんですが個性的な人が多すぎます。大変です。というかみんな読書しないのに図書室来てるんだよね。どうしてだか聞いてみるか。
「江実、なんで図書部に入ったんだ?」
ちょっと質問を変えてみた。僕が今質問したのは茶髪のロングの少女、古河江実。同じクラスなので話しやすい。
「そんなの七不思議にきまってるじゃない」
あっさりと言いやがった。七不思議?この学校にもそんなものあるのか。
「そんなものどうせ迷信だろ。僕は信じない」
「私もそうだと思ったんだけどさー。こんなうわさがあるのよね・・・・」
「図書部には4年に一回、不思議なことがおこる・・・・でしょ」
それを言ったのは小高真織。スポーツ少女って感じなのになぜか図書部に。
「私もそれに興味あってこの部活に入ったんだよねー」
「真織さんもか・・・・・」
「呼び捨てでいいよー」
正直僕はげんなりしていた。んなもん信じてる奴が2人もいる部活。理由が不純すぎる。
「俺もそれ目的だよ」
金髪の大和健。この人は明らか読書って感じじゃないもんね。
「えぇ!?七不思議なんてあるんですか!?そんな・・・・怖いです・・・・」
このすごく内気な少女は丘波朝居。黒髪のツインテール。朝居は知らなかったみたいだ。よかった読書目的な人がいて。そしてもう一つ・・・・・・
「・・・・・・」
こいつも読書目的だろう。読んでる本はすごい本だがちゃんと読書はしている。反応がないからさっぱりわからないけれど。このだんまりオタク少年は神木海斗。
「そんなの噂だろう。僕は信じない」
「今年がその4年目なの。ふふふ、太一が認めるのも時間の問題ね」
「江実、僕はこう見えて現実主義者だぞ」
「そうなの!?」
「真織!?その反応はひどくない!?」
なんか僕がいじめられてる構図になっていた。どういうことやねん。
「海斗と朝居もそういうの信じるか?」
僕は気になったので2人に話を振ってみる。
「いえ・・・私は太一くんと同じなんですけど・・・ちょっと怖いです」
「2次元ならありえるかもな。3次元でその可能性は低い。だがその噂、俺も聞いたことがある」
「朝居もか。ん?お前もしってたの?」
「まぁな」
なんだかんだでほとんどのやつが七不思議目当てっぽかった。
「七不思議・・・・・ねぇ・・・・・」
僕は信じないさ。そんなもの絶対に。現実主義者ってのは頑固なんだ。でも僕は思い知らされることになる・・・・七不思議のことで・・・・・。
〇
「おっす、金本」
「おぉ、吉井か」
こいつは金本。クラスでの友達。
「もしかしてお前の勇者発言、七不思議に関係してる?」
「そうだが。だってそんな危ないところに自ら入部するなんて勇者意外にだれがいる」
「僕のほかに5人いたぞ」
そんな会話をしていた。このときの金本は普通だった。いや、僕が普通じゃなくなったのか。
〇
「いやー、読書疲れたー」
「真織って見た目からしてスポーツにむいてそうだしな」
「いや、私、スポーツだめなの」
「マジで!?」
なんて会話を真織としていた。他のメンバーはまだこない。まぁ、先輩もいないし自由だからな。いつこようがいいわけだ。
「みんな遅いねー」
「うん、まったくそうだな」
ガラッ
「お、誰だ?」
「俺だ」
「海斗か。他の皆は?」
「しらん。俺にきくな」
そして俺は海斗に投げかけたかった疑問を口にする。
「いつも海斗が読んでる本っておもしろいの?」
「は?」
「いや、何か面白いのかなーと思って」
なんか機嫌悪くした?なぜだろう、何か悪いことでも言ったかな?
「何か機嫌悪くしたならあやま・・・・・・・・・・」
「この本の面白さと言ったらまずはこのヒロインの可愛さだろう。まぁ、その可愛さが無駄にならないぐらいのストーリーの面白さもあるわけだが。まぁ、面白いか面白くないかで言えば面白い方に分類されると思う。この伏線回収の技術なんてすばらしいものでそこらへんの素人ではマネできないものだろうな。さらに言えば・・・・・」
機嫌よくなってるがな。そんな好きなんすね、その本。
ガラッ
「大変だよ!太一!」
叫びながらこっちにむかってきたのは江実だった。
「どうしたんだ?腹でも壊したか?」
「違うよ!みんなに私たちが見えてないの!」
「は?」
意味がわからない。見えてない?何言ってるんだ?
「よっしゃー!七不思議始動だーっ!」
「真織!?そんな場合じゃないよ!」
「くだらない・・・」
そして僕は気になったことがあったので聞いてみた。
「私たちってお前だけじゃないのか?」
「健もそうだったの。ってことは図書部全員見えなくなってるでしょ!」
無茶苦茶な理由だった。
「ちょっと待ってろ。僕が確認しに行ってくる」
「どこにいくの?」
「いいから待ってろ」
僕は図書室を出て走り出した。
〇
「見つけた・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・」
僕は水飲み場の近くで金本を見つけた。こいつに聞くのがいいだろう。こいつは図書部の七不思議について知ってたし、僕、見える?なんて質問してもおかしい人だとは思われまい。
「おーい、金本!今部活中か?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
こんどはもっと近づく。というか耳元で叫んでやる。
「金本ーーーーーーーーーー!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
考えたくない。考えたくないけど・・・。
すると金本はこっちにむかってきた。あれ?これもしかして気づいてないふりかな?まさかビビらそうとしてるのかも!ふふふ、そうはいかない!僕だって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
驚愕した。
金本は僕の体をすり抜けていったのだ。これは相手に見えないどころじゃない。存在自体が消えかかってるということの方がしっくりくる感じだった。
「う・・・・・・ウソだろ・・・・・・・」
七不思議最初の第一不思議『透明全色』編が開始した合図でもあった。
数えると第2話ですね。
なんかプロローグよりも短い本編。
ていうかプロローグが長すぎました。
でわ