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森の思い出

 私は、家の近くの森で風魔法の練習をしていた。

 聖女になるのは嫌だけど、昔から魔法には興味があった。

 アニメで少女がホウキに乗って空を飛んでいるシーンを見て、子供ながらに飛んでみたいと思っていたから。

 もしかしたら、実現できるかもしれない。


  少し離れた所で、執事のセバスが見守っている。

 一人で森に出かけようとしたら、反対されて大人と一緒ならばと許可されたからだ。


「ええと…」


 私は、深呼吸をして心を落ち着かせる。

 魔法を使うには集中力が大事だから。


「『風よ(ウィンド)』」


 両手を前に出して呪文を唱えると、手からふっと魔力が抜ける感覚を感じた。

 目の前に風の渦が現れる。

 風はクルクルと舞い、地面にあった木の葉を巻き込みながら回転していた。


「えっと…」


 右手を動かして、コントロールしようとしたけど風は動かない。

 そうこうしているうちに、次第に風は弱まっていった。


「はぁー最初から、そんなに上手くいくはずが無いか」


 ラン先生は、魔法のコントロールは難しいって言ってたっけ。

 聖女スキルの、光魔法ならば上手く出来るのかしら?

 光魔法は、専門的なので教会に行った時に教わったほうが良いらしいけど。


「そんなに簡単に出来るわけないわよね」


 何回か、風魔法を繰り返し試すと疲れてきた。

 まだ、そんなに時間も経っていないのだけど。

 魔力が少なくなってきたのかも。


 今日はもうやめて、また今度にしよう。

 魔力切れで倒れたら、大変だからね。

 空を飛ぶのはだいぶ先の様だわ。


 パチパチパチ…。

 セバスが手を叩いていた。


「素晴らしい!わたくし感激いたしました。お嬢様はきっと素晴らしい聖女になられると確信をしております」


 セバスったら、ハンカチで目元を抑えているわ。

 歳をとってくると涙もろくなるのかしら。 

 彼って、一々大げさなのよね。


 そういえば、森の近くに来るのは久しぶりね。

 私は、母が生きていた頃の事を思い出していた。




 私が五歳位の時の事。

 前に来たのは母と共に、山菜を取りに来ていたのだった。

 母は平民だったから、森に入ってキノコや山菜を取るのが当たり前だったみたい。


 街道近くの場所で、馬車がたまたま傍を通りかかった。

 馬車に乗っていた人が、馬車酔いをしたらしく休憩のために外に出てきたのがアンディだった。



「これ、なあに?」


 私が青い葉を持っていたので、興味を示したらしい。

 可愛らしい群青色の髪の男の子は、興味深げに質問をしてきた。


「食べられる葉っぱよ」


 母がアンディに教えてあげている。

 首をこてんと傾げて、よく分かっていなさそうだった。


「食べたことないよ」

「うそ?」


 かなり驚いたっけ。

 それから、母が亡くなってからは森に行く事はなくなった。

 子供一人でいったら危ないからね。


 食べられる草も見分ける事が出来ないので、採る事も出来なかったのだけど。

 間違えて毒のある物を取ってきたら大変だからね。


 当時、お父様も忙しくて私に構っている余裕はなかった。

 今はだいぶお仕事が楽になったらしいけど。


「懐かしいなぁ…あの頃のアンディは天使みたいに可愛かったのに」


 私の記憶が戻る前の事だ。

 その頃の私はいつも笑ってた気がする。

 毎日が楽しかった。


 あの頃に戻る事は出来ないけど、心の底から笑えるようになりたいわ。


「セバス、そろそろ帰りましょう」


 私は、執事と母の思い出を語りながら屋敷に戻った。

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